犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【腫瘤|腫瘍】良性も悪性もあります ~早期発見が大切です~【気付いたらすぐ病院へ】

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ここは『ハナちゃんの動物病院』(犬版)です。

今日ご紹介するのは、腫瘤(しゅりゅう)ですよ。

腫瘤には良性と悪性がありますが、見ただけでは判別できないので、組織を取って病理検査にかけます。

急に大きくなる場合は、要注意です。愛犬、愛猫の体をしょっちゅう撫でまわしたり、目視して、早期に発見してあげてくださいね。そしておかしな事に気が付いたら、様子見をしたりせずに、早めに動物病院で見てもらってくださいね。

( ※本記事には患部の写真があります。苦手な方はご注意ください)

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撮影&文|ハナちゃんママ

 イボ・腫瘤に気付くことありますか?

高齢になってくると、あちこちにイボ・腫瘤ができてきます。
体表の腫瘤は、飼い主さんの目につきやすいし、ブラッシングなどで気付くことも多いと思います。

何か異常が見つかったら是非一度診察を受けてみて下さい。

炎症性の腫れやしこりなら、様子をみているうちに消えてしまうこともありますが、腫瘍であれば、小さくなってなくなることはありません。
できるだけ小さいうちに、破裂しないうちに、そして、転移しないうちに治療してあげて下さい。

 

 腫瘤の症例を写真でご紹介

以下は実際に診察をした腫瘤の例です。

腫瘤の症例です
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腫瘤は、ある程度大きくなると内部で壊死したり、表面が破れてしまうようになります。

ワンちゃん、猫ちゃんは、舐めてしまうので、体にも大変害があります。

 

 重症化した腫瘍

ここからは、私がみた中で特に忘れられない腫瘍2例をご紹介します。
どちらも、様子をみているうちにどんどん大きくなってしまった症例です。

症例1
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こちらは、ゴールデンレトリバーです。

体側にできた腫瘍が、自分の頭よりはるかに大きくなってしまい、表面が破れ来院されました。

腫瘍の中心 は、壊死していました。摘出手術は、本当に本当に大変でした。
私の経験上、一番大きい腫瘍でした。

症例2
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こちらは、雑種のワンちゃんです。

後ろ足の指の上にできた腫瘍がどんどん大きくなって、ずるずる引きずりながら歩いていました。

腫瘍は指の筋肉や骨には浸潤せず皮だけでくっ付いていましたので、大きいわりには、摘出は比較的楽でした。この大きな腫瘍をぶら下げて、長い間生活していたこのワンちゃんは、どれほど不自由だったでしょうか?

かなりの高齢犬でしたが、結局、このワンちゃんは、術後、抜糸にも来てくれませんでした。今、どうしているか心配です。

悪性度の高いものは、摘出しても再発したり、転移が避けられない場合も多いです。
腫瘍は、様子をみているうちに、どんどん大きくなり、中心が壊死したり、表面が破れてきます。小さいうちに病院で判断してもらって下さい。

早ければ、大がかりな手術にならないし、術後の傷の管理も楽になります。
くれぐれも巨大化させ、先生を泣かせないでくださいね。

 

 読者とのQ&A

■読者からのコメント:

うちの子もイボ体質?で気になるポッチが見付かると直ぐに病院へ行き、取った方が良いものは直ぐに取って貰うようにしています。
麻酔も局麻で済むし、うちの子の負担も軽くすみます。

大きい腫瘍は見ている方も色んな意味で辛いし、先生の手術も大変でしょうが、なんと言ってもワンコの負担が大きくなるのは一番可哀想ですね。
■ハナちゃんママからの回答:

コメントありがとうございます。
本当にそうなんです。
早ければ、ワンちゃんの負担も小さくできるので、とにかく診察してほしいです。
場所によっては、局所麻酔で切除することもあります。

これからも、体表のチェックはしてあげて下さい。

 ●

■読者からのコメント:
凄い症例ですね…誰しも事情はあるでしょうが、もう少し早く病院に連れて行ってあげて欲しいです。
手術を終えたわんちゃん達、重たいものが無くなって良かったです♪
早く元気になーれ♪
■ハナちゃんママからの回答:
コメントありがとうございます。
本当にびっくりしてしまう症例です。
でも、ここまで放置し、どうしようもなくなって、さらに、手術もあきらめてしまう患者さんもいます。
こんな病気になったおまえが悪いんだよ、ってワンちゃんに向かって言っている患者さんがいて悲しくなりました。
いろいろな事情はあるのでしょうが、すっきりしない時もあります。

ハナちゃんママからのアドバイス

腫瘍を見付けたら、針を刺して細胞を採って、検査をすることが勧められています。しかし、なかなかそこまでできないのが現実です

大きくなるか様子をみて、大きくなれば手術しましょう、と、なることが多いのですが、腫瘍なら、様子をみていてもなくなることはほとんどありません。
大きくなってしまったり、表面が破れて出血したり、どんどん悪化します。

悩んでいるうちに大きくなってしまうので、その前に決断をして欲しいです。

【Withdogより】ここでご紹介したのは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。

――いつもやさしい、ハナちゃんママの動物病院はこちら――
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 日光どうぶつ病院

ハナちゃんママが獣医さんになった理由は?
ハナちゃんが看板犬になった理由は?

こちらをどうぞ
【獣医師が犬を飼うということ】ハナがうちにうちにくるまで 

 ▶ハナちゃんママ:犬 の診察記のご紹介
 ▶ハナちゃんママ:猫 の診察記のご紹介

――次話――

【膿皮症】【アレルギー】
指しゃぶりと、シャンプー嫌い

今日は膿皮症とアレルギーについて。
ハナちゃんは体がカイカイ。
あちこち痒くて、いつもボリボリしたり舐めたりしています。
うちのピーチーもそうでした。
ここからハナちゃんは、カイカイを克服するのですが、
これはその最初のお話。

――前話――

【歯石処置】【全身麻酔】
犬にも猫にも歯周病はあるんですよ

今回は歯石処置のお話。
犬猫も人間と同じ。歯石を放置すると歯周病になりやすい。
しかし、除去には全身麻酔が必要。悩ましいですね。

うちの愛犬ピーチーは、堅い馬のアキレスをおやつに食べていて、歳で顎が弱るまでは、歯磨き無しでバッチリでした。

まとめ読み|【犬版】ハナちゃんの動物病院 ③
この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。

 

――ハナちゃんの動物病院(犬)・初回の記事です――

【尿石症】
膀胱炎や、尿経路の結石による痛み

膀胱炎などの症状から、発覚します。
場合によっては手術が必要になり、命にかかわることもある怖い病気。
意外に多いし、予兆もあるので、気を付けてあげてください。

 ペットの闘病についてのヒント

臨床現場から見た、良い獣医師の選び方

”良い”獣医師選びは、飼い主の責任でもあります。
目的は常に動物の病気を治すこと。
そのために獣医師は何をすべきか?
そう考えると、自然に”良い獣医師”とは何かが分かってきます。
現場を知るからこそ出来るアドバイス。

ペットの抗がん剤治療を迷っている方へ

抗がん剤というと、厳しい副作用が頭に浮かびませんか?
しかしそれは人間の場合で、動物の場合は少し様相が違います。
何のための治療なのか? 
目的が人間と動物では違うからです。
使ってやろうかな? もしかしたら、そんな風に思えるかもしれません。

 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

 

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