老犬はみんな、頑張って歩くんだよ
#秘密結社老犬倶楽部のこと
老犬の飼い主にとって看護や介護は、老犬との生活で切っても切り離せないものです。飼い主は自分の時間を犠牲にし、少なくはないお金を注ぎ込みます。客観的に見ると大変な労力や苦労なのに、それをやめるかと言われてももちろんやめられるものではないわけです。
同じ経験をした方なら分かると思いますが、看護や介護は大変な労力です。しかし飼い主さんにとっては、愛犬の命が一番。そこから逃げ出すことができません。#秘密結社老犬倶楽部 がすごいのは、そんな飼い主さんの切羽詰まった心を、スウッと軽くしてしまう力を持っていることです。
この記事はこんな方に:老犬(シニア犬)と暮らしている|愛犬が闘病中、または介護中|愛犬が亡くなってしまった|他の飼い主さんのことが知りたい|皆さんの頑張りをみて、元気をもらいたい
No.30は、ジョンさん 頑張って歩く姿
平成から令和へと変わる最後の日の夜、悲しい知らせがありました。No.30のジョンさんの訃報でした。そのツイートを見た時、私は息を呑みました。そして溢れる涙を止めることが出来ませんでした。
「ああ、ジョンさんも逝ってしまっのか」
少しの間、思考が止まり、ただそのツイートを何度も読み返していました。
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ジョンさんのツイートを始めて見たのはいつ頃だったでしょうか。秘密結社老犬倶楽部のタグをつけていないジョンさんのツイートを、たまたま見かけてジョンさんを知りました。長い廊下に滑り止めのついたマットを敷いて、ジョンさんがゆっくりと時にはふらつきながら歩く姿が、とても印象的でした。
「頑張って歩いているなぁ」
その姿にしばらく釘付けでした。ふらついても頭が上がらなくても、時にはぐるぐると回りそうになっても歩いているその様子が、忘れられませんでした。
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すぐに、老犬アルバムへのご参加のお誘いDMをお送りしました。
「老犬アルバムを作ってもらえるのですか?よくわからないのですがお送りしてもよろしいですか?」
そんなお返事とともに届いたジョンさんの写真は、お散歩の途中で撮ったのだろうと思われるジョンさんが、歩きながら顔を上げたものでした。
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少し誇らしげに微笑むジョンさん。そのメッセージは、
『うちに来て幸せでしたか? もし話せるなら、話したいことがいっぱいあるんだ』
それだけで、物語が出来てしまうような素敵なメッセージ。間違いなくジョンさんは幸せだということが伝わってくるものでした。
飼い主さんに大切にされて、ジョンさんは犬生を全うしてお空へと旅立ちました。
あの時、ジョンさんのツイートを見つけて、老犬アルバムにお誘いして、ご参加いただけたご縁に、感謝の思いです。
No.31は、ちぃさん その闘病記は、やせ我慢系
No.31のちぃちゃんは、Withdog『犬を飼うということ』で、闘病記を配信させていただいた、心臓腫瘍と闘ったフレブルさんです。
こちらがその闘病記です。
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ちぃちゃんと出会ったのは、ネットで公開された闘病記でした。
題名は『虹の橋のむこうに』
飼い主さんの想いが沢山詰まった闘病記。一気に読み終えて、ああいいなあと思いました。ラストの一行にやられました。
まだお読みになっていない方いらっしゃるので、今回は敢えてそこには触れません。
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Withdog『犬を飼うということ』は、沢山の闘病記を掲載しています。
普通だとあまり読まれないはずの闘病記。でも大切だと思って配信しています。
掲載する闘病記の基準は、”読み物” であることです。
読者の方に読んでいただく以上は、全ての文章が “楽しんで” 読んでいただける読み物でなければならないというのが、当サイトのポリシーなのです。 “楽しんで” は誤解されるかもしれませんので、もう少し追記すると、”楽しい” という意味ではありません。”文章として楽しめる”という意味です。
『虹の橋のむこうに』は、編集をする前から、とても良い読み物でした。
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Withdog『犬を飼うということ』の闘病記には、実はもうひとつ特徴があります。それは、飼い主さんが、やせ我慢体質であるということです。
どういうことかというと、飼い主さんが、闘病に対する苦しさとか、葛藤とか、悲しさをストレートには出しません。自分の胸の中で咀嚼して、本当に伝えたいことだけを吐露するのです。
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人は悲しい時、苦しいとき、どんな風にそれを人に伝えるでしょう?
単純に考えると「悲しいよ」「苦しいよ」でしょうね。しかし、やせ我慢系は違います。
「悲しくないよ」「苦しくないよ」と言ってしまうのです。
悲しくないわけがない。苦しくないわけがない。とても悲しくて、苦しいはず。そんなときに、「悲しくないよ」「苦しくないよ」と言うのです。
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「悲しくないよ」「苦しくないよ」で伝わる悲しみと苦しみは、「悲しいよ」「苦しいよ」で伝わるものよりも、ずっと懐が深いと思いませんか?
そんなやせ我慢系の闘病記多いのが、このサイトの特徴です。
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ちぃちゃんの闘病記は、そんなやせ我慢系の一つでした。
まだ読まれていなければ、ぜひ読んでみていただきたいです。そして、ラストのやせ我慢な一行に触れてください。
No.32は、シュウさん それは最後の恩返し?
