犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【別れの日が怖い】飼えるなんて思っていなかった ~岳がうちにくるまで(前編)~【運命を託した犬】

うちの子がうちにくるまで|No.12 - 1 うちの子がうちにくるまで

撮影&文|沙羅&寿
 
今日のお話は

結婚7年目の夫婦。
二人とも犬が大好きなのに、妻は自分の病気のために、飼うことは諦めていました。
ある日、夫が「犬を飼おう」と提案しました。
しかし固辞する妻。別れの日がくるのが怖かったのです。
しかし夫は、犬を抱いたときに見せた、妻の笑顔が忘れられません。
さて、夫婦は、犬を飼うことができるのでしょうか?

こんな方に:
黒柴ってどんな犬?|ペット不可のマンションに住んでいる|別れの日が怖くて、犬が飼えない|経験者の話が聞きたい

 

私達夫婦は、今年結婚7年目にはいりました。
二人ともワンちゃんが大好きなのですが、以前はペット不可のマンションに住んでいましたので、飼いたくても飼えずじまいでした。

実は私には、ある病気があって、仕事ができません。
なので、一人でうちにいる毎日でした。

 

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そんなある日、夫が体調が良好だった私に、ワンちゃんを飼う事を提案してきました。
私に何か張り合いを、と思ってくれたのです。

「飼うのはダメ!」
それが私の返事でした。
「何故?」
「何才の仔であっても、いつかお別れをしないといけない。立ち直る自信がない」
ワンちゃんとは暮らしたかったけれど、それが私の正直な気持ちでした。

 

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2月のある日のこと、夫が「物件を見に行こうよ!」と、突然に言い出しました。
「は?何の?」
そう言いながら、私は夫について行きました。
「ここだけペットOKでね!」
と夫は言いました。そこは同じ市内にある、ペットOKのマンションでした。
私はビックリしました。

 

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「ワンちゃんに、可哀想な思いはさせたくない……」
私は言いました。病気のせいでときどき寝込むことがあるので、自分に手一杯になって、ワンちゃんのお世話が後回しになりそうで――、それが心配でした。
「沙羅(私の名前です)ちゃんなら責任感が強いし、面倒見がいいから大事に育てられるよ!それに何よりも張り合いが出ていいと思うんだけど、どう?」
夫は、そう言ってくれました。

そしてまだ迷っている私に、夫はこんなことを言いました。
「2回見に行って、抱っこさせてもらった仔犬のことを覚えてる?」

その仔犬とは、黒柴の小さな男の子のことです。

 

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話はちょっと前の、1月に遡り(さかのぼり)ます。
私の病院の帰りのことでした。たまたま見つけたペットショップで、夫が「寄って見ようよ!」と言いました。
その頃は、私の体調がとても悪く、心身共に病気に負けていた時です。
たまたま見つけたペットショップに、誘ってくれたのは、私の気分を癒してくれようとしたのでしょう。

 

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ワンちゃんのケージを見ていて、ふと2人の足が止まりました。
「この仔、可愛いねぇ♡」
2人が口を併せたのは、『柴』と書かれた、2ヶ月になったばかりの、黒柴の仔犬の前でした。

あまりに可愛くて、私はしばらくガン見してたのですが、どうしても抱っこしたくなって、店員さんを呼びました。
「抱っこってできますか?」
「いいですよ」
ソファーに案内され、ワクワクしながら待っていると、ちっちゃなその仔犬がやってきました。店員さんに抱っこされながら、その仔は尻尾をブルブルブルと、凄い勢いで振っていました。

 

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差し出されたその仔を、私は胸に抱きました。
その仔は、全く声は出さないで、私の顔をベロベロベロと舐めてきました。
そして、体をクネクネさせて、全然じっとしていません。
ひとしきりそうしていたら、その仔はそのままおとなしくなりました。
その感触と言ったら――、柔らかくて、暖かくて、何とも言えない気分で……

「お利口さんねぇ。」
私は何度も言いました。
「この黒柴ちゃん、凄く人気があるんですよ」
と店員さんはおっしゃいました。

 ●

「あんまり長く抱っこしてたら、赤ちゃんだから疲れるよ。」
夫に言われて、私は店員さんにその仔を返しました。
私達は「可愛いかったねぇ♡」と話しながら家路に。
「沙羅ちゃん、ちょっと気分が良くなったんじゃない?」
夫は笑顔で言い、私も「うん!」と、いつもの病院の帰りとは違う爽やかな気分で、返事をしました。

 

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それから10日もせずに、また私たちは病院に行きました。そして帰りはまた、あのペットショップに。
「まだあの黒柴ちゃん居るかなぁ!?」
ワクワクしながらお店にはいると、まだあの仔はいました。
そして2度目の抱っこ――
前と同じリアクションでした。

夫が「2回見に行って、抱っこさせてもらった……」というのは、その仔の事でした。その日は、私たちはマンションを見ただけで、契約することなくそこを後にしました。

 

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車に乗ると夫がこう言いました。
「ワンちゃんを抱っこしてる時の沙羅ちゃん、凄く嬉しそうな顔してたよ!ワンちゃん飼おうよ!」
「だって前にも言ったけどワンちゃんは……」
私の返事は変わりません。
「じゃ、あの黒柴ちゃんがまだ居たら、さっきの所に引っ越そう。居なかったら引っ越さない。ね?」

夫は食い下がりました。
そして私は、小さく頷きました。

夫がここまで言ってくれるのだから、私はその黒柴の男の子に、運命を託してみようと思ったのです。

 

―― 岳がうちの子になったのは(前編)・つづく ――

うちの子がうちにくるまで|No.12 - 1
犬の名前:岳(がく)
犬種:黒柴
飼主:沙羅&寿
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・後話――

運命を預けたその子は、待っていてくれるだろうか?
夫婦は、その子を見つけたペットショップに急ぎます。
犬を飼う時には、だれもが何がしかのハードルを越えます。
ハードルが高ければ高いほど、その犬は運命の子なのかもしれません。

――うちの子がうちにくるまで・前話――

家族の反対を押し切って、犬を飼った方は多いはず。
反対する理由は様々でしょうが、”反対”は犬への”強い思い”でもあります。
ハードルを越えた先で、反対していたはずの家族が、
誰よりもその子が好きになったりして……

まとめ読み|うちの子がうちにくるまで(犬)③
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

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