犬を飼うということ

いつまでも君と……

【粗食】【食べムラ】【食欲不振】粗食のススメと、ネット情報の誤解 ~今の”食”が将来の幸せをつくる(3/4)~

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文:高栖匡躬

前回、前々回で、【食べムラ(我儘)】を矯正する(躾ける)方法についての提案と、それを行う理由について書きました。
本話では、最後のまとめをする前に、以下のことを整理しておこうと思います。

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 本記事のポイントは下記です。

①【食べムラ(我儘)】を未然に防ぐため、粗食の提案
②【食べムラ】【食欲不振】関連のネット記事が抱える問題点
③ 闇雲に ”食べればよい”とする意見が、なぜ出てくるのかの考察

 

 粗食のススメ

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筆者は愛犬の食事は、粗食にすることををお薦めしたいです。それは我が家の経験に基づいて、実感したことです。

わが家の愛犬ピーチーは、うちにきてすぐの頃、警察犬の学校に入りました。家を離れて、トレーニングを受けるのです。もう16年も前の事です。
当時ブルテリアはとても飼いにくい犬種のトップに君臨する犬で、顎の強さもチャンピオン級であるために、もしも躾に失敗したら取り返しがつかないと思ったのです。
(この時の経緯は、また別の記事に書くことにします)

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3か月がたってピーチーを迎えに行ったとき、トレーナーさんからとても大事な事を教えてもらいました。それは我が家が犬に接する基本の理念になったことばかりです。(今回の記事の主旨とは異なりますので、これもまた記事を改めます)

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その教えの中の1つは、フードに対する考え方でした。下記の3つです。

その1:
TVで宣伝しているフードは食べさせない。なぜならばその中には、喰いつきを良くするために、不自然な添加物が含まれているから。
その2:
まずは一番安いフードから与えていって、体質に合うフードを見つけなさい。
その3:
フードだけだと飽きるので、ときどき白米を与えなさい。その時には白米に水をかけてやる程度。犬にはご飯の甘味で十分。

この教えは、今となっては少々乱暴な気もします。
安いフードの中には、粗悪品も随分と含まれているからです。
(中国製のフードにメラミンが含まれていて、沢山の犬猫が死んでしまった話はまだ記憶に新しいですね)

若干修正をするなら、原材料に問題のないフードを、安い順から試して見なさいということになるでしょう。

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結局ピーチーは、安いフードは体質に合わず、下痢をしたり、体中に湿疹ができたりしました。落ち着いたのは、ヒルズ『サイエンスダイエット』です。

更にわが家では大食いのピーチーのために、カロリー計算をした上で、肥満犬用の『サイエンスダイエット(肥満犬用)』を、1.5倍食べさせていました。
これが約10年も続きます。

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ピーチーは11歳で胆管閉塞を患いました。奇跡的に回復しましたが、以後は療法食となりました。市販されているフードの中で、もっとも低脂肪のスペシフィック『CRD-1』です。
療法食を食べない犬が多いと聞いていたので心配をしていたのですが、ピーチーはガツガツとそれを食べてくれました。

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そこに至って初めて筆者は、粗食の有り難さを知る訳です。

恐らく『CRD-1』は『サイエンスダイエット(肥満犬用)』と較べて、味は悪くなかったのでしょう。それどころか、あの喰いつきの良さからすると、むしろ美味しかったのかもしれません。

 

 実感する経験者がもう一人

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粗食の有り難さを知る人物がもう一人います。
Withdogの執筆者である樫村慧さんです。

樫村さんの愛犬ラフも、腎不全と診断されて療法食になったとき、その新しいフードを、何の問題も無く食べてくれてたそうです。食べない子が多いのだとのことで、医師からは随分と褒められたのだとか。
樫村さんのお宅でもやはり、”愛犬には粗食”が方針だったそうです。

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樫村さんは主治医から、私見であるがと前置きをされたうえで、「犬はある年齢になったら、健康でも療養食でもいいのかもしれない」と言われたそうです。

