犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【癲癇|てんかん】7月21日 可愛い仕草は嵐の前触れ ~発作は嫌いよ(26/31)~

【関連コンテンツ】

ピーチーの闘病記:癲癇てんかん)編
ピーチーの癲癇闘病記

撮影&文|高栖 匡躬 (DVMsの前にて)
 
当時を振り返り

ピーチーは発作の前になると、不思議と調子が良くなるように見えました。
妙に甘えて、まるで猫のように体を摺り寄せてくるのです。
しかし今思えば、あれが本当に調子の良い状態であったのかどうかは何とも言えません。
「可愛いなあ」と思った矢先に、発作が来てしまうこともしばしばだったからです。

癲癇の発作は脳内に不正な電気信号が走るといいます。その電気信号が大発作の瞬間に急に走るのではなく、発作の前から微弱な電流が流れ始めているのだとすると、ピーチーは事前に体調の変化を感じて、不安になって甘えていたのかもしれませんね。

 当時のブログより|また発作が起きた

※文体は執筆当時のままです。

早朝の5時25分、ドサリという音と共に目が覚めると、ピーチーにてんかんの大発作が起きていました。前足、後足でバタバタと宙を掻き、口からは泡、失禁という典型的な大発作です。

発作の時間は5分ほどで、長めですが、激しさとしては中くらい。それ程ひどくはありません。発作がおさまると、5分ほどは不安げに寝たままで、目をキョロキョロさせ周囲を窺います。

その後起き上がると、徘徊。
やがて興奮が高まって小走り。

ブリーランに移行しそうだったので、抱きかかえて動きを止めます。走らせるとぶつかって危険な上、体力を消耗してしまうからです。

段々と落ち着いてきたので、放してやると、また小走りで徘徊します。ですが、興奮は先ほど程には高くなさそうなので、そのまま様子を見ます。

次第に小走りは歩きに変わりました。
ピーチーの興奮が収まったと判断し、そこでイーケプラを与えます。
ここからまた、新しい1クールの始まりです。

時計を見ると6時過ぎ。
約30分間のできごとでした。

前回のイーケプラの1クール投与が、16日朝からの3日間。つまり18日で終了。
19日に軽い発作かと疑われる行動が2度ほどあったことを考えると、イーケプラが切れた途端に異常行動→大発作という流れが容易に想像されます。

イーケプラの効果は実感しているのですが、薬が切れてすぐに発作というのは、癲癇自体は悪化しているのかもしれません。

前だったら、発作の後には大好きなアイスクリームを舐めさせてあげました。
それを舐めると、ピーチーははっとして目に生気が戻りました。不安で、無くしてしまいそうになった自信を取り戻しているようです。てんかんの発作は脳が糖を消費するので、発作直後には甘いものをあげると良いとも聞いています。

でも、もうピーチーはアイスクリームが好きではなくなってしまいました。
ちょうどもらい物のロールケーキがあったので、真ん中の生クリームをスプーンですくって舐めさせてあげました。

とても嬉しそうでした。

イーケプラは服用後1時間ほどのうちに効果が現れます。
ピーチーはお風呂に行って、寝てしまいました。

お風呂で寝るピーチー

調子が悪い時には暗いところに行きたがります

 可愛い時には要注意

このところ、気が付いたことがあります。
発作を起こす前のピーチーは何故かとても可愛いんです。今日はなんだか可愛いな~、と思っていると、それからあまり時間を開けずに発作を起こすというパターンです。

可愛いというのは、具体的に言うと2種類あって、1つ目は、眼に力があって、好奇心にあふれていて、まるで仔犬の頃みたいだなと思える時。2つ目は、妙に甘えてきて、しょっちゅう寄り添ってきます。これは長年一緒にいる飼い主でないと分からないでしょう。獣医さんに言っても理解してもらえないと思います。

ピーチーにイーケプラを投与するタイミングは、飼い主から見て『行動が異常と思えた時』からと、獣医さんとは合意をしていますが、更にこれに、『とても可愛い時』というのを加えるべきかもしれません。

この記事を書いている最中に、ピーチーがお風呂場から僕の部屋に愛想しに来ました。

部屋に来たピーチー
f:id:masami_takasu:20210203020029j:plain

f:id:masami_takasu:20210203020032j:plain

f:id:masami_takasu:20210203020035j:plain

どえらい、可愛いです。

 

――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(26/31)つづく――

文:高栖匡躬
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――次話――

発作は嫌いよ|25/31

ピーチーはいつからか、ご飯の時に後ろ足を大きく開くようになりました。
最初はコミカルなポーズに笑っていたのですが――
今思えばこの時既に、多発性関節炎だったかもしれません。
原因は自己免疫不全。
それは後に癲癇の原因とも疑われます。

www.withdog.site

――前話――

発作は嫌いよ|27/31

朝、発作を起こしたピーチー。
重積発作を起こしやすいので心配ですが、仕事に行く時間です。
本当はピーチーを最優先にしてあげたいのですが、仕方がありません。
それも含めての闘病です。
――そして帰宅。
ドキドキしながら家の扉を開けるのでした。

www.withdog.site

――この記事の初回です――

発作は嫌いよ|1/31

我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。

www.withdog.site

おすすめの関連記事です

自己免疫不全|実は身近で起きていることかも

2015年のある日、我が家の愛犬ピーチーを病魔が襲いました。
最初は夏バテかなと思い、次に熱中症を疑いました。
かかりつけの獣医師も、熱中症との診たてでその治療を。

しかしピーチーの状態は悪化の一途。
ただならぬ状態に、未明の救命救急に飛び込み、そこで発覚したのが重度の肝炎でした。
結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。

ステロイドの体験談|怖がらなくていい

ステロイド剤は一般的な薬であるにも関わらず、必要以上に嫌われているように感じます。その原因として、適切な使用方法が行われておらず、そのために無用の副作用を被る場合が多いのだと想像できます。

要は、ステロイド剤は飲むのも工夫、減らすのも工夫なのです。

© 2017 Peachy All rights reserved.