ピーチーの闘病記:癲癇(てんかん)編
我が家には車が無くて、二次診療の病院(DVMs)への通院にはタクシーを使っていました。しかしタクシーには少々問題がありました。犬を連れているというだけで、時々乗車拒否に遭うのです。
多くの場合は、ケージにいれてくれと言われますが、癲癇の発作で病院に駆け込むときには、愛犬の足元がおぼつかないのでケージだと危険です。飼い主がしっかり抱いているのが理想なのです。
そこで名案を思い付きました。
当時のブログより
※文体は執筆当時のままです。
皆さん、扉の写真と下の写真は何だと思います?
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袋の中からコンニチハ
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ピーチーが袋に入って、頭だけ出しているんですが、何だかエスパー伊藤のバッグに収まる芸みたいです。←知ってます?
これです▼。(肖像権とかありそうなので、一応モザイク掛けました)
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これがエスパー伊藤
最近見かけないなあ
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ピーチーがなぜ、エスパー伊藤の芸を真似たのか?
その理由を知りたくないですか?
今回はピーチーが、袋芸を始めたやむなき事情のお話です。
袋芸は突然に!
我が家には車が無いので、ピーチーを病院に連れて行く際にはいつもタクシーを使ってます。実は最近そのタクシーで困ったことが起きました。
それはピーチーがMRIの検査に行く日の事です。
以下に大体の経緯を書きます。
(下記の”タ”はタクシー会社です)
僕:(タクシー会社の配車センターに電話を掛ける)
すいません、タクシーを一台お願いします。
タ:はい、ありがとうございます。ご住所は~~~ですね?
僕:そうです。
※何度も使っているので、電話番号が登録されている。
タ:8分ほどで参ります。
僕:病気の犬を病院に運びますので、犬が大丈夫な運転手さんをお願いします。
タ:ケージにいれていただければ大丈夫です。
僕:病気でケージに入れられないのです。タオルでくるんで、しっかり抱いていきます。
タ:その場合は、運転手が現地で乗車をお断りする場合があります。
僕:何故ですか? いつもそれで対応していいただいています。
タ:決まりではそうなっています。お客様はこれまで、たまたま犬好きの運転手に当っただけです。ケージに入っていないと、犬嫌いの運転手はお断りする可能性があります。
僕:それでは、無線で犬が大丈夫な運転手さんを呼んでください。
タ:できません。
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ここからは押し問答です。こちらはMRIの予約時間が迫っているし、もしも現場で乗車拒否されたらもう間に合いません。発作が起きて以降のピーチーは足元が覚束ないことが多いので、ケージにいれた状態では運びたくないのです。
埒があかないので、一旦電話を切って、今度はタクシー会社の本社に電話。
『病気で立てない犬がいるが、ケージにいれないと言われた。何とかしてくれ』
と言う。――でも、答えは配車センターと同じ。
なぜ? いつもは対応が良いし、運転手さんも優しいし、一番信頼しているタクシー会社なのに……
「それではお宅では、病気で動けけず、ケージにも入れないほど具合が悪い犬は、病院には運ばないということなのですね?」
もう一度食い下がる。
「決まりなのです。ケージに入れていただければ……」
お前はアホか? (←心の声)
時間はどんどん迫ってくるし、僕も腹が立ってきて、「もういい!」と言って電話を切って、別のタクシー会社に電話を掛けました。
今度の会社は親切で、タクシー無線でこちらの事情を伝え、大丈夫な運転手さんを手配してくれました。
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「もうあそこの会社は二度と使わない」
僕が怒って言うと、うちの奥さんは冷静に「まあまあ」と返してきました。そして、「折角現場の運転手さんが優しい会社なんだから、工夫してこれからも使おうよ」と言いました。
確かにその考えには一理も二理もあります。これからピーチーの身に何が起きるかわからないと言う時に、こちらから選択肢を狭めてしまっては本末転倒ですからね。
――で、工夫をしたのです。
愛犬をしっかりと抱いたままで乗れて、しかも乗車拒否をされない方法を。
その名は『ソフト・キャリーバッグ』
皆さん、ご存知ですか?
ケージと同じくらい、タクシー・ドライバーからの信頼が厚いギアがあることを。
それは何か?
言うまでもありません。
キャリーバッグです。
しかし、キャリーバッグは堅い上に取り回しがわるくて、小型のケージだといっても過言ではありません。当然ながら、バッグの上からピーチーをしっかりと抱いてやることができません。
では、柔らかいキャリー・バッグがあればどうか……
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すぐに答えは見つかりました。
要するに、”キャリー”ができる”バッグ”であれば良い!
キャリーができるものであれば、バッグにはハードもソフトも定義が無いはずです。
そして生まれたのがこれです。
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ソフト・キャリーバッグ
世紀の大発明
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そうです。ピーチーを柔らかい袋に入れてやれば万事解決するのです。
後は、こっちの理屈に、タクシー会社が乗るかどうかだけです。
早速僕たちは、『ソフト・キャリーバッグ』を実践してみることにしました。
それが前回のピーチーの発作の時と、今回の通院です。
ちょっと長くなったので、記事を分けますね。
続きは後編にて。
――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(20/31)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
発作は嫌いよ|21/31
安全に愛犬を病院に運びたい。
試行錯誤の末に行きついたのが『ソフトキャリーバッグ』でした。
早速、タクシーを呼んで試してみると――
乗車拒否もなく、病院でも注目の的です。
大成功!
こうしてこのバッグは、ピーチーの通院専用となったのです。
――前話――
発作は嫌いよ|19/31
ピーチーは脳神経科を受診していました。
かかりつけ医の治療で病気が改善しないので、専門医による二次診療を受けたのです。
高度医療という選択肢です。
今では割と一般的になってきた考え方ですが、当時はそれを嫌う獣医さんが沢山いました。
――この連載記事の初回です――
発作は嫌いよ|1/31
我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。
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2015年のある日、我が家の愛犬ピーチーを病魔が襲いました。
最初は夏バテかなと思い、次に熱中症を疑いました。
かかりつけの獣医師も、熱中症との診たてでその治療を。
しかしピーチーの状態は悪化の一途。
ただならぬ状態に、未明の救命救急に飛び込み、そこで発覚したのが重度の肝炎でした。
結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。
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