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【多頭飼いの苦労】うちにはうちの事情があって ~混合ワクチンにまつわるお話(2/3)~

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うちにはうちの事情があってf:id:masami_takasu:20181127015950j:plain

文:かっぱ太郎、撮影:F.zin

 れんは寂しがりやなのです

夫と娘が釧路に出掛けると、次はいよいよ私が、”ちぃ”と”れん”を予防接種につれていく番です。私は夫のアドバイス通りに、1匹ずつ連れていくことにしました。

病院を2匹分予約して、まずはちぃを先に連れて行くことに――
しかし我が家では、それをするのも簡単ではありません。れんが恐ろしく寂しがり屋で、ちぃだけを連れて家を出ると、寂しがって外まで聞こえる声で叫ぶのからです。 

 

 まずはちぃから

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私はまず、れんをオヤツ(いつものフードを数粒ですが…)でケージの中のクレートに誘い、ケージの扉を閉めたあと、トイレに行くふりをしてカバンも持たず、居間から出ました。

居間と玄関の間の古いドアを完全には閉めずにおいたので、ちぃは目ざとくそれに気づき、ドアを自分で押して玄関へ出てきました。私は、れんに見られないようにドアをそっと閉め、ちぃとふたりで音をたてないように玄関を出ました。

れんは、ちぃと私が家の外に出たとは思わなかったようで、いつもの悲痛な叫び声は、聞こえませんでした。ベランダの前を通って駐車場へ行くと、れんに気づかれそうなので、私たちは玄関前の階段を降り、道路側から回って駐車場に入り、そっと車に乗りました。
家の中のれんは、ちぃと私がなかなか居間に戻ってこないのを不思議に思いながらも、おとなしく待っているようでした。

 

 病院へ行こう

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ちぃは助手席で、いつものように窓に向って立ち上がり、外を見ています。
「危ないから、お座りしなさい!」
といくら言っても、言うことを聞きません。
以前、ちぃが窓のスイッチを自分で押してしまい、ウィーンと窓が開いて、運転中の私を慌てさせたことがあるので、窓のスイッチも、ドアもロックしておきました。

ちぃは以前に、交差点で信号待ちをしているとき、隣に停まった車のお嬢さんたちから、「めっちゃ可愛い、見て見て!!」と騒がれたことがあり、それに気を良くしたのでしょう。私とふたりで車に乗ると、必ず助手席の窓にぴったり顔をくっつけて(というか、顔が平らなのでそうなるのですが)立ち上がり、外を眺めるのです。

私は、車が揺れても、ちぃが転げ落ちないよう、リード(犬の首輪につける綱)を短めにして、助手席のヘッドレストにくくりつけ、トラックの積荷を倒さないように走るときと同じように、ちぃを倒さないように、ゆるやかな運転を心がけました。

 

 いよいよ注射です

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病院の診察台で、ちぃはいつものように興奮して暴れ、体を支えてくれている看護師さんを、てこずらせていました。

本日のメインイベント――
予防接種の注射針を刺されたときには「グルルル!」と、うなりましたが、先生にもらったおいしいオヤツは、しっかりいただいていました。もし、このオヤツがなかったら、看護師さんの手に、本気で噛み付いていたかもしれません。
先生の絶妙なオヤツ・タイミングが、看護師さんの手をちぃの牙から救ったといっても、過言ではないでしょう。

診察のときに、ちぃの後ろ足の甲が、両方とも赤くなっているのに気づいた先生が、「いつから赤くなっている?」と私に尋ねた後で、「もし良ければ、抗菌シャンプーと、かゆみどめの塗り薬をセットで出させてもらえませんか?」と仰いました。
更に「足の先だけなら、シャンプーは、少ない量で出すことができますよ」と――

折角なので願いしたのですが、先生がそんなに遠慮がちな言い方をするのは、私が市販の抗菌シャンプーを、インターネットで大量に買いこんでいることをご存知だからでした。

市販のものは抗菌成分が薄く、病院で処方されるシャンプーの4分の1しか入っていないのですが、1ガロン(約3.8リットル)で買えばとても安く、2匹を全身、2度ずつ洗っても、500円ほどで済むのです。

 

 熱心な先生

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インターネットでは、獣医さんが診断後に処方する、皮膚病用のフードも格安に買うことができますが、そのことを先生に話したときには、「処方用のフードをインターネットで売っているのは、日本だけなんですよね。」と、ちょっと怒ったように、悲しそうにおっしゃっていました。

先生から見ると、モラルのない獣医師が、患犬を診もせずに、処方食だけを無責任に売っていることが、ちょっと許せないという、強い口調でした。
ひょろりと背が高く、学生さんのような、かわいらしい風貌の先生ですが、病院のパンフレットにかかれた経歴を見ると、日本だけでなく海外でも皮膚病の勉強をしてきた熱心な先生で、皮膚病治療についての確固たる信念があるのだと思います。

先生のお話は、まだまだ書き足りないので、次に続きます。
そして――
次は、れんの予防接種の番です。

 

 漫画もどうぞ

(おまけ)
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――混合ワクチンにまつわるお話(2/3)つづく――

作:かっぱ太郎、F.zin
 ▶ 作者の一言
 ▶かっぱ太郎、F zin:犬の記事のご紹介

――次話――

動物病院では飼い主を『~ちゃんのお母さん』と呼びますね。
犬を飼い始めた頃は、それが不思議でした。
私が産んだわけではないのに-――と
さて2匹目、”れん”の予防注射。
クレート嫌いで「ひゅるひゅる」と泣くれん。
れんにはれんの事情があって―― 

――前話――

毎年秋は、ちぃと、れんに、混合ワクチンを打つ季節
いつもは夫婦で連れていくのですが、今年は夫が娘とお出かけの日。
さて、一人で大丈夫?
2匹と車では、色々と問題を起こすし。 

まとめ読み|ちぃとれんのエッセイ集 
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

 ちぃ と れん を迎えたときのお話

ちぃがうちにくるまで

本当は犬が苦手だった作者。
その作者が偶然、びっくりするほど大きな顔の犬を目撃しました。
哲学者のような振る舞いの犬――
月日がたたち、作者はその不思議な犬の置物に遭遇します。

れんがうちにくるまで

先住犬の”ちぃ”は、どうもよその子に受けが悪い。
このまま犬の友達はできないの?
そんなとき、小さな白い犬を見かけたのです。
「ねえ、友達になってくれる?」

ちぃがうちにきてすぐ

念願の犬は『ちぃ』と命名。
好奇心旺盛で、何でも口に入れるちぃ。
骨付きチキンを飲み込んだ時は、夜間病院へ――
やがて犬が、口で気持ちを伝えることを知る飼い主。
そうやって段々と、お互いが分かり合っていく。
ようこそ、我が家へ、ちぃ

れんがうちにきてすぐ

先住犬『ちぃ』に続いてやってきた子犬。
名前は『れん』になりました。
『ちぃ』がやきもちを焼かないように、出会いを慎重に進めた家族。
その甲斐あって、『ちぃ』は『れん』に優しく接するようになります。
家族が願った通り、『ちぃ』には ”友達” ができたのでした。

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 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。

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