警察犬の学校に行くということ
家に帰ってきたピーチー
『警察犬の学校に行くということ』の最後に、家に帰ってきたからのピーチーの様子を書いておこうと思います。
ピーチーが学校からうちに帰る日の事。別れ際にチッチ先生は「しばらくは、優しくしてやって下さい」とおっしゃいました。その時はチッチ先生の言葉の意味か分かりませんでしたが、その後のピーチーの様子を見ていて、すぐにその真意が理解できました。
チッチ先生が厳しくした分、家族がやさしくすることで、よりピーチーが筆者たちに信頼感を覚えるということなのです。
筆者は「あー、チッチ先生、良く考えてくれているな」と思いました。
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ピーチーはうちに帰って来てからしばらくは、相変わらず自信を喪失したままでした。元の溌溂としたピーチーに戻るまでには、1か月くらいはかかったのではないでしょうか。
筆者と奥さんは、ピーチーに元気がないのが心配で、もしかしたら甘やかし過ぎたところもあったのかもしれません。ピーチーはきっちりとしつけが入っている部分と、そうでない部分がまだらになってしまって、とても面白い子に育ちました。
でも、それはそれで楽しい子になったので、結果オーライです。
自信を取り戻すピーチー
本当はここで、自信を取り戻していくピーチーの写真をお見せしたいところですが、ちょうどその頃のデータが、デジカメのメモリー不良で、失われてしましまいした。
35㎜フィルムと、デジタルビデオのテープは残っているのですが、今となってはそれを取り出すのが大変なので、残念ながら写真は無しという事にします。
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その代わりに、自信を取り戻すという意味を絡めて、ピーチーが13歳の時に撮った動画をご紹介しようと思います。これは筆者にとって、とても嬉しい動画です。
まずは動画の背景をお知らせします。
ピーチーは13歳の5月に、癲癇(てんかん)の重責発作を起こしてしまい、色々なしつけも取れて(トイレにも行けなくなった)、記憶の一部も失われしまった時期があります。筆者が一番ショックを受けたのは、ピーチーが大好きだった公園の場所を忘れてしまった事でした。
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この写真は、ピーチーが記憶をなくす直前、
当日の朝に撮影したものです
場所はその大好きな公園です。
発作の少し前まで、元気に遊んでいたのです
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ピーチーは散歩のときいつも、その公園が近づいてくると、ハーハーと息を切らして早足になったものです。道順もすっかり覚えていて、一心不乱に筆者をそこに引っ張っていきました。
しかし、発作以降のピーチーは、公園が近づいても気づきもせず、オドオドしながら筆者の後を付いて来ていました。本当に心細げで、途方に暮れていました。
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根気強くしつけをしなおして、またトイレの場所を教えました。そして懐かしい場所につれていっては、そこで遊んであげて、楽しい場所であることを刷り込ませていきました。あの公園もは最も楽しい場所の1つです。
そんなことをしていたある日、ピーチーははっと思い出したように、突然自分から公園への道を歩き始めたのです。目に生気が戻ったという気がしました。
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下の動画は字幕入りで見てください
字幕が表示されない場合は、動画プレイヤーの字幕をONに
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ピーチーは一刻も早く公園に行きたいものだから、まるでカーレスのように、絶妙のラインどりでをしました。綺麗なアウト・イン・アウトでしたよ。←カーレースの用語です。分かりますか?
本当に、あのときは嬉しかった!
やはりあった破壊活動
チッチ先生に話を戻しましょう。
一番最初に、ピーチーを預けに行った時のことです。チッチ先生はピーチーを受け取ると、「子犬のときから訓練士に預けるという判断は正解です」と頷きながら、「何しろ、ブルテリアは家を一軒壊しますからね」とおっしゃいました。
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当時は「そんなオーバーな」と思ったのですが、後になってブルテリアの動画(特に海外のもの)を見ると、ソファーを破壊したり、壁に穴を空けたりはいたずらの一環でやってしまうようですね。
家一軒を壊すというのは言い過ぎでしょうが、家一軒を台無しにするということは、ブルテリアにだったらできそうな気がしてきます。
我が家は2度、破壊活動がありました。
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一度目は、押し入れの柱をかじっていました
人がいないはずの部屋に妙な気配を感じて、扉を開けると、
何と、ピーチーが一心不乱に柱をかじっていました
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もう一度の時は、木製の棚の足の一本を、
小さな木片に変えていました
実物の棚も、その写真も残っていないのですが、
これが同じ棚です
この足の一本が、床から20㎝ほどのところまで、
完全になくなっていました
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ピーチーの破壊活動は、一生のうちでこの2回だけ。
叱ったら、3回目はもうやりませんでいた。
もしもチッチ先生のしつけが入っていなかったらどうなったかと、少々恐ろしく思ったものでした。
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さて、以上で『警察犬の学校に行くということ』の連載は一応のおしましです。
1つだけ言い忘れていたことがありました。
もしも筆者と同じように、愛犬を幼ないうちから警察犬の学校に預けようと思われる片へのアドバイスです。
学校に入れると、成長著しい時期を見ないで過ごすために、ハイライトの時期を見逃すことになってしまいますのでご注意を。例えば乳歯が抜け替わる事などです。
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時々、愛犬の乳歯を大切に保管されている方を見ると、うらやましくなります。
うちにはそれが無いのです。
チッチ先生のようなプロの訓練士にとっては、犬の乳歯のことなど取るに足らないことのようで、ピーチーを迎えに行った際に、「全部ペンチで抜いて処理しておきました。ワハハ」と笑っていました。
でもその乳歯、欲しいのですよ。飼い主としては。
だから、もしも預けようとするときに乳歯が欲しい方は、トレーナーさんに取っておいて欲しいと伝えておいた方が良いと思います。
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次は別記事として、チッチ先生の教えについて書こうと思います。
そちらもぜひお読みください。
――警察犬の学校に行くということ(4/4)――
文:高栖匡躬
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▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介
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――次話――
次話は、チッチ先生の教えをまとめます。
警察犬の学校で教えてもらったのは、犬と人間が幸せに暮らす方法だったのかもしれません。
それは、飼育本に書かれていないことばかりでした。
今の常識からすると??と思われる事も――
しかし、それで我が家とピーチーは幸せでした。
だから、自信を持ってお伝えできるのです。
――前話――
2度目の面会日は散歩のトレーニングを――
ピタリと脚側歩行を決める、名犬のピーチーがいました。
しかし立ち止まったとき、”アレ”をやりました。
『カエル足』です!
驚きました。
このポーズ、させたら駄目と言われましたが、
あまりにも面白くて――
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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――連載の1話目です――
もう18年も前のこと。
うちのピーチーは、警察犬の学校に入りました。
別に、警察犬にさせたかった訳ではありません。
何故そのようなことをしたのか?
その当時は、やむにやまれぬ事情がありました。
子犬の時期に、3ヶ月家を離れることになります。
しかし、良いことが沢山ありました。
そんなお話です。
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愛すべきブルテリアたち
ミニチュア・ブルテリア|ハナ
『ハナちゃんの動物病院』のハナちゃんのお話。
ハナちゃんママが獣医師を目指したのは何故?
獣医師が犬を飼うって、どういう気持ちなの?
ママの色々な思いを受けて、ハナちゃんは今も病院の看板犬を務めています。
ミニチュア・ブルテリア|チャベス
ブルテリアは怖い犬だと思っていました。
しかし友人の愛犬ボブを見て、すっかりに虜に
そのボブに子供が生まれ、すぐに会いに行きました。
思い思いに歩き回る仔犬たち
気付くと、足元にずっとついて来る子がいました。