犬を飼うということ

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【犬との出会い】さよならトショ、さよならツキ ~思い出のトショとツキ(後編)~【もうイヌは飼えんなあ】

思い出の犬、トショとツキ
思い出のトショとツキ

撮影&文|ほっぷのトモダチ
  

ツキはトショの3回目の出産で生まれた子でした。
5匹生まれた中の唯一のメス。

その時の子たちは、オスから順番にもらわれていきました。
そして最後に残った1匹がツキでした。

何か特別な理由があって売れ残ったのではありません。あの時は不思議と、家族の誰もその最後の子の里親を探しませんでした。だから、ツキは自然に家に残った感じだったんのです。

名付け親はトショと同様に妹です。
月の綺麗な夜に産まれたからだと、妹は言っていました。

ツキは母親のトショと一緒に暮らしていたせいか、トショと同じように、おっとりな性格で、トショよりもムダ吠えもしないイヌでした

3回目の子ということもあって、トショの4回目(最後の)子どもたちのめんどうもよくみてくれていました。

歳をとったトショは、庭でのんびりするのが日課になりました。ツキの方は臆病だったので、散歩もキライで庭から出ようとせず、ノーリードにしていても、トショのそばを離れないようなイヌでした。 

 

実はトショだけでなく、ツキも一度、出産をしています!

上に書いたように、トショを庭につないでたときに、一緒にツキも外にでていたので、そのときに事が起きたのだおもいます。

田舎とはいえ、さすがに野良犬はいませんし、近所に放し飼いの子もいません。
あのコロも、もう亡くなっていました。
だからお相手は、ホントに誰かわからず仕舞いでした。

ツキはトショの出産のときは、ずっとトショのそばにいて、産んだあとも献身的にお世話したのに、その反面で自分の出産のときは、一生懸命に関わろうとするトショに対して、「手をだすな!」とでもいうように唸り声を上げました。

ツキが怒っている姿をみたのは、後にも先にもその1回だけです。
犬と言うのは、奥が深い生き物だなあと思います。

トショもツキも人間が、特に子どもたちが大好きでした。
だから、近所の子どもたちからも慕われていて、トショを夕方のサンポにつれていってくれたり、ツキと遊んでくれたりしていました

本当にトショもツキも良い子すぎて、全くといっていいほど、手がかからないイヌたちでした。

こんな風にして、トショとツキと家族の日々は過ぎていったのです。

 

月日は流れ、トショが14歳になった年のことです。

トショは突然体調を崩しました。具合が悪くて、小屋から出てきません。
心配した家族は病院に連れて行ったのですが、とりたててどこか悪いところは見つからず、元気が出るように注射を打ってもらって家に帰りました。

トショが小屋にいる間は、ツキがずっと寄り添っていました。

トショの体調悪くなって2日たった夕方のことです。

様子を見るために土間の扉を開けると、急にトショが外に飛び出して行ってしまいました。具合が悪いはずなのに――

いつもなら「トショ!」と呼ぶと、トショはシッポを振って駆けよって来るのですが、そのときは違いました。振り向きもせずサーっと走り去って行くのです。

「トショ!!!」

私が大声で呼ぶと、トショは距離がすこし空いたところで立ち止まり、振り向きました。しょぼんとした顔に垂れ下がったシッポ。今も忘れられません。

トショはそのまま向こうを向くと、走り去ってしまいました。

その後家族で、夜遅くまで近くを探ましたが、トショは見つかりませんでした。

そのまま朝になり、昼を迎えた頃です。
近所の子どもたちがうちにきて「トショが死んどるで!!」と教えてくれました。

急いで現場に向かうと、そこはうちのすぐ近くでした。
トショは家と家の間に横たわった状態で、亡くなっていたのです。

「たぶん、死期を悟った行動だったんだなぁ……」
と家族で話しました。

 

1匹のこされたツキ――

トショが突然いなくなってしまい、あれほど鳴かなかったツキが、「クゥーンクゥーン」と寂しそうに、声を上げるようになりました。

しかし、幸いにも近所の子どもたちが、毎日ツキを気遣って会いに来てくれました。
ツキは次第に元気を取り戻していきました。

それから6年が過ぎました。ツキが10歳の時です。

急に体調が悪くなったツキ――
病院につれて行って、すこし良くなったかなぁと思っていた矢先のことでした。

朝になってみたら、もうツキは亡くなっていました……

人間側はちゃんとお別れができなくて残念だっけれど、トショとツキはきっと、自分たちなりにアイサツしていってつもりなんじゃいかなぁ……

この親子に、私たちは十分なことがしてやれたんだろうか?
ホントにうちにきて幸せだったんだろうか?

今も、そんなこを考えたりします。

しかしこの親子のおかげで、私たち家族全員は、あったかい気持ちで楽しい日々が送れました。

愛情深くて聖母のようだったトショ、臆病だけどみんなに好かれ、トショのそばに寄り添うツキ。

「もう、トショやツキ以外のイヌは飼えんなぁ」
それが、今の家族全員の気持ちです。 

本当に、ありがとうという言葉しかでてこないです。

 

ほっぷ

さて、犬の飼えなくなった我が家で、私は猫を飼い始めました。
ほっぷと言う名前の猫です。

ほっぷは室内飼いをしているのですが、うちに来たときから外に興味があり過ぎでした。試しに抱っこして外にでてやったら、すぐに飛び降りてしまって――
その時は、なんとかつかまえたのですが、大暴れで大変でした。

それで今は、犬のように、ハーネスとリードを付けて散歩をしています。

さて、そのほっぷが散歩で身につけているリード。実はトショが小さい時に使っていたものなのです。はじめは猫用のハーネス&リードを買ってやったのですが、 ほっぷは気に入らないようでした。

「それなら、コレは!?」と出してきたのが、トショのリードというわけです。
ほっぷはしっくりきたようで、「コレならよいぞ!」と言っているようでした。

命の繋がりなんていうと、大げさでしょうかね?
でも、ほっぷに寄り添って、トショとツキも歩いている気持ちになるのです。

お天気の良い日なんて、ホップは自分でリードを咥えてきて、私の目の前に置くんですよ。もちろん、散歩の催促です。

まるで「さぁいくぞ!」と言っているみたいです。

さあ、いくぞ!
ほっぷ
みんな一緒に!

 

――思い出のトショとツキ(後編)おしまい――

作:ほっぷのともだち
 

――前編――

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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私が猫のほっぷを迎えた理由は

うちの子がうちに来るまで

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