犬を飼うということ - 犬に育てられること
先日私は、娘が愛犬Mackのおかげで成長出来ている、というお話を書きました。
沢山の反響をいただいて、書いた本人がビックリするほどです。
記事の公開後に気付いたことがありました。それはMackから様々なことを教わっているのは、幼い娘だけの話ではないということです。うちの大黒柱である主人も、まさにそうだなと強く思うのです。
犬が私たちに教えてくれる
私の夫が愛犬Mackと初めて会ったのは、私たちが交際しはじめてから、割とすぐの事でした。その時一匹だけで、自宅で留守番をしていたMackは、私の声を聞きつけると、既に玄関まで来て、へそ天状態で待っていました。へそ天というのは、愛犬家の方ならわかることですが、犬が嬉しい時に、寝転がってお腹を上に向ける仕草のことです。
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家族ではない男性に、絶対懐かなかったMack。
ところがその時Mackは、驚いたことに、やがて夫になる彼に、お腹を触らせたのです。
そして、尻尾が千切れそうな程振り回し、まるで長い間離れていた家族に久しぶりに会ったような喜び方でした。
ところが当時、主人はあまり犬が好きではなく、あんなに大歓迎をうけているにも関わらず無関心。実は主人は子供の頃、番犬として飼っていた犬にも、特に愛情は無かったのだそうです。
次に主人がMackに会ったのは約一年半後のことです。
訳あって別居していた父の住む家へ、結婚の挨拶をしに行ったときの事でした。
Mackは父の家で飼われていたのですが、その時もMackは、久しぶりに会った主人に、異常なほどの喜びようを見せました。
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結婚の挨拶を滞りなく済ませた主人は、安堵したからなのでしょうか、発熱してしまい、なんと父の家に一晩泊まることになってしまいました。
泊まっている間中、Mackは全く主人の側を離れようとはしませんでした。
翌日、帰る際の、Mackのとても寂しそうな声と顔に、私たちは後ろ髪を引かれながら帰ってきたのです。
それから、結婚し、妊娠。
里帰り出産のため帰省したのをきっかけに、Mackは私が引き取り、一緒に暮らすことになりました。
娘が生まれ、今の四人家族になってからは、結婚前のように必死に主人を引き止めるような行動は見られなくなり、普段も主人にべったり……ということはありません(笑)
しかし主人は、約八年間のMackとの暮らしで、すっかり犬好きになってしまいました。
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交際中、『可愛い犬がいたよ!』と幾ら私が話しても無反応だったのに、今や自分の方から『通勤途中にイタグレが居た!いつもMack見てるからすごく長く見えた!イタグレも可愛いな!』なんて言ってきたりして。
テレビを見ていても主人は、犬が出ていると主人はニコニコしながらそれを見ています。そして虐待のニュースを見れば、激しく憤ったりするようにもなりました。
正直言って以前の主人は、自分には関係のないものには物凄く冷たい一面もあったのですが、Mackとの生活の中で、犬や子供にとても優しく接するようになり、他人にも笑顔で話せるようになりました。
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最近では、Mackのことを色んなあだ名で呼んだり、抱きしめたり。すっかり犬バカに磨きがかかっています。
母も私も、今になって良く話すのです。きっとMackは、主人が将来、自分の家族になる男性だと、解っていたのかもしれないねって。
そんなMackのおかげで、主人は私好みの犬バカに成長してくれました。そして私は、毎日とても幸せに暮らしています。
不思議ですよね、犬って。
子供だけでなく、大人の心まで成長させてくれるのですから――
――了――
文:奥村 來未
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犬は家族を思いやる動物なのかもしれない
犬は群れの動物だと言われます。
家族にも、群れとしての序列をつけるのだそうです。
それは時に、弱いものを守るためであったりします。