たしかに、カロリー計算が十分に行われているのであれば、療養食を食べた方が、内臓に負担がかからないので、病気になりにくいでしょう。また舌が肥えることもないので、いざ闘病となったときに、食事の選択肢が増えます。

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喰いつきの良いフードは、健康な時には良いのですが、病気になった時には逆方向に働きます。いつか来る闘病の時、美味しくない療養食でも、愛犬が食事を楽しく感じてくれるように、健康な時にこそ、食事を粗食にしておくことをオススメしたいです。

 

 ネット上にある食事関連の記事

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ネット上には「愛犬が食事を食べてくれない」という、食欲不振に関する相談や、それに対する、犬が喜ぶ食事(食品)に関する記事が沢山あります。

1食や2食、愛犬がご飯をたべないだけで、慌てて相談を投げかける飼い主さんと、それに真面目に応えている回答が多いことが気になります。
目の前で起きている事態(食べてくれない)が、問題とすべき食欲不振なのかそうでないのかの見極めが、質問側にも回答側にも欠けているものも見受けられます。

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もしも筆者が直接相談を受けていたとしたら、先輩飼い主として、「食べ物を工夫するのではなく、食べるように躾けた方が良いですよ」と答えるであろうケースも少なからずあります。

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ネット社会は、ちょっとした疑問や不安が、すぐに相談ができるメリットがありますが、あまりに無秩序にそれが増えると、ペットの食事に関する話題が、あらぬ方向にミスリードされそうな気がしてなりません。

 

 大きな誤解

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そもそも、食べ物の話で大きな誤解が生じているのは、食物を口から摂取することで、バイタルが上がる(脈拍あるいは心拍数・呼吸(数)・血圧・体温などが正常値で安定する)という事実が、独り歩きをしたのではないでしょうか?

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実際に我が家の愛犬ピーチーが、劇症肝炎でICU(集中治療室)に入り、瀕死の状態から復活していく過程では、主治医や看護師さんとの間で、良く食事のことが話題に上りました。
「少しでも口からものを食べてくれたら」
とか、
「点滴だけだとバイタルが上がってきませんからね」
という言葉がそれです。

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実際にピーチーが自分の意志でご飯を口にしたときの、医療スタッフの安堵の気持ちは飼い主側にも伝わって来て、その空気でピーチーの回復を実感したものでした。

しかしそれは、ピーチーのように重大な疾患からの回復期にある場合や、老犬(シニア犬)が、基礎的な体力を落としていたり、体調を崩す過程(バイタルが下がろうとしている)にある場合には当てはまりますが、それ以外の場合は、そこまでの重要性は無いように思えます。

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健康な状態の犬が、食事を食べたり食べなかったりすることで、いちいち喜んだり嘆いたりすべきものではないし、ましてや健康にまで言及すべきではないように思えるのです。

 

 犬の一生を俯瞰して見よう

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犬を飼うという行為は、約15年(平均寿命)続くものです。
長期的な視野に立って考えた方がいい事柄がたくさんあります。

①今の食べムラと食欲不振は、一生のなかでどんな位置付けか?
②今選んだフードは、将来どんな影響を及ぼすのか?
③いつか我慢のときがくる。それが今か、将来か?

③はとても単純なことですが、実は深刻なことです。
若い健康な頃に、食べ物を我慢させるのが良いか?
それとも、歳をとって闘病や介護になってから我慢させるのが良いか?

視点を変えれば、飼い主として、健康な時に食べ物で苦労するのが良いか、それとも病気になった時に苦労した方が良いかということでもあります。

おそらくそれは飼い主のポリシーによるもののような気がします。
皆さんはどう考えますか?
長期的な視野に立つと、少し考え方が違ってきませんか?

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――次回は――
さて、ようやく結論の一歩前まで来ました。
次は”食べないこと”の意味と意義について考えます。
恐らく、食べない事を積極的に考えた記事は、そんなにないと思います。

 

――今の”食”が将来の幸せをつくる(3/4)つづく――

(ライター)高栖匡躬

――次話――

――前話――

まとめよみ|犬と猫の食べ物を語ろう
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――本連載(4話)の1話目です――

――シリーズ記事全体(全8話)の1話目です――

 

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