犬を飼うということ

いつまでも君と……

【提言】ペットのお墓について考えてみたい ~当事者たちの深刻な問題。悩んでいる方々へ~

f:id:masami_takasu:20171103134006j:plain撮影&文:樫村 慧

我が家では、一昨年の7月に愛犬を亡くしました。同じ経験をなさった方は、きっと多いことでしょう。皆さんはご自分の愛犬の遺骨を、どうなさっていますか?

かけがいのない愛犬を亡くす――
愛犬が若いうちは、そんなこと想像も出来ませんよね。しかし、別れは必ずやってきます。そしてそれが現実となった時、大切な愛犬の遺骨をどうしたらいいのか?
――我が家にはまだ、その答えはありません。

愛犬の遺骨は手元においたまま。お墓は用意してあるのに、どうしてもそこに入れられなくて――

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ここから、我が家のお話をしましょう。
少し個人的な話しが含まれますが、ご容赦ください。

我が家は、先住犬であるゴールデンレトリバーのサンタを3歳という若さで亡くしました。悲しみに打ちひしがれながら、火葬して、それからしばらくは、サンタの遺骨を自宅に保管。その後、周りからの強い勧めもあり、自宅からさほど遠くない、ペット遺骨共同保管所にサンタの遺骨を預けました。

当時、まだペット霊園はほとんどなく、そこに預けることが最善だと考えた結果でした。

 

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それから1年ほどたった頃のある日、主人は私に何の話もなく、サンタの遺骨を保管所に取りに行き、車で2時間ほどのところにある主人の実家の庭にこっそりと埋めてしまいました。実家の主である義父にも黙って。

どうやら主人は、縁もゆかりもない自宅近くの保管所より、100キロ以上離れた自分の実家の庭に埋めたい、と思い立っての行動だったようです。

当時はその主人の行動に、どのような意図があったのか全くわからず、ただただ困惑したことだけをよく覚えています。

 

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それから、我が家には、2代目のゴールデンレトリバーのラフが、やってきました。そして、ラフが来て6年後のこと――、彼を溺愛していた主人に病気が見つかり、半年ほどの闘病の末、主人は他界します。

否が応でも、お墓を購入しなければならなくなったその時、私と長男は、いくつもの霊園を周り、頭を悩ませ、最終的に、ペットも一緒に入ることが出来る霊園の一画を購入すると決めました。その霊園は、とても新しく、建ててある墓石もまだ少しだけ。自宅から車で15分ほどと、アクセスもばっちり。
そこに、ゴールデンレトリバー2頭の後ろ姿を、墓石の下部分に彫ったお墓を建立したのです。

 

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サンタの遺骨も、そこに安置してやりたいと思ってはみたのですが、主人が広い庭のどこにサンタの遺骨を埋めた場所も特定出来ません。事情を義父に話すことも出来ず仕舞いで、結局サンタの遺骨は、未だ実家の庭のどこかに眠っています。

それでも、サンタの魂は、主人のいるお墓に帰ってきてるだろうと信じ、サンタとラフの後ろ姿を彫りました。もちろん今後、サンタの遺骨を、掘り返してこようと長男と決めています。必ず、サンタの遺骨をお墓に移してあげるつもりでいます。

 

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お墓を建てた頃は元気だったラフは、昨年の7月に亡くなりました。腎不全と2年半も闘った末の旅立ちでした。そして1年を過ぎた今も、ラフの遺骨は、主人のお仏壇の隣に置いてある、クレートの上に鎮座しています。あれほど悩んで購入し、建てたお墓なのに、どうしてラフの遺骨をまだ自宅に置いているのか――

改めて、その理由を考えてみると、もし自分ならどうなのだろうという疑問に行き当ります。硬い墓石の下ではなく、樹木葬にして、自然の中で植物の息吹を感じながら風に吹かれて眠るのも自分らしい。

はたまた、どこか許される場所があるのなら、散骨してもらうのも悪くない。全てを空に還して、たまにフッと思い出してもらえればいいなと思ったり。自分自身があのお墓に入る決心がついていないのに、ラフを先に入れてしまうのは――

 

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サンタはお墓に入れてあげたいのに、なぜラフは? と思われるかもしれませんね。
でもサンタは、主人が自分の意志で埋めたのだから、そこは尊重してあげたいんです。それにラフは主人のいなくなった我が家にとっては、特別でした。

主人が病気と分かってから、闘病中、そして他界した後も、ずっとそばで支えてくれたラフは唯一無二の存在。まるで、自分の一部がもぎ取られたような感覚さえあった彼の死を、私はまだうまく消化しきれていないのかもしれません。

私たち家族3人を支えてくれた、そんな大事なラフの遺骨を、そう簡単に主人のいるお墓に入れようとは、私も息子たちも、考えられないというのが正直な気持ちなんです。

もしかすると無意識のうちに、サンタは主人のものだけど、ラフは私と息子たちのものという考えになっているのかもしれません。

だから、きっとまだ、もう少し、いや当分このまま、ラフの遺骨は我が家にいるでしょう。

 

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遺骨を長く、部屋に置くものではないなどと、色々なことを言う人がいます。しかし、その言葉をどう受け止めるかは、それぞれの自由です。

幸せな時間をくれた愛犬の遺骨をどうするのか、一緒に暮らしたものだけが、焦らずに時間をかけて決めればいいこと。何事にも囚われずに、柔軟な発想で、愛しいあの仔の眠る場所を決めてあげるのが一番なのではないでしょうか。

「ごめんね、私のラフはまだ渡せないから」
昨年のお盆も、お墓の前できっぱりと主人に伝えてきたところです。

 

文:樫村 慧

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