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【偏食・食べムラ ガイドブック ①】愛犬がご飯を食べないときに【基礎・原因編】

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事例(体験)偏食・食べムラ ガイドブック ①
偏食・食べムラガイドブック

文・編集|高栖匡躬
 
はじめに

愛犬が急にご飯を食べなくなること、ありますよね。
飼い主はとても心配ですね。でも、その理由が何か、気づいてあげることができますか?
病気なのか? それとも我儘なのか?
犬が食事を摂らなくなるのには、色々な理由があって、対処方法もそれぞれ異なります。
本連載は、愛犬が『偏食』『食べムラ』に陥った際の対応をまとめたものです。
悩んでいる飼い主さんのヒントになると嬉しいです。

こんな方に:
愛犬が食事をとらない|ネット上に食事の記事が多すぎる|言っていることがまちまちで、理解しにくい|偏食(食べムラ)が発生する理由は?|悪化させないためには?|経験者の話を参考にしたい
 

【目次】

 偏食に関する用語

食事に関する用語はたくさん

ネット検索をしてみると分かりますが、犬の食事や、犬が食事をしないことに関する言葉がたくさんあります。例えば、食べないことを表す言葉でも『食ムラ』『拒食』『小食』などなどバラバラです。
それぞれ似たような意味合いで使用されますが、使う側と聞く側によって意味合いが変わってしうことも多く、なかなか問題解決に直結しません。

当事者は深刻に悩んでいるのに、言葉の使い方ひとつで、受け取る側が深刻に捉らえてくれないこともままあり、厄介です。

本記事内では、愛犬が食事を摂らないことは、統一して『偏食』と記載します。
(題名には、一般的に良く使われる『食べムラ』も併記しています)

食べ物に関する用語の詳しい内容は、下記の記事を参考にしてください。

【食べムラ】【食欲不振】【拒食】【偏食】【小食】【食欲減退】 
言葉の意味にもムラがある

”食べる”にまつわる言葉は、似ていても、意味が違ってることがあります。
【食べムラ】【食欲不振】【拒食】【偏食】【小食】【老犬(シニア犬)の食欲減退】
ネットの記事は混乱しがち。
読む方でそれを理解していないと、間違った解釈になりそうです。

 

 偏食に陥る段階

1.まずは原因を知る

では、偏食に陥らないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?

偏食が起きるきっかけは本当に様々です。
ある日突然なる仔もいれば、もともと食の細い仔もいます。迎えた際からずっと続いていれば、多少判断もつきやすいかもしれません。
しかし、環境の変化や、フードの変更…。ある出来事を境に突然、偏食が始まるケースもあります。まずは、偏食かなと感じた際はそのきっかけに気づくというのも大事な点です。

いつもと違うなと感じた際は、記録をつけておかれることをおすすめします。病院に行ったとか、フードを変えたとか、たまたま台風が来ていたなど、何でも良いのです。それが後でヒントになることがあります。

我が家の場合は、食べムラではありませんでしたが、記録のおかげで命を拾ったこともありました。記憶は難しいです。1年後には詳細など思い出すことはできません。しかし、長期の記録は、貴重な医療データになります。

2.持病や年齢によっても改善が難しいことも

原因を探るには、その仔自体の背景も関わって来ます。
健康な成犬や仔犬であればこれから続く永い犬生のためにも、改善してあげたいですよね。

しかし、それが老犬や持病を抱えていたり、体力の弱っている仔には、よくある偏食の際に勧められる、改善方法(食べないなら抜く等)やしつけをするのは困難な場合もあります。一般例が通用しません。
そうなると悪化しやすくなる条件が揃い、余計に悩ましい状況に陥るのです。

 

 偏食になってしまったら

1.飼い主でもできること

前項では、愛犬が偏食に陥ったらまずは原因を探るべきと書きましたが、原因を特定するのは簡単ではありません。また偏食を改善するのは容易ではないので、尻込みしてしまう方もいるかもしれません。しかし、それでは先に進めなくなってしまいます。

解決は一筋縄ではいきませんが、“簡単には諦めない” という初めの決心が大事です。
まずは飼い主ができること、基本的なことから挑戦してみてください。それはしつけであったり、一般的な偏食の改善方法として紹介される内容を試すことです。

その方法は、しつけの本だったり、ネット上にも様々な偏食の改善方法が記載されてます。まずは、それを参考にすると良いと思います。

大切なのは、"良いと思うことはなんでも試してみる" ということです。

2.どうにもならないときには

時には情報として得た改善方法が、通用しないケースもあります。
ほとんどの場合は、どれかの方法が合致するのですが、持病があったり、アレルギーを抱えているとそうもいかないのです。

