うちの子がうちにくるまで|No.7
今回登場するハリー君は、現在人間年齢では117歳を越えていて、みごとなまでの老人力を発揮しています。老犬アルバムの記念すべきNo.1がこのハリー君です。老犬の姿を知ってから、子犬の頃の話を読むのはとても感慨深いです。
こんな方へ:いきなり大型犬を飼えるの?|アイリッシュ・セターってどんな犬?
犬未経験だけれど、大型犬が飼いたい
私は幼い頃から犬が大好きで、結婚してからも犬が欲しかったのですが、その頃、主人の叔父のマンションに住んでいて、叔父が生き物を飼うことを禁じていたので、無理と諦めていました。
娘と “犬めぐり” と称して、近所の犬を見て回ったり、よその犬のお散歩をさせてもらったり、ドッグパークに行って、お金を払って、選んだ子を園内散歩させてもらったり、そうやって我慢していました。
●
子どもたちが拾ってきて、密かに家族になっていた黒猫のくーちゃんが13歳の春に亡くなり、私は、その夏にハンガリーを旅行したのですが、ハンガリーの教会のマリア様が何でもお願いを聞いて下さるーと言うので、私は迷わず「くーちゃんが帰って来ますように」と、お願いしたのです。
旅行から帰って二日目、娘とホームセンターに行くと、ペットコーナーに、見たこともない可愛い子がいました。アイリッシュセターと言う犬種はまだ知らなかったので、こんな可愛い子、見たこともない~って思って。
えっ、抱かせてくれるって?
「抱くだけね」
「うちでは飼えないから、抱くだけね」
ふにゃ~として、頼りなさげで、おとなしくて、ペロペロして、天使みたいね~
「でも、うちでは飼うの許してもらえないの。抱くだけね」
●
その時、娘が耳元でささやいたんです。
「お母さん、許してもらえるの待っていたら一生飼えないよ。連れて帰ろう」
そうだよね。今思い切らなかったら、一生飼えない。
「連れて帰ろうか?」
「連れて帰ろう!」
「そうだよね」
そうして、家に着いたとたん、天使どころか、赤い悪魔の本領発揮したハリーでした。主人はものすごく怒っていましたね。当時、叔父はもう亡くなっていたので、あくる日から叔母や他の部屋の住人に謝ってまわり、事後承諾を得ました。
だって、猫と違って、犬を密かに飼うことは難しいですしね。とりわけ大型犬のアイリッシュセターは、絶対に不可能。
ハリーの名前は、大好きなハリソンフォードとハンガリーにちなんでつけました。
それから数年後、娘が興奮して一枚の写真を持って部屋から出て来ました。
あの犬めぐりをしていた頃、ドッグパークで、お金を払って(確か、20分2500円くらいだったと)、園内を散歩した時の写真が出てきたというのです。
写真を見て本当に驚きました。
なんと、娘や私が連れているのはアイリッシュセターだったのです。
●
すっかり忘れていましたが、私達は数年後にやって来る、とてつもなく落ち着きのない子の予行演習にちゃんとアイリッシュセターを選んでいたのです。
やっぱりただの偶然とは思えません。
ハリーは来るべきしてやってきた、赤い悪魔。
いいえ、マリア様が遣わせてくれた天使です。
この子が私の人生の内の何年かをとてもカラフルにしてくれました。
外から見れば、病気がちの、いつまでたっても落ち着きのない、お留守番もできない手間のかかるワンコだと思われるかもしれません。でもね……
「我が家に、ちょうどおあつらえ向きの子が来たね」
うちでは今もそういって、娘とよく話をします。
他の家に行ったワンコ達も、きっと、その家にちょうど良い子が来てるんだろうな~と思っています。
――ハリーがうちにくるまで|おしまい――
――老犬アルバムに登場――
●
犬種:アイリッシュ・セター(アイリッシュ・セッター)
飼主:ハリーママ
いつか犬を飼う機会があれば、アイリッシュ・セターを飼いたいとまで思った時期もあったほどです。
こんな効果も:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
●
――うちの子がうちにくるまで・次話――
片目を失った犬を、保険所から引き取ることにした夫婦。
犬との出会いはいろいろとあって、迎える時の葛藤も様々です。
犬にハンデがある場合は、特にその葛藤は大きいはず。普通ならば――
それをものともしない、優しい心を持った飼い主と犬とのお話です。
――うちの子がうちにくるまで・前話――
ペットショップで心を奪われて……
それは犬を飼う時の動機の中では、かなり上位に位置します。
本話の飼い主もその一人でした。
しかしその犬はよりにもよって、先住犬ジャックラッセルテリアと最も相性が悪いとされるブルテリアでした。
●
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
●
――うちの子がうちにくるまで・1話目です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
●
愛すべき大型犬たち
うちの子がうちにくるまで――
本話の作者は、たまたま遭遇した事故で人助けをしたために、大怪我を負います。
リハビリで始めた散歩。その散歩のお供で迎えたのが、超大型犬・グレートピレニーズのバーディーでした。
子犬だったバーディーは、最高のパートナーとなっていくのですが、やがて……
「一戸建てを手に入れたら、犬を飼いたい」
その夢を叶えた家族のお話――、それも大型犬の多頭飼い。
多頭飼いは、先住犬が若い子犬を教育するものです。
犬には犬のルールがあって――
最初は大型犬を飼うなんて、考えてもいなかったのに――
勤務先の病院にいた、ニューヨーク帰りの医師の言葉で心が動いて――
ある日、ゴールデンレトリバーがやってきます。
学校から帰ると、金色の綿毛みたいな子犬がいました。
親戚のおっちゃんが「はい、あげる」と置いていったのがエリー。
作者にとって、全ての「初めて」がエリーでした。
●
出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。