老犬アルバムがスタートして1カ月を過ぎた頃、No.32のシュウさんの飼い主あみママさんからご応募の連絡をいただきました。
そのご応募の文面には、シュウさんは、飼育放棄であみママさんのお家にやってきた子だと書いてありました。だからでしょうか? 抱っこされたシュウさんが、遠くを見つめる目には悲しい過去も全て受け入れ、今とても穏やかに過ごしていることが伝わってくるような写真でした。
(一緒に暮らしている2匹の愛犬さんも、シュウさんの少し後で、老犬アルバムに参加してくださっています)
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そのシュウさんの訃報を、4月下旬あみママさんからいただきました。
徐々に体力が衰えていたシュウさんは、亡くなる数日前までお散歩に出かけてご飯を食べていたそうです。急に立てなくなり、眼振が起きて首が曲がり、硬直して亡くなったのだそうです。
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一緒に暮らすピースさんと桜さんに見守られる中での旅立ち。4月8日に18歳になってから10日ほどだったそうです。優しいシュウさんは、あみママさんを気遣ってくれたのか、たまたまあみママさんのお仕事がお休みの日に葬儀が出来たと書いてありました。
それはシュウさんを引き取り、愛情深く面倒を見てくれたあみママさんへの、最後の恩返しだったのかもしれません。
犬というのは、健気で愛おしいですね。
しみじみそう感じました。
次は運命的な出会いのお話
次にご紹介する老犬さんは、Withdog『犬を飼うということ』の[うちの子がうちにくるまで]を書いてくださったchobiさんが、初めて迎えた犬、老犬アルバムNo.33のチョビさんです。チョビさんとの出会いはとても運命的なものでした。
そのお話は、次の回で。
――つづく――
文:樫村 慧
▶ 作者の一言
▶ 樫村 慧:犬の記事 ご紹介
▶ 樫村 慧:猫の記事 ご紹介
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――次話――
次話は、No.33の、ちょびさんの思い出からはじまる3ワンのお話
老犬には、たまらない魅力がある。
それはずっと犬を愛した人だけが実感できる、ご褒美みたいなもの。
現実にはつらい思いもあるけれど、#秘密結社老犬倶楽部 は、その気持ちを和らげてくれる言葉だと思います。
――前話――
前話は、No.28の大ちゃんの思い出から始まる2話+1ニャンのお話。
#秘密結社老犬倶楽部 はすごい発明だと思います。
愛すべき老犬さんや飼い主さんに出会える、魔法のような言葉。
私はそこで沢山の老犬さんを知るのことになりました。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の1話目です――
第1話は老犬アルバムがスタートした経緯をお知らせします。
老犬アルバムのスタートは、一匹の大型犬、タフィさんが旅立った時の飼い主さんの言葉がきっかけです。「大きくて優しい子、ありがとう、大好き」その一言が忘れられませんでした。どうしてもそれを、何かの形に残そうとカードを作りました。
大きくて優しい子が、老犬アルバムを作ったんです。
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老犬アルバムのご応募方法はこちらです
老犬アルバムに必要なのは、下記の6つの情報だけです。
①愛犬の名前
②愛犬の年齢(~カ月まで分かると尚良し)
③飼い主の名前(~ママとか、ハンドルネーム)
④小型犬、中型犬、大型犬の区別
※人間年齢を換算するために必要です。
※超大型犬は大型犬、超小型犬は小型犬で換算します。
⑤愛犬への一言、または、愛犬からの一言
⑥お気に入りの写真1枚
下記(担当:樫村慧)にDMをお送りください。
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老犬アルバムと老猫アルバム
老犬アルバムはここからスタートしました。
長老のハリー君は2019年6月20日に17歳の誕生日を迎えて、人間年齢124歳です。
でも、犬は何歳になっても子犬のようです。
老犬アルバムは51匹目からVol.2に突入しました。
開始当初は51匹は遠い未来でしたが、沢山のご応募のお陰です。
犬は子犬や、成犬の頃には見せなかった姿を、老犬になってみせたりしますね。
毎日が新しい発見です。
老犬アルバムは101匹目からVol.3です。
飼い主が家に帰っても、ずっと寝たまま。若い頃はお迎えにきたのにね。
しかし、その寝姿がまた愛おしく感じます。
時々頑固者になるのは、人間と同じですね。
老犬アルバムは151匹目からVol.4です。
人間と犬。言葉は交わせないのに、なんとなく心が通いますね。
こうして欲しいと、飼い主が思ったことをしてくれることが時々あって、不思議だなあと感じるようになる。
飼い主も、愛犬が何を言いたいのか心で感じ取れるようになる。
老犬アルバムの猫版。老猫アルバムです。
犬と猫の違い-――、猫歳をとっても見た目が変わらないので、絵にかいたような老猫というのがいないんですね。飼い主さんの心の中で、この子も歳をとったなあと思ったときが老猫。老犬よりもカードの数は少ないのですが、どの子も飼い主さんの愛情いっぱいです。
樫村慧|他の作品
近しい方のペットが病気になったとき、一声かけてあげたくなりますね。
励ましてあげたいんです。でも、どんな言葉を掛ければいいのか?
経験した人なら分かりますね。悪気なく、心からの思いで掛けた言葉が、時に相手を傷つけてしますのです。
いつも散歩道で会っていた、土佐犬リンんちゃん。
いつしかそのリンちゃんは、散歩道に現れなくなりました。飼い主さんが人と会うのを避けるようになったのです。大型犬で闘犬の血が流れたリンちゃんには、いわれのない偏見の目が合ったのです。