犬を飼うということ

いつまでも君と……

【決めた、犬を飼おう!】飼えるなんて思っていなかった ~岳がうちの子になったのは(前編)~

f:id:masami_takasu:20171127121951j:plain撮影&文:沙羅

~うちの子がうちにくるまで No.12・1~

”うちの子がうちにくるまで”とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。

 ●

私達夫婦は、今年結婚7年目にはいりました。
二人ともワンちゃんが大好きなのですが、以前はペット不可のマンションに住んでいましたので、飼いたくても飼えずじまいでした。

実は私には、ある病気があって、仕事ができません。
なので、一人でうちにいる毎日でした。

 

f:id:masami_takasu:20171127123328j:plain
そんなある日、夫が体調が良好だった私に、ワンちゃんを飼う事を提案してきました。
私に何か張り合いを、と思ってくれたのです。

「飼うのはダメ!」
それが私の返事でした。
「何故?」
「何才の仔であっても、いつかお別れをしないといけない。立ち直る自信がない」
ワンちゃんとは暮らしたかったけれど、それが私の正直な気持ちでした。

 

f:id:masami_takasu:20171127123348j:plain

2月のある日のこと、夫が「物件を見に行こうよ!」と、突然に言い出しました。
「は?何の?」
そう言いながら、私は夫について行きました。
「ここだけペットOKでね!」
と夫は言いました。そこは同じ市内にある、ペットOKのマンションでした。
私はビックリしました。

 

f:id:masami_takasu:20171128163142j:plain

「ワンちゃんに、可哀想な思いはさせたくない……」
私は言いました。病気のせいでときどき寝込むことがあるので、自分に手一杯になって、ワンちゃんのお世話が後回しになりそうで――、それが心配でした。
「沙羅(私の名前です)ちゃんなら責任感が強いし、面倒見がいいから大事に育てられるよ!それに何よりも張り合いが出ていいと思うんだけど、どう?」
夫は、そう言ってくれました。

そしてまだ迷っている私に、夫はこんなことを言いました。
「2回見に行って、抱っこさせてもらった仔犬のことを覚えてる?」

その仔犬とは、黒柴の小さな男の子のことです。

 

f:id:masami_takasu:20171128163203j:plain

話はちょっと前の、1月に遡り(さかのぼり)ます。
私の病院の帰りのことでした。たまたま見つけたペットショップで、夫が「寄って見ようよ!」と言いました。
その頃は、私の体調がとても悪く、心身共に病気に負けていた時です。
たまたま見つけたペットショップに、誘ってくれたのは、私の気分を癒してくれようとしたのでしょう。

 

f:id:masami_takasu:20171128163838j:plain

ワンちゃんのケージを見ていて、ふと2人の足が止まりました。
「この仔、可愛いねぇ♡」
2人が口を併せたのは、『柴』と書かれた、2ヶ月になったばかりの、黒柴の仔犬の前でした。

あまりに可愛くて、私はしばらくガン見してたのですが、どうしても抱っこしたくなって、店員さんを呼びました。
「抱っこってできますか?」
「いいですよ」
ソファーに案内され、ワクワクしながら待っていると、ちっちゃなその仔犬がやってきました。店員さんに抱っこされながら、その仔は尻尾をブルブルブルと、凄い勢いで振っていました。

 

f:id:masami_takasu:20171128163245j:plain

差し出されたその仔を、私は胸に抱きました。
その仔は、全く声は出さないで、私の顔をベロベロベロと舐めてきました。
そして、体をクネクネさせて、全然じっとしていません。
ひとしきりそうしていたら、その仔はそのままおとなしくなりました。
その感触と言ったら――、柔らかくて、暖かくて、何とも言えない気分で……

「お利口さんねぇ。」
私は何度も言いました。
「この黒柴ちゃん、凄く人気があるんですよ」
と店員さんはおっしゃいました。

 ●

「あんまり長く抱っこしてたら、赤ちゃんだから疲れるよ。」
夫に言われて、私は店員さんにその仔を返しました。
私達は「可愛いかったねぇ♡」と話しながら家路に。
「沙羅ちゃん、ちょっと気分が良くなったんじゃない?」
夫は笑顔で言い、私も「うん!」と、いつもの病院の帰りとは違う爽やかな気分で、返事をしました。

 

f:id:masami_takasu:20171129064940j:plain

それから10日もせずに、また私たちは病院に行きました。そして帰りはまた、あのペットショップに。
「まだあの黒柴ちゃん居るかなぁ!?」
ワクワクしながらお店にはいると、まだあの仔はいました。
そして2度目の抱っこ――
前と同じリアクションでした。

夫が「2回見に行って、抱っこさせてもらった……」というのは、その仔の事でした。その日は、私たちはマンションを見ただけで、契約することなくそこを後にしました。

 

f:id:masami_takasu:20171127123607j:plain

車に乗ると夫がこう言いました。
「ワンちゃんを抱っこしてる時の沙羅ちゃん、凄く嬉しそうな顔してたよ!ワンちゃん飼おうよ!」
「だって前にも言ったけどワンちゃんは……」
私の返事は変わりません。
「じゃ、あの黒柴ちゃんがまだ居たら、さっきの所に引っ越そう。居なかったら引っ越さない。ね?」

夫は食い下がりました。
そして私は、小さく頷きました。

夫がここまで言ってくれるのだから、私はその黒柴の男の子に、運命を託してみようと思ったのです。

―― 岳がうちの子になったのは(前編)・つづく ――

~うちの子がうちにくるまで No.12・1~
犬の名前:岳(がく)
犬種:黒柴
飼主:沙羅&寿

~犬や猫と暮らすあなたへ~

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。平均年齢でいえば15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。その葛藤を乗り越えて、我々は犬や猫と暮らします。

毎日が楽しいですか?
――きっと楽しいですよね。
だって、犬を飼うこと、猫を飼うことは、喜びに満ちていることだから。

どうか忘れないでほしいのです。その楽しさを手に入れる前に、我々はものすごく大きな決心をしたのだということを。

そして、どうか自信を持ってほしいのです。
その決心が、ずっと我々を支え続けてくれるのだと。
いつか、その子を送るときが来たとしても。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・後話――
(岳がうちの子になったのは、後編)

――うちの子がうちにくるまで・前話――