ピーチーの闘病記:癲癇(てんかん)編
『かかりつけ医の治療によって病気の改善が見られない場合は、専門科(二次診療)を受診して、専門医の意見を仰ぐ』
人間の医療ならば当たり前のことですが、動物医療ではまだまだ浸透していない取り組みです。
ピーチーはこの二次診療を積極的に取り入れました。
この更に2年前、ピーチーは胆管閉塞を患っており、その時には二次診療で命を救われているます。だから専門医に頼ることについては、まったく迷いはありませんでした。
二次診療では新薬や時には人間用の薬を使う場合もあります。ピーチーに用いたイーケプラもそうでした。医師にとっても未経験なことが多く、まだ治療データも乏しかったため、可能性に賭けながらの手探りの治療でした。
当時のブログより
※文体は執筆当時のままです。
今日ピーチーは、DVMs動物医療センター横浜に行ってきました。
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これがDVMs
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まず初めに申し上げると、今回の記事は愛犬がてんかんを患っていらっしゃる飼い主さん以外には、あまり役に立たないものかもしれません。
退屈に思われましたら、どうか読み飛ばしてください。
DVMsについて
DVMsという病院名はこれまで何度か書いていますが、説明不足だったと思いましたので、概要だけをご紹介しておきます。横浜以外の地域にお住いの方は、少しだけご辛抱ください。
【DVMs動物医療センター 横浜】
DVMsは通常の動物病院とは違い、夜間(19時から翌朝の9時まで)は救急診療を専門とし、昼間は二次診療を専門とする病院となります。
分かりやすく言うと、夜間は町の獣医さんの診療時間を過ぎてから、ペットが急に苦しみ出したというような時に駆けこむ病院です。人間で言う、ER(救命救急)だと思えば良いでしょう。
そして昼間になるとドクターが入れ替わり、今度は掛かりつけの獣医さん(主治医)では手におえない、重病や怪我を負ったペットを引き受けてくれる、高度医療を受け持つ病院となります。
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夜間は駆け込みさえすれば、どんなワンでもニャンでも診てくれますが、昼間は主治医の紹介状が無いと診てもらえません。高度医療の提供を謳い文句とするだけあり、MRIやCTスキャンなどの設備も充実していて、医師も循環器科や整形外科などの専門に別れています。もちろんピーチーが通う脳神経化もあります。
通常診療と二次診療の使い分け
ピーチーはというと、癲癇(てんかん)の大発作で、2度こちらの救急診療に駆け込みました。現在は二次診療として、MRI検査を経て、脳神経科の先生に診てもらっています。
通常の病気は掛かりつけの『大倉山動物病院』で、長年の付き合いの主治医に診てもらい、その主治医では改善しなかった癲癇だけを、『DVMs』の脳神経科で、専門医に診もらうという形です。その癲癇も『DVMs』で行うのは診察までで、薬は『DVMs』の指示にしたがって、『大倉山動物病院』で処方してもらいます。
本日は脳神経科へ
本日、DVMsに行った目的は大きくは2つ。
前回処方してもらったイーケプラの効果を確認することと、機能障害の状態の再確認。後者は具体的には、1週間安静を取った上で後肢の回復度合いを見ることと、眼(特に右目)に見られた、瞬きの反応の鈍さを再確認します。これは機能障害が脳から来ているものか、それ以外に原因があるかを確認するためのものでもあります。
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イーケプラに関しては、飼い主としてもその効果を実感しており、その旨を医師に告げたところ、予想通りの結果であった事に満足をされていました。更にイーケプラ処方後、これまで時々見受けられた、まだら状の記憶の欠落や、時折見せていた(やや異常な)興奮状態が収まったことを告げました。
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僕としてはピーチーに起きていた障害は、ピーチーに大発作以外にも眼に触れない小さな部分発作が時々起きていて、そのために大発作で損なわれた脳の損傷が完全にリカバーされていないためではないかと推測していました。もしもイーケブラがその部分発作まで抑え込んでくれたとしたら、そのお蔭で元の記憶を取り戻し、興奮状態も収まってきいるというこも考えられます。この推論を医師に告げたところ、『十分に可能性のあること』との回答を得ました。
ついては、先回イーケプラの1クール終了後、6日を過ぎたところで大発作を経験しているため、予防的意味も含めて、もっとイーケプラの投与回数(1クール単位での投与の回数)を増やす提案をしたところ、『やってみましょう』との回答を得ました。
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イーケブラについて更に質問をしたところ、連続して一生飲み続けても、副作用の心配はないものであるが、高額な薬である事により飼い主の経済的負担を軽減する目的で頓服(必要な時だけに飲む)扱いになっているとの事でした。
確かに、イーケブラを恒常的に飲ませると月額で薬代だけで3万円にもなり、併用して飲むゾニサミドと、毎月の診療費を加えると5万円を軽く超えます。また、経済的負担だけでなく、8時間おきに摂取させる困難さも伴います。
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今回の相談により、イーケプラの投薬頻度を高めることになり、それを行うタイミングは、飼い主が愛犬を日々観察した上で判断するものとしました。
ピーチーは本日、若干の興奮状態であり、過去の例ではそのような軽い状態(飼い主からすると、むしろ元気がよく、最近調子が良いと思える)から発作に発展してきたことを鑑み、本日より早速イーケブラを1クール投与することにしました。帰宅後、早速半錠を飲ませたところです。
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他の確認事項であった、後肢の運動障害は改善されており、これはやはりヘルニアの症状が安静によって改善されたと思われることから、あと2週間の安静をさせてさらに回復状況を確認することになりました。
瞼の反応は問題の無いレベルまで改善されていました。理由は分かりませんが、瞼の反応障害もてんかんの軽い部分発作が引き起こしていたという推論も可能です。こちらも2週間後に再度確認することになりました。
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今回の診察でピーチーの発作は、脳の病変に起因するものではなく、特発性のてんかん発作である可能性が更に強まったことになります。また今回のイーケブラの投与方法が功を奏せば、てんかんをある程度コントロールする道が開けてきます。
何れにせよこれからの2週間、ピーチーの経過を見守るしかありませんが、ぜひ発作をコントローるできるようにと強く願っています。
下の写真はDVMsの待合室で、順番待ちの他の子の飼い主さんに可愛がってもらって、興奮しているピーチーです。
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おいおい、そんなに興奮するなよ
目が真剣でちょっと怖いぞ
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――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(19/31)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
発作は嫌いよ|20/31
通院でタクシーを使う際――
ほぼ間違いなくケージに入れて下さいと言われます。
入れないと乗車拒否に遭うことも。
しかし癲癇の場合は問題が――
発作後は足元がおぼつかず、時に興奮状態で暴れることもあってケージは危険なのです。
そこで思いつきました。
――前話――
発作は嫌いよ|18/31
ピーチーはお風呂が大嫌い。
「お風呂」という言葉を聞くだけで、逃げ出してしまう子でした。それなのに何故かお風呂場は大好きでした。
体調が悪い時はいつもお風呂場にこもりました。
ひんやりして暗くて静かな場所で、一人でいたかったのでしょう。
――この記事の初回です――
発作は嫌いよ|1/31
我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。
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2015年のある日、我が家の愛犬ピーチーを病魔が襲いました。
最初は夏バテかなと思い、次に熱中症を疑いました。
かかりつけの獣医師も、熱中症との診たてでその治療を。
しかしピーチーの状態は悪化の一途。
ただならぬ状態に、未明の救命救急に飛び込み、そこで発覚したのが重度の肝炎でした。
結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。
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