犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【癲癇|てんかん】8月2日 最近の治療方針について ~発作は嫌いよ(31/31)~

【関連コンテンツ】

ピーチーの闘病記:癲癇てんかん)編
ピーチーの癲癇闘病記

撮影&文|高栖 匡躬 (爆睡中のピーチー)
 
当時を振り返り

ピーチーの癲癇は、イーケプラによって発作がかなり抑えられていました。
しかし正確に8時間置き(2時間の誤差は許容)にイーケプラを与え続けることは難しく、長期に渡ると無理が生じることが明らかでした。

なんとかイーケプラを与えなくても良い方法を模索していたのがこのころです。
しかしイーケプラが切れるとすぐに大発作が来る状況で、癲癇は段々悪化してきているということで、医師とは見解が一致していました。

本記事は小康状態の区切りで書いた、癲癇闘病記のまとめです。
その後ピーチーの病気は、新たな急展開を迎えていきます。

 当時のブログより|小康状態なので、ここまでのまとめ

※文体は執筆当時のままです。

ピーチーの前回の脳神経科での診療から、今日で丁度1週間がたちました。
前回のてんかん発作からも、丁度1週間という事になります。
幸いにもその間、一度も発作は起きていません。

このまま安定してくれると良いのですがね。
今のところ小康状態のようなので、ここで一旦現在の治療についてまとめておきます。

愛犬が同じ病気でない場合は退屈かもしれませんので、適当に読み飛ばしてくださいね。

 

 現在投与している薬

f:id:masami_takasu:20210203161542j:plain
【抗てんかん薬】
・イーケプラ 250mg×3回/日 8時間おき
・ゾニサミド 100mg×1.5錠×2回/日 朝夕食事
 (正式な薬名はコンセーブ、ゾニサミドは成分名)
・臭化カリウム(溶液) 1.4cc×2回/日 朝夕食事

【その他、常用している薬】
・肝臓薬(薬名:ウルソ)
・強心剤(薬名:不明)
・ステロイド剤(薬名:プレドニン、プレドニゾロン)[頓服]

 

 抗てんかん薬によって起きる現象

f:id:masami_takasu:20210203161801j:plain

・3剤の混合投与のため、とにかく寝ます。
・1つ1つの薬に眠くなる副作用がありますが、それが相まってネムネムの状態。
・暑いのか寝心地の良い冷たい床で眠り、そこが自分の体温で温まると、別の冷たい床を求めて移動、そしてまた睡眠の繰り返しです。
・食事の時間になると、ちょうど薬の体内濃度が下がるためでしょうか、のそのそと起きだしててきて、『ごはんはまだかな?』という感じ。

 

 ピーチーの一日

寝る場所をローテーションして、ご飯の時間になると起きてきます。

ピーチーの一日

 

 気を付けていること

1.イーケプラの投薬時間の厳守

イーケプラの8時間置きの投与は、かなりの困難を伴います。
たとえば、朝9時に与えると、次が17時、その次が翌1時という流れ。前後2時間は許容されているとはいえ、必ず仕事に被ることになります。仕事の時間を家族で調整し合うなどで、何とかするしかありません。

2.高タンパクな食事

また、寝ている時間が多いと筋力が落ちる一方のため、鶏肉を多くした食事でタンパク質を摂取することと、毎日の散歩を欠かさないようにしています。ヘルニアが疑われるため、本来は散歩を止められているのですが、急激な筋力の低下を目の当たりにすると、無理のない運動であれば、させておかなければ寝たきりになると恐れたからです。

 

 発作によって、しつけが取れてしまう問題に関して

以前は発作のたびにしつけがとれ、トイレの場所が分からなくなるという問題がありましたが、今ではそれは生じていません。それは飼い主側の工夫によって軽減ができることが分かりました。

我が家では、発作の後、または発作で入院して初めて帰宅したときの最初のトイレで、必ず所定の場所で用を足させ、褒めることを心がけています。褒めるというのは、トイレのしつけを一からし直すことを意図しています。

最初の3回の発作の際は、トイレを再教育するのにかなりの時間と根気が必要でした。しかし、初回に成功させてやれば、正の循環が始まり、すぐに自分からトイレの事を思い出すようです。

 

