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【心臓腫瘍/看取り】楽しい事を見つける旅に ~ちぃの闘病記(5/5)~

虹の橋の向こうへ
ちぃの闘病記:心臓腫瘍(5/5)

ちぃの闘病記:心臓の腫

文|かっぱ太郎 撮影|F.zin

 別れの日

ちぃが泣いているように見えた日――
その日の夜に、ちぃは亡くなりました。

ちょうど夜の12時に、家族が見守る中で、ちぃは静かに倒れて、そのまま息を引き取ったのです。

ちぃのがんが見つかってから、一か月と20日間の命でした。

 

 腕の中にある重みは

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真夜中だったので、すぐそばで眠っていたれんは、ちぃとのお別れに気づきませんでした。それほどちぃは、静かに亡くなったのです。

翌日れんは、ちぃの様子がいつもと違うことに気づき、ちぃの亡骸に向かってわんわん吠えました。

「ちぃねえちゃん!ちぃねえちゃん!…」
と、動かなくなったちぃを呼び続けました。

私は、ちぃがいつも抱っこをせがみにきたことを思い出し、ちぃの体があるうちに抱いてやらなくては、と何度もちぃを膝の上に抱きあげました。

命を失ったちぃのからだはただひんやりと重く、腕の中にはその確かな重みがありました。

「ちぃはまだここにいる。ちぃの心はまだこの部屋の中にある」
私には、そう思えてならないのでした。

 

わたしはここにいるよ

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最後の日の夜(扉の写真は、最後の日の朝)

闘病中はがんのせいでとても体が熱かったようで、ちぃが暑がるので寝る時もちぃを抱いてやることはできませんでした。私はそれがとても寂しかったのです。

一緒にベッドで寝ることもできず、居間の床に寝床を作って、娘も私も、ちぃが暑がらないように、ちぃとからだがくっつかないようにして寝ていました。

ちぃが亡くなってから三日目の午後、葬儀屋さんが庭に火葬車を持ってきて、ちぃを焼いてくれました。

少し風の強い日でしたが天気は良く、旅立ちには良い日でした。
息子も来てくれて、家族全員で見送りました。

――といっても、ちぃは自分の死に気づいていない様子でした。
それから数か月の間、ちぃは居間の中や、二階に続く階段をちょろちょろと探索していたようでした。私の仕事にも毎日ついてきて、
「わたしはここにいるよ」
と、話しかけてくるような気がしました。

生きていたときと同じように、ときどき抱っこをせがんでくるようでした。
わたしは見えないちぃを腕の中に抱いては、見えないちぃの顔を眺めていました。

 

 あれから1年が過ぎました

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旅立ちの日、娘のスケッチ

もうすぐあれから一年、いつのまにかちぃは、家の中の探索も、仕事についてくるのもやめたようでした。

毎日もらうごはんのお茶碗や、お水の入れ物がすごく小さかったり、自分の写真の横に花が飾ってあるのを見て、何か気付いてしまったのかもしれません。

 

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れんとの喧嘩も、みんなで散歩もできなくなったし。

――それでは
と思い立って、旅に出たのかもしれません。
何か楽しいことを見つける旅に…

ちぃ――
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どうか良い旅を!

 

――虹の橋の向こうへ・ちぃの闘病記(5/5)了――

作:かっぱ太郎、F.zin
 ▶ 作者の一言
 ▶ かっぱ太郎、F zin:犬の記事のご紹介

――次話|作者からの手紙(あとがき)――

心臓腫瘍で旅立ってしまった、ちぃ
その、ちぃの闘病記のあとがきとなるエッセイです。
「その日」ちぃはどのように逝ったか――
「その日」家族はどのように見送ったか――
ちぃを引き止めたかった。
でも、呼び戻してはいけなかったのです。

――前話です――

手術ができないちぃ。
抗がん剤を使うかどうか、選択を迫られます。
今のちぃが、副作用に耐えられるかどうか心配でしたが、
ごく少ない量の抗がん剤を使用して、ちぃは少し元気になりました。
ちぃは弱っているのに、自分でトイレに行くことを望みました。

まとめ読み|ちぃの闘病記:心臓腫瘍編
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――この連載の1話目です――

愛犬の”ちぃ”がご飯をたべなくなりました。

重度の貧血、そして脾臓の摘出手術。
退院後、ちぃは元気になっていったのですが、実はそれが本当の闘病の始まりでした。
体のどこかに腫瘍があるかもしれない。

 死のイメージ

死は我が子を優しくつつむ

愛犬の『死』をイメージしたことはありますか?
経験して感じたことは、月日が経つほど『死』の印象は柔らかくなるということ。
実は『死』は、優しいものなのかもしれないな?
そんなお話です。

別れの言葉を準備している?

犬の寿命は人間よりずっと短いですね。それを、はかないと感じますか?
犬は何をやるのも一生懸命。
きっとその一生を、全力で駆け抜けていくのだと思います。
だから、別れの言葉も、それにふさわしいものを送りたい。

あー楽しかった、またね

筆者が愛犬に送った別れの言葉。
それは『またね』でした。
愛犬はきっと、『またね』と言って去っていくと思ったのです。
別れの言葉なのに、なんだか再会が期待できそうな言葉『またね』

 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。

 

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