うちの子がうちにきてすぐ|No.5 ‐ 1
念願だったフレンチブルドッグを飼い始めた作者。名前は”ちぃ”に決めました。
しかし ちぃ は犬との付き合いが苦手。散歩でも煙たがられて、いつも一人ぼっちでした。
ちぃ を可愛そうに思った作者は、2匹目の子 ”れん” を迎えてあげました。
初めての犬 ちぃ に続いて、初めての多頭飼い。
さて、ちぃ と れん の関係は、上手く生きのでしょうか?
この記事はこんな方に:犬を飼い始めた|フレンチブルドッグってどんな犬?|フレンチブルドッグを多頭飼いしたらどうなるの?|経験者の話が聞きたい
多頭飼いのはじまり ‐ 二匹目のフレンチブルドッグ
先住犬のちぃを、わが家に迎えてもうすぐ1年が経とうという頃、我が家には新しい子いぬがやってきました。
その時、私は、娘が生まれたときの母の言葉を思い出しました。
『…いいかい、下の子が生まれたら、上の子にうんと構ってやらなくちゃだめだよ。赤ん坊は小さいうちは何もわからないけど、上の子は、赤ん坊にお母さんを取られたと思って、とても傷つくんだからね』
息子は小さなときから気持ちの明るい子で、妹の誕生を無条件に喜び、受け入れてくれました。
初めて息子に抱っこされて驚いた娘は、顔を真っ赤にして大声で泣き出し、息子をちょっと悲しませましたが、その後も息子は保育園で、小さな妹をとても可愛がっていたようです。
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息子が妹の様子を見に、ベビーベッドのある保育室を一日に何度も覗きに行き、窓から眠っている妹の名前を連呼するので、他の年長児も、息子につられて同じ行動をしていたそうです。
保育園の先生は娘のことを、
「お兄ちゃんのおかげで、すごい人気者なんですよ。アイドルです。」
と、おおげさに教えてくれました。
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しかし、息子と違って神経質なちぃが、無条件に新しい子いぬを受け入れるとは思えません。
私は、私や家族が子いぬに触っているところを、ちぃに見せたり、ちぃのナワバリである居間に子いぬを入れたりして刺激してはいけない、と思いました。
ちぃがやきもちを焼いて、子いぬを攻撃するようになるかもしれないのですから。
新しい子犬の名前は れん
娘の提案で、子いぬはちぃとご対面できるようになるまでのしばらくの間、居間の隣にある娘の部屋に、居候させてもらうことになりました。
子いぬの名前は、ちぃの時と同じで、「ふぅ・れん・ちぃ」の三択です。
(またもや「フ・レン・チ」の駄洒落ですが…)
この3候補から、「ちぃ」を除く二択となりました。
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白黒で、白の比率が圧倒的に多く、短毛ですが猫のようにふわりとしたやわらかい毛を持つ子いぬの風貌には、「ふぅ」という名前が似合う気がしました。ところが、実際に名前を呼んでみると、どうも歯切れが悪く、しっくりこないのです。
子いぬの「ふぅ」は、その日のうちに「れん」に改名されました。
牛模様の小さな生き物
私はペットショップの女性店員がくれた、生まれて間もない「れん」の顔写真を娘の部屋の入り口に貼りつけ、「ちぃ、ここにはね、この子がいるからね。入っちゃダメだよ」と、ちぃに教えました。
そして家族の誰かが、「れん」を見に娘の部屋に入るときには、他の誰かがちぃと遊んで、ちぃを居間にひとりきりにしないように気をつけました。
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それから何日もかけて、はじめは娘の部屋のドアを少しだけ開け、ちぃに子いぬの姿を覗き見させました。
子いぬの「れん」は、ちぃよりもペットショップ暮らしが長く、いろいろな人や犬を見慣れているためか、ちぃの姿を見てもさほど驚きもせず、ケージの中でおとなしくしています。
その一方で、ちぃは、初めて見る牛模様の小さな生き物に興味津々で、とても興奮していました。
ついにご対面
それから何日か後――
ちぃとれんはケージ越しにご対面し、お互いに鼻を近づけてにおいかぎの挨拶をしました。
ちぃはれんに向って吠えたりしなかったので、その翌日、居間で2匹を遊ばせてみました。ちぃは、まるでお母さん犬のように、小さなれんのにおいを気の済むまでかぎ、体のあちこちをペロペロとなめ始めました。
一方、れんは体は小さくても、心はもう赤ん坊ではないらしく、しつこくお世話をしたがるちぃに戸惑っているようでした。
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そのうちにれんは、ちぃを相手に元気よく鬼ごっこのような遊び(体当たり?)始めましたが、ちぃはれんの体が小さく、力も弱いことをわかっているようで、れんがけがをしないように手加減しながら、恐る恐る相手をしているようでした。
ともかく、ちぃがれんを敵視せず、受け入れてくれたように見えたので、私たち家族はほっと胸をなでおろすことができたのでした。
~れん がうちにきてすぐ(1/2)つづく~
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新米飼い主が犬を迎えてすぐの頃の、悩みや葛藤、未経験だからおきたドタバタを振り返り、自身の言葉で綴ったエッセイのシリーズです
我が家では新しい犬を迎えようとしています。
今しみじみと実感しているのは、自分はベテラン飼い主などではなく、新米飼い主なのだということです。18年前に先代犬を迎えた時のように、何も知らないのです。
どうやってトイレを教えたっけ?
家に帰ったら、テーブルの脚が1本無くなってたことがあったなあ。
あの破壊活動はどうやって躾けたっけ?
先代犬で積んだはずの経験は、今や忘却の彼方です。
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――うちの子がうちにきてすぐ・次話――
『れん』は成長して『ちぃ』よりも大きくなります。
玩具を奪い合う二匹ですが、『ちぃ』はやんちゃな弟を気遣います。
しかし――、どうしても守らなければならない2匹のルールもあって――
家族は長い年月をかけて、出来上がっていきます。
――うちの子がうちにきてすぐ・前話――
念願の犬は『ちぃ』と命名。
好奇心旺盛で、何でも口に入れるちぃ。
骨付きチキンを飲み込んだ時は、夜間病院へ――
やがて犬が、口で気持ちを伝えることを知る飼い主。
そうやって段々と、お互いが分かり合っていく。
ようこそ、我が家へ、ちぃ
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにきてすぐ・第1話です――
普通の飼い主は、しつけのベテランには、なかなかなれないもの。
犬を飼うたび、毎回が新米飼い主。
だから起きる事は、毎回新鮮です。
飼ってすぐのドタバタというのは、振り返ると思い出深いもの。
今回は、トイレのしつけのお話です。
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れん がうちにくるまで
先住犬の”ちぃ”は、どうもよその子に受けが悪い。
このまま犬の友達はできないの?
そんなとき、小さな白い犬を見かけたのです。
「ねえ、友達になってくれる?」
子犬の箱を受けとり電車に乗った作者。しかし事故のために大混雑。
優しい老夫婦の助けで、なんとか満員の車中を過ごします。
家へと急ぐ作者。迎える家族。
君は手荷物でうちに来たんだよ。
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ちぃがうちにくるまで
本当は犬が苦手だった作者。
その作者が偶然、びっくりするほど大きな顔の犬を目撃しました。
哲学者のような振る舞いの犬――
月日がたたち、作者はその不思議な犬の置物に遭遇します。
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。