 今後の治療方針について

現状の3剤投与はこのまま続け、臭化カリウムの血中濃度が十分に上がった3か月後に、イーケプラを頓服に変更するかどうかを再検討することになりました。イーケプラで症状が安定することは分かっているのですが、今後もずっと8時間置きに薬を与えることは、不可能に近いことだからです。

現状、てんかんは多剤投与によってコントロールはできていますが、そのそも多剤投与に至るまでの時間経過は短く、急速に悪化しているようにも思えます。3剤の投与でまた発作が頻発する事態となった時には、試験的に脳炎の治療を試みることになっています。

前回のMRI検査では、脳炎の症状は認められませんでしたので、今のところその可能性はネガティブという事にはなっていますが、脳の炎症はMRIに映らない場合もあり、また自己免疫不全によって発症している脳炎は、ウイルスの検知もなく、発熱などの症状もないことから、外部から判断は難しく。したがって、ピーチーがこの種の脳炎に罹患している可能性は、完全には否定できません。

悪化の速度が速いという現象面からみた場合、通常のてんかんではない何かが起因している可能性も大きく、そこで脳炎を疑い、上記のように試験的に治療を試みるという選択肢になるわけです。

ピーチーの場合、当初最も疑われていた脳腫瘍という事態を辛くもクリアした訳で、飼い主としては一安心ではあるのですが、とは言え、原因不明というのはやっかいな状態です。

これに加えて、高齢による様々な障害が、問題を複雑化させているのが実情です。

こうやってつらつら書いてみると、結構えらいことだなとは思うのですが、ピーチーのとぼけた顔を見ていると、対応が少しも苦にならいし、むしろ新しい状況を楽しんでやっている自分にも気が付きます。

ブルテリアは本当に不思議な犬だなと思います。

 

 最後に

本話でピーチーの癲癇闘病記はおしまいです。
途中で終わったように思われるかもしれませんが、このすぐ後の8月16日にピーチーは劇症肝炎を発症し、命がけの闘いがはじまるのです。

結果としてその劇症肝炎は、自己免疫不全が原因であることが分かります。そしてそれはまた癲癇の原因であったことも分かってきます。

結局ピーチーは癲癇、劇症肝炎と別々の病気と闘ったのではなく、1つのこと――つまり自己免疫不全――と闘っていたわけです。

この後もピーチーの大発作は続き、癲癇への対応は続いていきますが、それについては下記の劇症肝炎の闘病記をお読みいただければ幸いです。

 

劇症肝炎闘病記|1話

筆者の愛犬ピーチーは2014年8月16日の早朝6時、救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
ただごとではないと思いました。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。

 

――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(31/31)おしまい――

文:高栖匡躬
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――前話――

発作は嫌いよ|30/31

前の日調子が良かったピーチーですが、この日は大発作で病院へ。
なかなか安定しません。
振り返ると、闘病が始まってまだ3か月。
あっという間に悪化していることに驚かされます。
MRIでは脳には異常なし。
その意味がやがて明らかになるのですが……

www.withdog.site

――この連載記事の初回です――

発作は嫌いよ|1/31

我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。

www.withdog.site

他の癲癇の闘病記です

はじめに|わたしがこの闘病記を書き始めた理由

今日から、きずあすかさんの愛犬、ろくすけ君の闘病記を連載します。
病名は癲癇。ある日突然に発症しました。
「あの病態は、飼い主の心を乱します」
その言葉に、経験者の方は皆うなずくことでしょう。
初回は、闘病記を残す理由です。

 

おすすめの関連記事です

自己免疫不全|実は身近で起きていることかも

2015年のある日、我が家の愛犬ピーチーを病魔が襲いました。
最初は夏バテかなと思い、次に熱中症を疑いました。
かかりつけの獣医師も、熱中症との診たてでその治療を。

しかしピーチーの状態は悪化の一途。
ただならぬ状態に、未明の救命救急に飛び込み、そこで発覚したのが重度の肝炎でした。
結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。

ステロイドの体験談|怖がらなくていい

ステロイド剤は一般的な薬であるにも関わらず、必要以上に嫌われているように感じます。その原因として、適切な使用方法が行われておらず、そのために無用の副作用を被る場合が多いのだと想像できます。

要は、ステロイド剤は飲むのも工夫、減らすのも工夫なのです。

© 2017 Peachy All rights reserved.