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【免疫抑制剤】【ステロイド】一筋縄ではいかない薬の切替 ~自己免疫不全と免疫の抑制(2/3)~

f:id:masami_takasu:20180721184913j:plain撮影&文:高栖匡躬 

前回の記事では、1回目の血液検査で愛犬ピーチのシクロスポリン濃度が、100ng/mlの段階(基準値100~600に対して)だったところまでを書きました。

今回は、ステロイド剤から免疫抑制剤に切り替わる過程を、ピーチーを具体的な例としてご紹介したいと思います。

 

 ステロイド剤の減薬を前に、ひと波乱

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先に書いたように、血液検査でシクロスポリンの濃度、は許容範囲に入ってはいましたが、実を言うと、それからすぐに減薬を開始した訳ではありません。

いつから減薬を始めるか、医師と相談しようとした矢先に、ピーチーの体調が悪化したからです。前の日までしっかりと歩いていたのに、夜が明けると急に足元がおぼつかなくなり、僅か5cmほどの段差も上り下りが出来ないほどでした。

幸いにも血液検査では肝臓や膵臓には異常がなかったので、原因は内臓系によるものではなく、恐らくは多発性関節炎によるものと思われました。

このまま症状が進行し、もう一度劇症肝炎に発展するのか、それとも関節炎までで止まってくれるのか、筆者や家族はもちろん、主治医にも予想がつかない状態です。

こんな訳のわからない中でも、なにがしかの判断をしなければなりません。
我が家は主治医と相談の上、『アトピカ』の増量を行いました。
50mgから100mgへの倍増です。

そこで様子を持て、症状が改善すればその段階から減薬をスタート。悪化するようであれば、二次診療の専門医と相談しながら、別の方策を探ることになったのです。

別の方策と言っても、選択肢は多くはありません。
副作用を覚悟でステロイドを増量するか、或いは別の免疫抑制剤を試すかです。

そして薬を変えても効果が出ない場合は、残るは人間の臓器移植で使う、人間用の最も強力な免疫抑制剤しかないという状態。

祈るような気持ちでピーチーを見守り、そして数日たって、ピーチーの症状は治まってきました。

ここでようやくピーチーには、ステロイドを減薬が始められる条件が揃いました。

シクロスポリンの濃度が基準値の下限ぎりぎりで、しかも体調が悪化した直後に減薬を行う事に、躊躇がなかったわけではありません。
しかし、ピーチーの体には既にステロイドの副作用が強く出ており、危険な綱渡りをしてでも、一刻も早く減薬を進めるべきと、筆者と家族は考えました。
主治医もそれに同意をしてくれました。

 

 2度目の波乱は離脱症状

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ようやく始まったステロイドの減薬ですが、ここでもう一波乱ありました。
医師の指示通りに減薬を行ったのですが、ピーチーにはその減薬のペース(3日おきに2錠ずつ減らす)が早すぎたため、深刻な離脱症状がでてしまったのです。

それは1日12錠だった投与が、1日4錠を切ったあたりから兆候が出始め、1日2錠になったところで決定的になりました。
極度の食欲不振と歩行艱難がその症状でです。

1日1錠の段階で「これは危険」と判断し、医師と相談の上で、急教1日4錠まで戻しました。そこでなんとか、小康状態を得ます。

このあたりの経緯は過去の記事をご覧ください。

 

 2回目の血液検査――

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ステロイド剤を1日4錠に戻して小康状態を得たピーチーですが、その後も体調悪化と回復を繰り返しました。

ピーチーの体の中で何が起きているのは、外からは知る術がありません。
体調悪化がステロイドの離脱症状によるものなのか、それとも自己免疫不全によって引き起こされた内臓の病気なのか、医師にも区別がつかないのです。

体調が悪いながらも、ある程度の安定を得て、2度目の血液検査をしたのは、1度目の検査から1か月半過ぎてのことでした。

その間、ステロイド剤『プレドニゾロン』は1日4錠を維持しています。飼い主としては一刻も早く減らしたいのですが、前回の症状の悪化と、そのリカバーが容易でなかったことを考えると、そう簡単に4錠を切ることができません。

2度目の血液検査の結果次第で、減薬を続行するつもりでいました。
シクロスポリンの濃度は、主治医の動物病院では計ることができないので、専門のラボへの外注となります。つまり、結果が出るには時間が掛かるのです。

まずは主治医の分析器で解析可能な、肝臓の基礎的な値が報告されました。

幸い肝臓も膵臓も悪化してはいません。
ただ、TG(中性脂肪)の値が高くなっており、3年前に急性膵炎を発症したピ-チーには要注意です。

 

 シクロスポリン濃度の推移は?

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3日ほどしてシクロスポリンの濃度がとどきました。

シクロスポリン 102ng/ml
※基準値100~600

薬を倍増したにも関わらず、値は横ばいの基準値の下限一杯というところ。
これではとても減薬はできません。

主治医と相談の上、『アトピカ』を更に倍増し、100mgから200mg(正確には100mg×1日2回投与)に。

これで血中濃度が上がらなければと思うと、ぞっとしました。

先にも書きましたが、最後に行きつくのは、人間の臓器移植で使う強力な免疫抑制剤です。

想像するのは、無菌室での家族との面会シーン。
しかし動物用に、人間と同じような無菌室があるとはとても思えません。

「免疫を極端に落としても、きっと得るものは何もないだろう」
そう筆者は思っていました。なぜならば、そこまでいくと確実に何らかの感染症を引き起こすからです。

極論すれば、最後にカルテに書かれる死因が、自己免疫不全に由来する内臓系の疾患になるのか、それとも感染症の重篤化(例えば肺炎)なのかという違いに過ぎないわけです。

劇症肝炎の発症以降、ずっと先の見えない闘病生活が続きましたが、多分ここがまた山場になるだろうと思いました。
ここまで随分多くの危機を乗り越えてきましたが、また来たかという思いです。

増薬に効果がある事を祈りながら、結果を待つのみでした。

 

 

――自己免疫不全と免疫の抑制(2/3)・つづく――

文:高栖匡躬
 

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