まずは街の動物病院を知ることから
カテゴリー:コラム
作者:高栖匡躬
2016年に加計学園問題が表面化した当時、TVのワイドショーでは産業獣医師がクローズアップされて、そこに内包された諸問題を探り始めました。
それを見て筆者がまず何に思ったかと言うと、問題は問題だけれど、千載一遇の好機でもあるということです。政治的なことよりも産業獣医師が抱えている構造的な問題が明らかになることは良い事だと思いました。
国民皆がその問題を認識し共有することで、解決の糸口がきっと見つかるだろう。
解決の気運が盛り上がるに違いないと思ったのです。
しかし、時が経つにつれて、誰も産業獣医師を話題にしなくなりました。
ワイドショーは総理はズルイという、卑近な問題に終始しはじめて、総理叩き政権叩きばかりになっていきました。
産業獣医師が抱える問題は、何も解決してはいないはずなのに――
あれってどうなったの? どうにも消化不良――そんな気持ちの悪さから、自分で調べて見ようと思いました。
犬猫の飼い主の目線で見た、加計学園問題です。
【目次】
1話 ~ 4話
第1話|結局、獣医師は足りているの? 足りていないの?
この問題、昨年ワイドショーで随分と騒がれたが、もう過去の話になりつつある。
最初の頃は『そもそも獣医師は足りているのか? いないのか?』という本質論もあったが、段々と政治色ばかりになった。
結局、マスコミにとっては動物医療など、どうでも良いのだろう。
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しかし、我々犬猫の飼い主にとっては、政治の話よりも動物医療の方が気に掛かる。
置き去りになった本質論は、もう誰もしないのだろうか?
本当に獣医師は足りているのか、いないのか?
産業獣医師と、街の獣医師の違いと格差は?
それらは、是正されていくのか?
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遠くのどこかの話では無い。我が家の犬猫にとって、動物医療は目の前にある。
かつて不治といわれた病は、段々と治るようになってきた。
実際、うちの子は先端医療で救われた。 数年前にうちの子が飲んでいた、最先端の新薬ウルソは、今や当たり前に処方されている。
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不治の病が治る一方で、治るはずの病気で命を落とす子もいる。
動物医療の格差は意外に深刻なのだと思う。地域の差もあれば、獣医師の腕の差もある。 その差を埋めていくのは、問題が広く認知されるかどうかにかかっている。
我々飼い主もこの問題の当事者なのだ。
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マスコミが騒がなくなったからといって、問題はなくなったのではない。
我々、犬猫の飼い主にとって、去年と今年で何も変わっていないのだ。
マスコミが追及しないならば、自分で調べて見ようか――
そんな連載がこれ。徹底的に、飼い主目線。
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第2話|動物病院の売り上げについて、考えてみよう
加計学園新設は、産業獣医師(そして公務員獣医師)の不足に対応するのが目的のようだ。 なぜ不足するのか?
単純に考えると、その職業に魅力を感じる人が少ないからだろう。
その理由は何?
一方、引き合いにされる街の動物病院の数は、十分に足りているそうである。
本当に?
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今回は、街の動物病院が、儲かっているかどうかの検証。
なぜ産業獣医師に、希望者が集まらないのか?
それを語るには、引き合いに出される側の、動物病院をもっと知る必要がある。
飼い主目線の検証第2話。ネット上に公開された、諸所の数字から読み取る。
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(追記)
実は加計学園問題の本質は、犬猫や動物の命の話では無くて、人間の命の方にあります。 動物を守るためでなく、人間を守るための動物医療というのがあるわけです。
それに気付かせてくれたのが加計学園。
このまま埋もれさせるのは、もったいない話です。
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第3話|動物病院の売上。統計データから導く数字と、現実の差が語るもの
今回は犬猫の1匹あたり医療費など、公開されている統計数値を使って、動物病院の収支を推測します。
実はこの値、現場の実数値から見た推測と大きな開きがあります。
その差を読み解く事で、色々な事が見えてきます。
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第4話|特定の動物病院に富が集中する可能性は?
今回は、過去3回の検証に誤りがなかったかを検討します。
本当に獣医師は足りないのか?
