うちの子がうちにくるまで|No.25、No.26 - 1
作者が初めての犬、『ちょび』を飼い始めて3カ月のことでした。
散歩から帰ったご主人が言いました。
「へその緒がついた子犬が捨てられていた」
驚く作者。思わず「なんで連れて帰って来んの!?」と訊き返しました。
草むらには本当に「生きたい、生きたい」と鳴く2匹の子犬がいたのでした。
生後間もない犬を拾った|多頭飼いはしたことがない|こんなとき、どうしたらいい?|経験者の体験談を聞きたい
暑い暑い8月の話
ペットショップで[ただであげます]と張り紙をされていた犬、『ちょび』を家族に迎えた私たちは、『ちょび』を飼うために家を買い、引っ越しをしました。
→『ちょび』の話はこちらに
それから3ヶ月も過ぎない、暑い暑い8月の話です。
大阪では有名な、PLの花火の日の翌日のことでした。
夕方、『ちょび』の散歩から帰ってきた夫の様子が、どこかおかしいのです。
私はその理由を問い詰めました。
すると夫は、「話すかどうか迷いながら帰ってきた」と言いました。
そして更に「話したらあんたは、ほったらかしにはできんやろう?」と――
●
聞けばなんと、「池の草むらに、へその緒がついた子犬が捨てられていた」と言うではありませんか。
「なんで連れて帰って来んの!?」
私はすぐに、台所の洗い桶をもって、『ちょび』を連れて家を飛び出しました。
草むらの中にいたのは
『ちょび』が案内してくれた暑い草むらの中をのぞくと、小さな小さな生き物が2匹いました。一匹は「生きたい、生きたい」とでも言うように、必死で鳴いていましたが、もう一匹はほとんど動きません。蠅がたかっていました。
日陰のない真夏の草むらに、いつからそこにいたのかわかりません。ポンと置かれたような状態で、周りには人も親犬もいません。
●
「可哀そうに」
私は思いました。と同時に「助からないかもしれない」とも思いました。
しかし、放っておくことはできません。こんなところにいては、誰にも看てもらうことなどできません。
私は持ってきた洗い桶にその2匹を入れて、家に帰りました。
実はうちには、『ごはん』と『おかず』の小さい頃の写真がないので、ここからはそっくりな画像を載せておきます。
牛乳をガーゼに浸して口元に持っていくと、元気なほうの子は吸いました。
弱っている子は、喉の奥に牛乳の滴を絞っていれました。
毛も生えそろっていない、淡いピンク色の地肌が見える子たちは、私の手の上に2匹が並んで乗りました。
「これって、犬の子よね?ネズミや豚の子ではないよね?」
私は思わず、夫に聞きました。それくらいちっちゃな子でした。
生きている
生まれたばかりの子犬は、大きい子は雄で、小さく弱っている子は雌でした。
ドキドキしながら朝を迎えましたが、2匹とも生きていました。
とりあえず、哺乳瓶を買ってきて、牛乳をのませました。
小さい女の仔も昨日より元気になって、体をくねらせ動けるようになっていました。
●
ところが夕方、女の子のへその緒と肛門にウジ虫が何十匹もついていました。
昨日の蠅が卵を産みつけていたのでした。生きたままウジ虫がついている生き物なんて見たことがない私はショックで、怒りに震えながらウジ虫を洗い落としました。
「もう、この子は生きられない」
そう思いました。
「苦しみながら弱っていくのは可哀そうだからこのまま楽にしてあげようか」
とも思いました。
でも、昨日は声も出ないくらいに弱っていた女の子は、「生きたい、生きたい」と鳴いていました。
私は迷い、迷い、この仔犬たちの世話をしていました。
――『ごはん』と『おかず』がうちにくるまで(1/2)・つづく――
●
●
――うちの子がうちにくるまで・次話です――
拾われた2匹の子犬は生きようと、哺乳瓶に必死で吸いつきます。
やがて、へその緒が落ちて、可愛い目が開いて、歯が生えて……
――もう安心。
そして、譲渡会に連れて行くその日のことでした。
――うちの子がうちにくるまで・前話です――
猫の多頭飼いしていた我が家。
そこにはじめて迎え入れた犬が、レイちゃんでした。
レイちゃんは素人繁殖で生まれた子。保健所に持ち込まれる寸前でのことでした。
●
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
●
――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
●
猫の おいで のお話です(同じ作者の執筆記事です)
毎日、仕事帰りに、ニャーニャー鳴きながらついて来た子猫。
ある雨の日、濡れたその子猫を拾い上げました。
『おいで』と名付けたその子は、賢くて、生きる事を楽しんでいるようでした。
しかし……
●
おすすめの、うちの子がうちにくるまで
犬を家に迎える理由は、星の数ほどあると言って良い。
しかし、この作者は異色。
飼いにくくて、飼うのに苦労をすることを理由に犬を選んだ。
それが今や犬の最高の理解者であり、最高の犬好きというのだから、世の中は不思議だ。
シングルマザーの私が犬を迎えたのは、息子に兄妹を持たせてあげたかったから。
悩みに悩んで迎えたのは、先代犬と同じシーズー。
さて、兄妹になれたかな?
●