けれど、通用しないからと言って、飼い主は簡単に諦めたりできません。どうにか良い対策はないか、必死になって探します。

我が家の愛犬は、子犬のころから食いしん坊で、食事で困ることなどないと思っていました。しかし病気になってその認識が一変しました。

 

特に終末期の食事はその最たるものです。
しかしどんなときでも、解決法はあります。この連載記事の最後にはその方法もお知らせします。最後の手段です。

そうなる前に、手を尽くしてみてください。
どこを探しても情報がなくてあきらめるのは早いのです。

あなた自身が考案し、試してみるのです。
あなたの愛犬は世界にたった一匹だけ。その子に合致する方法など、探してもそう簡単にあるわけがないのですから。

 

 そもそも原因は何だろう?

1.いろいろな理由で偏食は発生する

ここまでは偏食の原因を探ることに触れてきましたが、その原因は実に多岐にわたります。よく見聞きするのは、犬の個体ごとの元々の性格や、偏食気質であることなどですが、理由はそれだけではありません。

ホルモンバランスの変化、環境の変化、良かれと思って変えたフードの変更後や、病気の為に、食事の変更を余儀なくなってしまった時などもありえます。中には理由すら思い当たらない、いきなり食べなくなることもあります。

今まで食欲不振知らずの仔でも、偏食が始まると意外に簡単に悪化するので、初めての時はとても驚き、困惑します。

偏食とは、飼い主の誰もが無縁な話ではないと思います。

2.好物は死守したい

老犬の域に入ると、どの仔でも多少なりとも偏食の傾向は見え隠れし始めます。
そして、体調も老化に伴い変調がおきやすくなるので、治療の為に療法食への変更を勧められるケースもままあります。

加えて介護が必要な段階になると、体調や携わる飼い主の介護環境などの様々な要因で、今までのご飯の与え方が難しくなることも多いのです。

治療が必要になると、当然ながら薬が出されます。一時的な投薬でしたら、なんとか乗り越えられそうなものですが、一生飲むことになったりすると服用が苦手なタイプでは大問題です。

投薬の為に、好物に薬を混ぜて与えることはありがちなことですが、これは要注意です。絶対にやめてくださいと申し上げておきます。これは愛犬にバレると、その後の食事に悪影響を及ぼします。

犬はよく見ています。結構すぐにバレますよ(苦笑)。
それ以降、薬もおやつも拒否されてしまうことも……

薬を仕込んだことがバレなかったとしても、薬を飲ます度に好物が出るようになって、それが原因で、主食を食べなくなることもあります。いえ、よくありますと言いなおしましょう。

飼い主が簡単に解決しようとすると、愛犬にとっては良くない結果に繋がることが多いのです。これは経験則です。

実際に、大好物や毎日のフードが失われていった体験談は、下記の2記事を参考になさってください。大好物が瞬時に大嫌いに変わることもあるのです。 

【投薬】【食事】【療法食】大好物が嫌いになる瞬間

病気による発作と、気付けで大好物を与える時間が近かったため、苦しい経験と大好物が繋がってしまった事例。

【投薬】【食事】【療法食】 
嫌いになるのはスパイラル

投薬の際に食べ物に仕込んだことで、嫌いな食べ物ができた事例。なんとかたべさせようと、トッピングを工夫するうちに、嫌いな食べ物がどんどん増えていきます。

 

 本記事のまとめ

お読みになって、どう感じられたでしょうか?
今回は、偏食・食べムラに関する基本的な考えをまとめました。

食べ物はベテラン飼い主さんほど経験に囚われやすいもので、こうすべき、または、こうなって然るべきという考えやすいのです。しかし全ての犬が、1匹1匹ことなります。先代犬の経験は、たったひとつの参考程度とどめておいた方が無難です。

職業的なブリーダーでもない限り、我々はいつまでも新米飼い主。
目の前の愛犬に、予想外の出来事が起きるのは当たり前の話です。食事に関しての過信は禁物なように思います。

さて、次回は、偏食を予防する方法を紹介をしていきます。

 

――偏食・食べムラ ガイドブック ① 基礎・原因編・つづく――

作:高栖匡躬
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――次話――

~予防・対応編~
食べムラ・偏食の予防は、犬の一生を組み立てる長期的な意味があります。
一生食べる楽しみを残すために、今やることは?
そして、もしも起きてしまったら、どうやって対応したらいいのか?

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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