テツへの手紙(4/4)
テツがいなくなって - 不思議な出来事
テツがいなくなってから、不思議な事がおき始めました。
我が家に1羽の鳥が訪れるようになったのです。
それはオーストラリア・マグパイと言っうカラス科の鳥で、毎日我が家へやって来ては、テツが生前していたような行動をとるのです。
この鳥は野生なので人にはなかなか馴染まないのですが、私達がそばに寄っても逃げません。
「テツからのメッセージなのかしら?」
そう思わせるような行動を、その鳥は3ヶ月も続けました。
他にもあります。
親友夫妻が旅行中に、その愛犬のロングコートチワワを預かったときの話です。
我が家には”音楽室”と称している部屋があります。
パパがギターを弾いて、そのパパの傍らにテツがずっと寄り添っていた思い出の部屋です。
その音楽室に、友人夫妻のワンちゃんが入り込んで、呼んでも来ないのです。
様子を見にくと、そのワンちゃんはお座りをしながら、私の顔をジッと見つめるのですが、すぐに壁の方を向きます。
そして、また私を見つめる。そんなことを数回繰り返しました。まるでその壁のところに何かが見えているかのように。
「もしかしたらそこにテツがいるの?」
私はその子が、テツの存在を教えてくれているのだと思いました。
不思議な事は、もっとあります。
テツにお供えしようとして焼いたチキンがハート型になったり、ヨーグルトの上にかけた蜂蜜がハート型になたり、空を見上げると雲がハート型、お茶をいれればハート型、テツが使用していたバスタオルから、はらりと落ちた糸くずがハート型。
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たまたま?
いいえ、それはテツからのメッセージ――
そう信じたいのが飼い主の心です。
――2018年 8月――
私達は8月2日に新居へ引っ越しをしました。 テツとの想い出がいっぱい詰まった家に、テツを置いてきてしまうようで、とても辛かったです。
~テツ、カモン!~
「テツ、ママのところにおいで~」
「一緒にお出かけだよ」
「新しい お家に一緒にお引越しするよ」
ママがそう呼んだら、ヘリコプターみたいに尻尾をブインブイン振ってパパ とママのところに来るんだよ。
そしてその時には、『僕はここにいるよ』『僕はここにいるんだよ』って、パパとママにちゃんとわかるよ うに、優しくサインやメッセージをちょうだいね。
~テツからのプレゼント、いつでも待ってるからね~
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引越しの当日は、テツに呼びかけました。
「パパとママと新しい家にお引越しだよ。一緒においで、テツ!」
――テツがいなくなって、9か月――
~愛しいテツへ~
テツ、テツはパパとママの天使になる3日前の夜、歩くのもやっとだったはずなのに、寝ているパパの枕元まで行ったよね。
ママはビックリしたよ。
ママは「パパを起こしてはいけな いよ」ってテツに言って、パパから引き離しちゃったけれど、今はそのことをとても後悔しているよ。
きっとあの時テツは、パパに何かを言いたかったんだよね?
何かを伝えたかったんだよね?
「パパに何を言いたかったの? テ ツ……」
「パパに何を伝えたかったの?」
……教えて欲しいよ。
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テツ、パパとママと生活した11年22日間は幸せでしたか?
パパとママの子になって幸せでしたか?
パパとママにとって、テツとの生活は人生で一番幸せだったと思えるほど幸せだった。 一日一日がとっても大切な日々だった。
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ママはね聞いたことがあるの。
天使になった子の志をママ達が引き継ぐことで、その子達は生き続 けるんだって。
だからママは、テツの志はなんだっただろうって考えていた。
ずっと考えて、テツの志は、パパとママが仲良くすること、皆に愛され皆を愛する事だと思ったの。テツがそうしてきたと同じにね。
そのテツの志は、ちゃんと引き継いで行くよ。
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テツはこれからもずっとずっとパパとママの愛おしい息子。 パパとママの心のなかに生き続ける。 これからもパパとママと一緒に歩んでいこうね。
テツ、パパとママの傍にいて見守ってね。
そして、もしパパやママが間違った方向へ行きそうだったら、正しい方向に導いてね。
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まだまだテツのことを想うよ。会いたくてしかたなくて、涙する毎日だよ。
泣き虫なママでごめんね。
テツに会えた時に、泣いていたらダメだよね。
笑顔で「テツ~~~、会いたかったよ~」って言って、ギュッと抱きしめられるように少しずつ笑顔を増やしていくね。
テツ!!
愛してる!! 愛しているよ!!
これからもずっとずっとずーっと永遠に。
~テツの唯一無二の、パパとママより~
(追記)
新しい家に移ってからというもの、私はペットロスがぶり返してしまったような虚しさに襲われていました。
そんな中で、私達はまた、友人夫妻のワンちゃんを預かることになりました。
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お預かりが今日で終わり、というその夜でした。
そのワンちゃんが何故だか、ダイニングテーブルの周りをクンクンし始めたのです。
それから突然「う〜っ」と唸ったり、テーブルの下を出たり入ったり、一瞬逃げるように腰を引いたり、頭上をハッと見上げたり。
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その場を一度離れても、もう一度テーブルのところに戻って来て、クンクンして何かを確認するような態度を――
「テツがいるのね」
私はそう思いました。
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〜テツ、テツはちゃんと私達と一緒に引っ越してきてくれたのね〜
〜ありがとう!テツ!
これからはパパとママとテツと3人で、
新しいこのお家で、新しい生活のスタートだよ〜
――テツへの手紙(4/4)了――
文:テツのママ
――前話――
3人で眠る夜。
ママは苦しそうなテツを、ただ撫でてやることしかできません。
心細そうに、何度も家族を確認するテツ。
やがて家族は、苦渋の決断をします。
――それはママが嫌だった、安楽死
病院に向かう朝。
もうそこから、奇跡が始まっていたのです。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の第1話です――
オーストラリア犬のテツは、11年前にうちにやってきた。
子犬のくせに大きな手。
ママはそんなテツを、しっかり守ってあげなきゃと思ったの。
家族の愛情の中で、テツはスクスクと育っていきます。
大きな体のやさしい子。
テツと家族の物語。
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別れとペットロスを考える
飼い主に委ねられる選択
犬を飼い始めた時、別れの時は遥か未来の話でした。
しかし、あっという間に楽しい時間は過ぎて、その時が――
子犬でうちに来たのは、つい昨日のことのよう。
愛犬を看取ってみて思うのは、看取りは良い思い出だったということ。
視点を変えれば、つらい思いって、無いんじゃないかな?
そんなことを考えた記事です。
ようこそペットロス
ペットロスに悩む方は多いでようです。
誰もが経験することですが、”別れ”をどう捉えるかで、それは重かったり、軽かったりするように思います。
ペットロスは、必要以上に嫌うこともないように思います。
そんなコラムやエッセイをまとめました。