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【心臓腫瘍】 ちぃ、泣いているの? ~ちぃの闘病記(4/5)~

虹の橋の向こうへ
ちぃの闘病記:心臓腫瘍 4話(抗がん剤、放射線)

ちぃの闘病記:心臓の腫瘍

文|かっぱ太郎 撮影|F.zin 扉イラスト|はまのゆり
 

手術のできないがんを抱えてしまったちぃ。

私はちぃが最期をむかえるまでの間、痛みや苦しみを、少しでも軽くすることはできないものかと、毎日考えました。特に、週に一度の大学病院での検査の日には、いつも苦しい選択をせまらせることになりました。

抗がん剤を使って、奇跡が起こることに望みをかけるのかどうかの選択です。
もしもその治療を選んで奇跡が起こらなければ、ちぃの体に負担がかかり、死期を早めるにちがいありません。

人と犬ではがん治療に違いがあるのかもしれませんが、私にはある思い出がありました。それは義父と母の闘病経験です。

抗がん剤を使わなった義父は手術後一年くらいで亡くなりました。
しかし実家の母は、二度の手術後も抗がん剤治療の苦しみに耐え、やせ細りながらも生きています。

 

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食欲のないちぃが、抗がん剤の毒に耐えられるとはとうてい思えません。
私は、体に負担の少ないという放射線をがんの部分に照射してもらい、胸とお腹の水を抜いてもらって帰宅しました。

病院から帰るとちぃは三日くらいは呼吸も楽になり、少しですが食べることもできるようになります。このままがんをだましだまし、あと数か月、あと数年、なんとかちぃが生きていくことはできないものかと期待しました。

苦しそうなちぃを見ているのは辛かったのですが、ちぃがいなくなってしまうことを考えるのはもっと辛いことでした。

 

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4回目か5回目の放射線治療のときでした。

先生が「ほんの少しだけ、抗がん剤をつかってみましょうか?普通の量の10分の1くらいですので、体への負担はないと思います。放射線の効果を助けるためのものです」
と提案してくださいました。

私は「使ってください」とお願いしました。

治療後、ちぃはいつものように少しだけ元気が出て、リードを引っ張って病院を出ました。

 

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ちぃが初めて抗がん剤を使ったその日の夜、仕事を終えて帰宅すると、ちぃは酸素ハウスの中で休んでいました。

扉を閉められていたので開けてやると夫が、
「開けちゃいけないよ。ちぃはもう歩けないし危ないからね。」
と言いました。

でも、おしっこやお水をがまんしているかもしれないので、開けてちぃを出してみました。夫の話では、ちぃはおしっこのときに後ろ脚をうまくたためなくなってしまって、困っていたそうです。

 

私は、歩かせなければますます脚の筋肉が弱ってしまうと思い、ちぃを寝たきりにさせたくないと思いました。

まずはごはんです。豚肉のゆでたものを少しだけちぃは食べたので、いつものようにはちみつで薬を練って歯の横に付けてみましたが、ちぃが口を動かさないので、指で少しだけ水を口に入れてやりました。

 

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それからトイレまで歩けないと思い、酸素ハウスの前にトイレを置きました。
しかし、ちぃはそれを拒否するように、いつものトイレまで自分で歩き、おしっこをしました。

そのあと居間の真ん中の座布団に静かに伏せて、ちぃは家族の様子を上目づかいでじぃっと見ていました。

なんとなく目がうるんでいるようだったので、
「ちぃ、泣いているの?」と話しかけ、ちぃの頭をなでました。

私は急に気弱になり夫に、
「ちぃはもう、だめかもしれないね」と言いました。

「何言ってるんだ、ちぃはまだ、生きてるんだよ!」
夫は強い口調で言いました。

ちぃが聞いているのに、弱音を吐いたりしてはいけないのです。

 

――虹の橋の向こうへ・ちぃの闘病記(4/5)つづく――

作:かっぱ太郎、F.zin
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週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。

 

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