セラピードッグのさくら 飼い主の体験談
セラピードッグってご存知ですか?
皆さんは、セラピードッグってご存知ですか?
触れ合いや交流を通じて高齢者や病気やケガまたは精神的な痛手を受けた人の不安を減らして、心と体を癒す働きをする訓練を受けた犬たちのことです。
今日は、うちの愛犬さくらがセラピードッグをしていた時のお話をしたいと思います。
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子供の頃から、いつも私の身近には犬がいました。捨て犬を拾ってきたこともありましたし、スピッツ、コリー、ミックス、シェルティ(2代)などをずっと飼っていました。犬は私にとってかけがえのない存在でした。
結婚してからは犬とは暮らしていませんでしたが、実家には可愛いシェルティがいましたし、特に犬を飼いたいという気待ちにもなりませんでした。
犬と暮らせるチャンス - その子はミニチュアダックス
そんなとき、また犬と暮らせるチャンスが訪れました。
主人が働いていた老人施設で、セラピードッグを始めることになり、その役割を務める犬を、我が家で迎えることになったのです。
主人が施設の事務長であったことと、私が大の犬好きという事が決め手となり、理事長からの許可を受けたのです。
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しかし、そう決まったからと言って、話は簡単ではありませんでした。
その頃私達夫婦が住んでいたのは、ペット禁止の集合住宅でした。つまり、隠れて犬を飼わなくてはならなかったのです。それについては正直不安でした。迎える犬種についても馴染みのないミニチュアダックスということに少し抵抗感もあったのです。
でも、ブリーダーさんのところでその子犬を一目みた時から、
可愛くて、可愛くて――
隠れて飼うことの不安も、ミニチュアダックスに対する抵抗もどこかに飛んでいき、子犬を迎え入れるのがとても楽しみになったのです。
その子の名前はさくら
ブリーダーさんのところでは、飼いやすくて、老人施設の利用者さんに威圧感を与えないようにと、兄弟の中で一番大人しく、小さい子を譲り受けました。
それが、うちの愛娘さくらです。
この『さくら』という名前は、セラピードッグをすることになる老人施設(主人の勤務先)の名前を、一部いただいたものでした。
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子供に恵まれなかった我が家ですが、さくらがやってきてからパッと明るくなり、夫婦の会話も増えて毎日が楽しくてたまりませんでした。
さくらが生後3カ月になった頃、セラピードッグをさせるため、自宅に訓練士さんに来てもらい訓練をスタート。
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基本的な待てや、おすわり、人間がリーダーであること、無駄吠えをしないような訓練をしました。とてもやんちゃな時期でしたが、訓練のおかげでさくらは吠えることがほとんどなくなりました。
その成果は、親族から、「吠えないように手術したの?」と驚かれるくらいでした。
セラピードッグの活動開始
訓練を受けて、人にも犬にも優しく接することが出来るようになったさくらは、主人の働く老人施設でセラピードッグとしての活動を始めました。
基本的に、さくらは主人と一緒に出勤していたので、週休二日制。月曜から金曜までの平日は、施設でセラピードッグとして活動しながら、その合間に犬好きのスタッフにお散歩もしてもらっていました。
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今思うと、それはさくらにとってなかなかハードな生活だったのかもしれません。毎朝、主人と出掛けていく小さな身体を少し不安な気持ちでいつも見送っていたのを思い出します。
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仕事がお休みの土日には、食べ歩きが趣味な私達夫婦は、美味しいものを食べに日帰り出来るところへ、さくらを連れて一緒に出掛けたり、公園やドックカフェにも行きました。
買物の時もいつもさくらも一緒で、犬が入れない場所では、主人とさくらは外で待っていたりするようにしていました。
犬には犬のストレスが
老人施設のデイケアの利用者さんは、いつもさくらに会えるのを楽しみにしてくれていました。デイケアに行きたがらなかった利用者さんが、さくらに会いに行きたい、と仰っていたと聞いたこともあります。
利用者さんの中には、さくらのオヤツを持参して、一袋全部をさくらに食べさせてしまい、お腹を壊して病院で点滴を受けたこともありました。
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施設の職員さんもさくらを可愛がってくれたようでした。
職員用のまかない食が始まる頃になると、体内時計がそれを察知したさくらが、休憩室で待っていたそうです。厨房のスタッフさんが、ササミを茹でたものを自宅から持参してくれて、さくらはそれをもらっていたようでした。
しかし幾ら可愛がられていても、仕事としてやるとなると、ただのペットとは違ってきます。犬には犬のストレスがあるのです。
――セラピードッグのさくら(前編)・つづく――
作:さくらママ
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――次話――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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