うちの子がうちにくるまで|No.13
犬は必ずしも。家族全員に望まれ、歓迎されて家に迎えられるわけではありません。
保護犬の場合は、特にそうでしょう。
犬には “飼いたい!”から始まる愛情もあれば、”飼ってから” 芽生える愛情もあります。
命を預かることは、愛情を育てることでもある。
そんなことを考えさせられるお話です。
保健所から保護犬を迎える|保護犬ははじめて|うちできちんと飼えるだろうか?|計寝k者の話が聞きたい
母が保健所から迎えた犬
ある日、母がいきなり子犬を連れてきた。それがはなこだった。
経緯は母が仕事で保健所へ行った時に、たまたまケージの中にいる子犬を見てしまったからだそうだ。
ケージの中には子犬が2匹。
保健所の人が母に「引き取られませんか?」と……
母は目を瞑り、手を伸ばして触れた方を掴んで引っ張り出したらしい。
そして、そのまま家に連れて帰って来ました。もう1匹の子犬の方はその後どうなったか分からないまま……
連れ帰った時の反応は各々凄かった。
私と兄は大喜び。
でも、父と祖母は大反対。
祖父は中立。
凄まじい喧嘩だったのを覚えている。
今まで動物は鶏しか飼ったことがなかった。それも父が「鶏は卵を産むから」という理由で。
結局、家の中には入れず外で飼うことを条件に飼うことになり、名前は保健所の人が『はなこ』と呼んでいたので、そのままそう呼ぶことに。
柴が混じった雑種で、大人しく人見知りをする子。
雨と風と雷を怖がる子。
私たち家族にしかなつかなかった子。
初めは反対していた父が、はなこに甘くなっていって、はなこの家を作ったりしていた。
はなこは12歳のころから家の中に入ることが多くなり、14歳の時には昼間外・夜は家の中。雨の時は完全室内になった。
初めての犬。
兄弟のように一緒に育ったね。
私が泣いていたら心配してくれて、ペロペロ涙を舐めてくれたね。
台風の時、脱走して私は泣きながら探し回ったね。
名前を呼んだら、ドロドロになった姿で一目散に駆け寄ってきたね。
あの時の、駆け寄って来たときの笑顔が、今でも心に焼き付いてるよ。
いなくなってから一年が過ぎた。でも、忘れたことなんてないよ。
今でも泣いてしまう。
大好きだよ、はなこ。
14年間、うちの子でいてくれてありがとう
はなこ
2015年3月28日没
享年14才
――はなこがうちにくるまで|おしまい――
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犬種:柴犬ミックス
飼主:藤夜
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――うちの子がうちにくるまで・後話――
”ペットの飼育不可”
それで犬や猫を飼うことを断念する方は、きっと多いでしょう。
しかし、運命の子と出会ったから、引っ越しをしたという幸運な方もいます。
――うちの子がうちにくるまで・前話(2話構成です)――
結婚7年目の夫婦。
犬が大好きなのに、妻は自分の病気のために、飼うことは諦めていました。
ある日、夫が「犬を飼おう」と提案します。
夫婦は、犬を飼うことができるのか?
運命を預けたその子は、待っていてくれるだろうか?
夫婦は、その子を見つけたペットショップに急ぎます。
犬を飼う時には、だれもが何がしかのハードルを越えます。
ハードルが高ければ高いほど、その犬は運命の子なのかもしれません。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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作者がはなこの次の子、はなを迎えるお話
先代犬を亡くし、ペットロスだった飼い主。
しかし――、ある日のこと――
「家に帰ったら、子犬がいた」
さて、その犬とは?
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。