ピーチーの闘病記:肺がん・看取り編 
ピーチーの病状悪化も、前日から下る速度が増した印象でした。
トイレに行くのに、ほんの数メートル歩くだけで息が上がります。
歩くたびに、酸素を吸わせて楽にさせてやる――、その繰り返し。
ピーチーは自分の体に何かが起きていると思っていて、「あれ、おかしいぞ」というような、戸惑いの表情を見せました。
そして自分で、自分の体が弱っていないのだと思いたいのでしょうか?
それとも飼い主に、自分の元気な姿を見せようとしているでしょうか?
やたらと歩きたがりました。
試しにと買った携帯酸素のボンベは、残り少なくなりました。
前日には、レンタルの酸素ジェネレーターを申し込みました。
まさかうちのピーチーのために、酸素テントを使うことになるとは、思っても見ませんでした。何しろ、その僅か半年前には太い枝を咥えて走り回っていた子です。
犬に流れる時間は、本当に早回しだなと思います。
当時のブログより - 酸素テントが届く
今日のピーチーですが、朝はビックリするくらい元気でした。トイレにも自分で行くし、歩ける距離も長いです。
あんまり嬉しくて、写真を撮るのも忘れてしまいました。
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午前中に、レンタルの酸素ジェネレーターとテントが届いたので、早速組み立てました。パイプで骨組みを組んで、その上に箱型になったビニールのテントを上からかぶせます。
底部は粘着テープで貼りつけるようにと、説明書きに書いてありました。意外に単純な構造です。前面はファスナー付ので開閉できるようになっています。
組み立ててみると――
こんな感じです。
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ピーチー中にを入れてやると、環境の変化が気になるのか、ウロウロと動き回り外に出ようとします。しかしやがて諦めて、ブースの中に敷いた毛布の上に伏せました。
諦めて、ペタリ。
その前にあるのは、ピーチーの薬やおやつ。
何も無いとすぐ出てこようとするので。
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シャワーでぐったり
実はこの後が良くありません。
昨日は食欲があって、今朝までは便が正常だったのですが、その後で下痢をしてしまったのです。オムツをしていましたが、それでも酸素テントの中でやったら大惨事です。ピーチーの体だけでなく、テントにもベッタリ付いています。
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慌ててお風呂に連れて行って、汚れたところだけシャワー。
元気な頃ならば、全体を洗ってやりたいところですが、弱っているのであまり体を濡らしたくはありません。
ピーチーはそこまでは比較的元気があって、お風呂ではずっと立っていたのですが、シャワーで体力を奪われたのか、そのあとはグッタリしてしまいました。
こんな感じで、グッタリ
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実は今日は、まだご飯も食べていません。
グッタリの前に食べさせてあげればよかったと、ちょっと後悔しました。
そのままピーチーは一眠りして、しばらくたったら突然自分から起きあがりました。
そして、酸素テントを開けやると、自分から歩いて水を飲みに行きました。
自分の足で、水飲み場へ
ずーーーっと水を、飲んでいます。
酸素の中にいると。喉が渇くのです。
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その後、また酸素テントに戻して、大好物のウニを食べさせてみたところ、ようやく食欲に火が付きました。
チキンの腿肉を一気食いです。
寝たままの姿勢でしたが、今は仕方がありません。
目には生気が戻っています。
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食べた量は、1食分には足りないのですが、自分から食べてくれたのは良かった。
まずまずです。
ペットの肺がんをもっと知るには
こちらの記事に、肺がんの概要を解説しています。
はじめて読むのに最適です。
この病気は激しい咳や、血痰を想像しがちですが、実はそれほど顕著な症状がでないことが多いようです。
ほんのちょっと息が粗い程度の場合もあります。
気になったら動物病院へ。
――うちの子が旅立つまでのこと(7/18)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
この日のブログには、その時の、正直な気持ちを書きました。
「ピーチーが旅立った時、どうか『虹の橋』で慰めないで下さい」と。
ピーチーは全力で生きて、一生を駆け抜けた。
僕たちは、それを全力で見守った。
そんな終わり方に、してあげたかったのです。
――前話――
体調の悪化――
――そしてそれは、別れの予感。
飼い主は迷います。
これまでの治療と食事を続けるべきか?
同じ経験をした方は多いでしょう。
別れが前提であれば、気持ちを切り替えなければなりません。
それは、回復を諦めることでもあります。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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――本章の1話目です――
いつも元気一杯だったピーチー。
大病をしてから、体調に浮き沈み。
この数日も「ちょっと変」と思い、「”多分”、いつものこと」とも思っていた。
”多分”は段々と弱々しくなり、少しだけ嫌な予感も。
「今日は病院だな」と思ったのがこの日。
――この連載のはじまりです――
はじまりは、ほんの小さな予兆でした。
体の震え。ときどき息が粗い。食欲不振。
ピーチーは大病を大きくは2度経験してから、体調が悪いときがたまにありました。既往症もありました。
またかな? と思ったのが始まりでした。
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他の闘病記もご覧ください。
胆管閉塞闘病記|闘病ブログ
ある日突然、我が家のピーチーを襲ったのは急性膵炎
危険な状態でしたが、幾つも幸運が重なって無事回復しました。
「良かった」と胸を撫でおろす飼い主。
――しかし、そうではありませんでした。
それは本当の闘病の始まりだったのです。
劇症肝炎闘病記|闘病ブログ
筆者の愛犬ピーチーは2014年8月16日の早朝6時、救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
ただごとではないと思いました。
振り返ると、異常を感じたのは8月10日の夜。
突然の体の震えと、食欲不振が恐らく前兆だったのでしょう。
このときは、掛かりつけの病院で、熱中症と診断。
その時には、肝臓の諸数値は正常値でした。
そして6日たち、16日の朝を迎えます。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
自己免疫不全闘病記|闘病ブログ
2015年のある日、我が家の愛犬ピーチーを病魔が襲いました。
最初は夏バテかなと思い、次に熱中症を疑いました。
かかりつけの獣医師も、熱中症との診たてでその治療を。
しかしピーチーの状態は悪化の一途。
ただならぬ状態に、未明の救命救急に飛び込み、そこで発覚したのが重度の肝炎でした。
結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。
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肺がんの医療記事です
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