犬を飼うということ

いつまでも君と……

【決めた、犬を飼おう!】ともだちになってくれる? ~れん がうちの子になったのは(前編)~

f:id:masami_takasu:20180918113134j:plain文:かっぱ太郎、撮影:F.zin

~うちの子がうちにくるまで No.28 - 1~

”うちの子がうちにくるまで”とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。

先住犬のちぃが、わが家に来てからもうすぐ一年となったころ、散歩のたびに気になることがありました。ちぃは、ご近所の散歩犬と行き会い、挨拶をかわすとき、なんとなく相手の犬に嫌がられているようなのです。

ちぃ本人は、フレンドリーに相手に近づき、仲良くしたい様子なのですが、相手の犬から見えるちぃはきっと、「がにまたで、前のめりでゼーゼーいいながら、必要以上に接近してくる大きなこわい顔の、なれなれしいやつ」なのでした。

 

f:id:masami_takasu:20180918113815j:plain

ちぃに悪気はないはずですが、鼻先が短いため、ものすごく相手の顔に密着しなければ、においかぎの挨拶ができないのです。

鼻先の長い犬同士ならば、お互いの目の位置は、数十センチの距離を保つことができますが、ちぃの場合はその距離が半分になってしまい、威嚇と思われ、ときには吠えられてしまうのでした。

「ちぃは、このまま友だちと遊ぶこともなく、一生を終わるのだろうか…?」
「犬は、群れを成す動物のはずだけれど、さみしいとは思わないのかなぁ?」
そんな不安が私に、犬のしつけ本を買いあさらせました。

 

f:id:masami_takasu:20180918113826j:plain

買ってきた本はどれを見ても「犬は飼い主の愛情を独占したいと思っている」とか、「犬を2匹飼えば、飼い主の愛情は半分ずつになってしまい、犬にはストレスが溜まる」と書かれていました。

ある本の中には、「先住犬と相性の悪い犬を2匹目として迎え入れた場合、2匹を同時にケージから出して遊ばせることはできない」などという恐ろしい例もありました。

「先住犬がおっとりしている場合、2匹目の迎え入れは比較的うまくいく」
という説もありましたが、ちぃはかなり神経質な犬です。

うちに来てしばらくの間は、ひざの上で眠ることもなく、人に体をさわられることも嫌がり、特に、頭を撫でられそうになると、獅子舞の獅子のように頭を振り、撫でようとした手をかわす子いぬでした。

 

f:id:masami_takasu:20180918114528j:plain

そんなある日ことです。
勤め帰りにいつものペットショップに寄ると、白っぽい子いぬが目に入りました。

その子の誕生日は3か月前。しかしとてもそうとは思えないほど体が小さく、胴が魚みたいにうすっぺらです。
しかしとても元気で、若い女性店員さんがペットシーツを取り替えようとショーケースの扉を開ると、そのひざの上にぴょんと飛び乗り、はしゃいでいました。

掃除が終わったショーケースに戻された子いぬにそうっと近寄った私は、心の中で、「…ねぇ、うちに来て、ちぃの友だちになってくれる?」
と話しかけてみました。

「ちぃって誰さ?…オレ、行ってやってもいいけどさ。」
子いぬは、ちょっとなまいきな白黒の顔でわたしをじっと見て、そう言っているようにも見えました。

私は思わず、女性店員さんに、
「この子いぬの、写真を撮ってもいいですか?」
と話しかけてしまいました

 

f:id:masami_takasu:20180918114732j:plain

その夜、ペットショップで撮らせてもらった子いぬの写真を夫に見せ、飼ってもいいかどうかをたずねてみました。
実はそれまでは、ちぃが『ともだち』と遊ぶ姿を見てみたいという私の願いは、私という人間のエゴにしか思えず、夫には黙っていたのです。

「いいんじゃない?二匹のほうが、ちぃも楽しいよな?」
夫は、二人目の子どもができたときと同じように喜び、即答してくれました。

だめだと言われたら諦めようと思っていた私は、何の反対もしない夫に、ちょっと拍子抜けしました。

しかし心の中は、その返事ほど簡単なものではありません。
人間の子どもたちとは違って一生自立せず、その最期を必ず看取ってやらなくてはいけない命をもうひとつ預かるのですから、お互いに、口には出しませんが、相当な覚悟の上でのことです。

 

f:id:masami_takasu:20180918114805j:plain

翌日、仕事帰りに、新しい子いぬを迎えにペットショップへ行きました。

子いぬは薄っぺらな胴体からあばら骨が透けていましたが、昨日と変わらず元気でした。若い女性店員さんは「ごはんを食べるのが速くて、数秒で食べちゃいますよ。」と言って笑いました。

しかし私は内心で、「ここで大きく育ってしまって、買い手が見つからないと大変だから、きっとちょっぴりしか餌をもらえないんだろうなぁ…」と、育ちそびれた子いぬに同情したのでした。

 

――れんがうちの子になったのは(前編)つづく――

~うちの子がうちにくるまで No.28-1~
犬の名前:ちぃ
犬種:フレンチ・ブルドッグ
飼主:かっぱ太郎、F.zin

~犬や猫と暮らすあなたへ~

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。平均年齢でいえば15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。その葛藤を乗り越えて、我々は犬や猫と暮らします。

毎日が楽しいですか?
――きっと楽しいですよね。
だって、犬を飼うこと、猫を飼うことは、喜びに満ちていることだから。

どうか忘れないでほしいのです。その楽しさを手に入れる前に、我々はものすごく大きな決心をしたのだということを。

そして、どうか自信を持ってほしいのです。
その決心が、ずっと我々を支え続けてくれるのだと。
いつか、その子を送るときが来たとしても。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

――うちの子がうちにくるまで・前話――

――おすすめの記事です――

――出典――

※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。