犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【保健所での出会い】あの子は、あたしたちを見て吠えたんだ ~旅人がうちにくるまで(1/2)~【ハンデのある犬】

【関連コンテンツ】

うちの子がうちにくるまで|No.8 - 1 f:id:masami_takasu:20171119141522j:plain

撮影&文|asuka
 
今日のお話は

今回は、片目を失った犬を、保険所から引き取ることにした夫婦のお話です。
犬との出会いはいろいろとあって、迎える時の葛藤も様々ですね。
犬にハンデがある場合は、特にその葛藤は大きいはずです。普通ならば――
それをものともしなかった、優しい心を持った飼い主と、犬とのお話。
本話は、2話構成の前編です。

こんな方へ:
保護犬を迎えたい|ハンデ(障害)のある犬と暮らせるか?|経験者の話を聞きたい

 ハンデのある犬との出会い

それまであたしは、旦那のたけしと、5匹の可愛い小型犬に囲まれて、楽しく暮らしていた。

『なぜ5匹も?』と、思われるかもしれないね。

あたしは昔からとにかく犬が好きで、実家にも犬がいたの。その実家で産まれた子を3匹、いとこの家に産まれた子に、ブリーダーさんのところの子を譲ってもらっていたら、あれよあれよと5匹になってしまった。

それでも懲りない犬大好きなあたしは「もう1匹くらい迎えてもいいなぁ」と、ぼんやり思うようになっていた。

 

f:id:masami_takasu:20171119141629j:plain

そんな時、たまたまたけしの作業服を買いに、大村(長崎)まで行くことになったの。そしたら、そのお店の近くに保健所があると聞いて「保健所ってどんなとこなんだろう?ちょっと行ってみようか」と軽いノリで寄ってみた。

何年かやってるTwitterには、保健所の公示が載ってて、そこに可哀想な犬や猫がいると知っていたし、どんな所なのか興味もあった。でも、好奇心だけで初めて行ってみたそこは、異様な臭いと犬の悲しそうな声で溢れていた。あたしは、正直その雰囲気にちょっとたじろいでしまって……

「子犬はそっちにいますよ」
保健所の女の職員さんからそう言われて、指された方を覗いたら、10匹くらいの小さな犬達が居た。そしてその中の、毛がふわふわした1匹の子犬が、なぜかずっとあたしのことを見つめてきた。

f:id:masami_takasu:20171119141439j:plain

あたしの実家には、生まれつき片目盲犬の《タモさん》がいるから、はじめてこの子を見た時、すぐに気づいた。
「あっ、この子、目がない」って。
隣にいるたけしに「この子、目がないね」って言ったら、たけしは「そうやねぇ」と言っただけで、ちっとも驚いてなかった。

その10匹は可愛い子ばかりだったけど、見つめてきたその子だけにあたしは釘付けで、今思うとその子に一目惚れだったんだよね。

その時には既に、「この子を連れて帰りたい」って心の中で強く思っていた。
でも、5匹も先住犬がいるし、現実的に飼うのは無理かなって、諦めモードにも入ってしまった。

f:id:masami_takasu:20171119141706j:plain

実は前に、ブリーダーさんから成犬を迎えてみたことがあって。その成犬は、先住犬との相性が悪く、一緒に暮らすことが出来なかった。今は、その成犬の子も、新しい里親さんのところで幸せになっているけれど、あの時のように、またすぐ手放すことになるのが怖くて、踏ん切りがつかなかったの。

「いろいろと考えてから、また来ます」
保健所の職員さんにそう言って、帰ろうとした時だった。
「キャンキャン」
突然その子だけが、あたしたちの方を見て2回吠えた。

「ダメダメ、後ろを向いたらダメ」
その子のその切ない声に、振り向きたい気持ちをグッ押さえて、私は必死に前だけ向いて、車に乗った。

――旅人の話・後編につづく――

うちの子がうちにくるまで|No.8 - 1
犬の名前:旅人(たびと)
犬種:ミックス
飼主:asuka
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話です――

夫婦はその犬を、旅人(たびと)と名付けた。
もう旅をしなくて良いと、思いを込めて。
犬というのは逞しい生き物だ。
体がどこかおかしくても、ちゃんと適応して生きてくれる。
楽しそうな笑顔だ。屈託のない笑顔だ。
飼い主と共に、生を楽しむ、溢れ出すような笑顔だ。

――うちの子がうちにくるまで・前話です――

初めての犬が大型犬
振り返ってみると、犬はまるで運命のように家にやってくる。
その子が産まれる確率は? 出会う確率は? 家族は賛成? 経済的な余裕は?
掛け算をしたら、とんでもなく低い確率だ。
みんな、奇跡の子と、一緒に住んでいるんだよ。

まとめ読み|うちの子がうちにくるまで(犬)②
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 保護犬たちの、うちの子がうちにくるまで

犬は必ずしも。家族全員に歓迎されて家に迎えられるわけではありません。
保護犬の場合は、特にそうでしょう。
“飼いたい!”から始まる愛情もあれば、飼ってから芽生える愛情もあります。

先代犬を亡くし、ペットロスだった飼い主。
しかし――、ある日のこと――
「家に帰ったら、子犬がいた」
さて、その犬とは?

愛猫を亡くした作者。
供養をした翌日、ふらりとペットショップに立ち寄ると、そこには[ただであげます]と張り紙された犬がいました。

 

© 2017 Peachy All rights reserved.