たったそれだけ調べたいだけだったのに、随分と沢山のことが分かりました。
高度医療、先端医療の医療費の高さも再認識。
振り返れば、うちもこの高い医療費を払ったんだよなあ。
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全体の構成です(太字が本記事)
第1話 結局、獣医師は足りているの? 足りていないの?第2話 動物病院の売り上げについて、考えてみよう
第3話 動物病院の売上。統計データから導く数字と、現実の差が語るもの
第4話 特定の動物病院に富が集中する可能性は?
第5話 産業獣医師って、意外に知らない
第6話 産業獣医師の仕事を掘り下げてみる
第7話 産業獣医師と動物病院の獣医師を較べてみる
第8話 公務員獣医師の重要な役割を知ろう
第9話 未知の脅威に誰が立ち向かうのか?
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まとめ ① について
最初はいきなり、産業獣医師について書こうとしたのです。
しかし調べていくと、まずは産業獣医師と公務員獣医師の分類が曖昧で、識者の間でも混同されていることに気が付きました。
更に突き詰めていくと、『獣医師の総数は足りている』という定説に行き当り、その解説をするためには、どうしても小動物診療獣医師のことも掘り下げる必要を感じました。
そこを明確にしておかないと、なぜ獣医師の人員の偏りがあるのかという説明がしにくいし、人員の偏りが解消できるかの説明もできないからです。
ということで、回りくどくはなるのですが、最初の4話が小動物診療獣医師(街の動物病院)の話になりました。
これがまた意外に難しくて、当初1話か長くて2話と思って書き始めたものが、結局4話も費やすことになってしまいました。
――高栖匡躬 ――●
記事公開時のツイートより(1/9~4/9)
【今更?/今だから?】1/9
加計学園問題は、犬の飼い主にとっては、良い事だったのではないかなあ。
獣医師が足りているのかいないのか? 考えてみる切っ掛けになった。
今まで気にかけなかった産業獣医師の存在に気付き、そこに多くの課題があることも知ることができた。
【今更?/今だから?】2/9
しかし今や、加計学園問題はすっかり下火だ。
それをどう解釈すればいい?
課題が解消されたわけではない。マスコミが関心を失っただけだ。
視聴率の取れない課題は、もう課題ではない?
一旦大騒ぎしておいて騒がなくなったら、みんな解決したって誤解しないかなあ?
【今更?/今だから?】3/9
安倍サンは、波風を起こして問題を露わにしてくれた。
だから犬の飼い主として、感謝していいと思ってる。
本件でマスコミが言うのは、
「岩盤規制に穴を開けたのはいいが、その穴をくぐれるのがお友達だけだったのが悪い」
という論調。
つまり安倍サンは悪い奴ってこと?
【今更?/今だから?】4/9
言い方の順番を変えて見たらどう?
「お友達を優先したのは悪いが、岩盤規制に穴を開けたのは良い」
これだと同じことなのに、何だか良い奴に聞こえてこない?
親安倍でも反安倍でもないよ。
正直言って、良いのか悪いのか、分からないんだよ。
判断材料がないから、純粋に疑問に思うし、ただ知りたいだけ。
――次回記事②に続きのツイートを――
――連載は、まとめ②:産業獣医師と公務員獣医師について知ろう、に続きます――
作:高栖匡躬
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解説:高栖匡躬
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――次のまとめ読みです――
本記事から、遂に本題の産業獣医師、公務員獣医師の話題に。
この問題はとにかくややこしい。
――言葉の定義から曖昧だ。
獣医師の総数は足りている。
――数字の上だけでしょ?
それより、大事なこと忘れてないか?
――新型伝染病は?
――防疫は誰がやる?
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動物医療に関するまとめ読みです
こちらオタ福診療所|①
犬猫の病気のネット記事は、端折り過ぎて役にたたなかったり、専門的過ぎて理解できなかったり
専門的で分かりすい記事を作ろうよ。
――で生まれた連載
今回は、
【急性膵炎】【癲癇(てんかん)】【表在性膿皮症】【食欲不振】【摂食困難】
こちらオタ福診療所|②
オタ福さんの記事の特長は、専門用語を使っているのに分かりやすいこと。他のネット記事のように、言葉は平易そうに見えて、実は分かりにくいのとは対極ですね。
今回は、
【熱中症】【脱毛】【肺がん】【薬物中毒|エチレングリコール】