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【偏食・食べムラ ガイドブック③】医療として出来ること【治療・まとめ編】

【関連コンテンツ】

病院で出来ること:偏食・食べムラ ガイドブック ③
偏食ガイドブック3

文・編集|高栖匡躬
 
はじめに

今回は、三回にわたった連載の最終回です。

飼い主サイドから書かれることが多い、偏食と食べムラの記事ですが、動物医療として見たらどうなのでしょうか? 最後の砦のお話です。

こんな方に:
手を尽くしたが摂食障害が改善しない|このままだとどうなってしまうか不安|食べないことを怖がり過ぎていませんか?
 

【目次】

 偏食の治療

病院でできること その1【投薬治療】

人間には、食欲がない時に処方される薬がありますね。ペットにもそういった薬が用意されているのだそうでです。

ただし――、医薬品なので、副作用のことも考えなければなりません。
持病があって、既に熱の薬やサプリメントを服用していたり、老犬の場合は慎重にならざるをえません。

投薬での食欲増進治療を行う場合は、なるべくダメージの少ない方法から試したいものです。これは医師任せにせず、事前に飼い主も知っておいた方が良いように思います。

詳細は下記の記事をごらんください。

ペットにおきる急な食欲不振〜獣医さんも意外に知らない対策〜

食欲不振が拒食に近い場合、食欲刺激薬を用いる手段もあります。
この薬の多くは、食欲だけを狙って増進させるのではなく、他の病気で用いる薬の副作用を利用して、食欲を増進させます。

薬の副作用を利用するということであれば、当然ながら主作用が存在します。
薬を使う前には、必ず獣医師に相談し、指示を仰ぐべきでしょう。

 

病院でできること その2【栄養療法】

闘病中や老犬になると、体重の減少が心配になってきますね。たくさん栄養のあるものをとってもなかなか体重が増えなかったり――

体調面や介護状況によっては、飼い主が強制給餌が行えない状況になることもあり得るでしょう。

そんな時には栄養療法という方法があります。

過度な偏食、拒食に対応するために〜最終手段は医療で対応〜

飼い主が自力で与えるのが難しいというケースもあるかもしれません。
そんな時に、栄養療法という、病院で行う栄養を摂ってもらう方法があります。

栄養療法は本来、胃癌や膵炎、巨大食道症のように、食べても吐くあるいは物理的に食べることができない個体に対して行う治療です。偏食に対して行うと、過剰治療となる可能性もありますが、命の危険を伴う緊急時では話は別です。

すべての個体に対応出来るような簡単な処置ではありませんが、万が一の際の最終手段として、頭の片隅に知識をいれておけば、役にたつ日がくるかもしれません。

 最後にお伝えしたいこと。たいせつなこと。

食べないことが悪いことではない

これまで、偏食に関する様々な記事を紹介していきました。最後にお伝えしたいのが、食べない事がいけないことではないということです。
人間でも食事を控えたりする時もあるし、体調不良でなくとも食欲がない日だってあります。

ペットがいきなり食べなくなると、飼い主は情報をさがします。そこには、食べないことはいけないことかの様に書かれている場合が多いです。そして食べることへの情報ばかり出てきます。

ある日突然体調も悪くないのに食べてくない時、まずは焦らずに食べないことの意味も探ってみると、答えがそこにあるかもしれませんーー

こちらの記事も参照ください。

【絶食】【食欲不振】【食欲不振】 
食べないことにも意味がある

自然界にいる野生動物が体調を崩した時にどうするか?
動物たちは何も食べないでじっとしています。食べられないのではなく食べないのです。その理由を探っていくと、食べさせることで回復を遅らせる場合があることにも気づきます。

 

 ペットの偏食、食べムラに立ち向かう飼い主さんへ

愛犬が偏食・食べムラに陥り、それが長期に渡ると、飼い主ならば誰でもとても困惑しすることでしょう。それが初めてだったら尚更ですね。

記事を書くために情報を集めてみて気付きましたが、ペットの偏食に悩む方はとても多いのです。筆者の場合は終末期の偏食でしたが同じ悩みを抱えた方のアドバイスで、助けられたこが沢山ありました。

同じ経験をした方ならお分かりになるでしょう。ネット上には似たような記事が蔓延しています。懸命に記事を読んでいたら、意図的に特定のフードや、サプリメントに誘導するものだったりして。

私が食べ物に関する記事を書き始めたのは、そんなことへのちょっとした反発が理由です。飼い主の目線で、きちんと情報をまとめようと思いました。

ちょっと前の、必死になって情報を探しては、悩み落ち込んでいた私に向けて書いた記事です。その頃の私が、この記事を読んだら、もしかすると、気持ちの負担も違ったのかもしれないなあと思いながら。

”食べることは生きること” とよく言われていますね。
しかしその一方で、”食べないことが全て悪って訳じゃない” とも思っています。

愛犬が美味しそうにご飯を食べる姿を、一日でも多く見ていたいから、食事について考えるのは飼い主にとって当然のこと。そんな気持ちが高じると、もしかすると偏食に立ち向かう日々は、だんだんと苦しくなるかもしれません。

経験者として申し上げると、食べ物に関する悩むは、即効性のある解決法は無いように思います。即効性を期待すると、必ず何年か後にその弊害に気づくのです。

解決法の最終手段は医療による解決です。それがあるのだと思って、少し気持ちを楽にして取り組まれることをおすすめしたいです。

どうかこのまとめ記事が、皆さんのお役に立ちますように。

 

――偏食・食べムラ ガイドブック ③ 治療・まとめ編・おわり――

作:高栖匡躬
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――前話――

~予防・対応編~
食べムラ・偏食の予防は、犬の一生を組み立てる長期的な意味があります。
一生食べる楽しみを残すために、今やることは?
そして、もしも起きてしまったら、どうやって対応したらいいのか?

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――本シリーズの1話目です――

~基礎・原因編~
愛犬の食事に関するトラブルの中は様々
用語の定義と、食べムラ・偏食に陥る原因をわかりやすくまとめました。
色々な原因で食べムラ・偏食は発生します。
まさかのときの準備のためにどうぞ。

 

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 ペットの食事、関連の記事です

疑問だらけのドッグフード|4話連載

ネット上にはドッグフードの記事が沢山ありますね。
穀物は有害? 野菜は有害? 本当に?
全部真に受けたら、食べるものが無くなるんだけど。
記事が推薦するフードは、愛犬に良いものなの?

ドッグフードの常識、疑ってみよう|3話連載

ネット情報が伝えるフードの情報は、落ち着いて考えると矛盾だらけ。
一体何が正しいのか分からないですね。
常識として語られていることを、一つ一つ疑問点として取り上げてみようと思います。

 

 

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