うちの子がうちにくるまで|No.36 & 37 - 3
今回は、エリーとつきの親子のお話
エリーが産んだ子犬は5匹。
4匹はもらわれていき、毛の白い1匹がうちに残りました。
月夜にちなんで名前は ”つきの”。
超オーバーサイズのエリーの娘だけに、つきのもスクスクと育ちます。
親子でとても仲が良いのですが、犬にはそれぞれに個性があります。
さて、自由奔放なエリーとつきのは、我が家にどんな事件を巻き起こすのか――
ゴールデンレトリバーってどんな犬?|飼いやすい犬なの?|親子で飼うって、どんな風?|経験者の話が聞きたい
3話構成でお送りしたエリーとつきののエピソード。
最終話は、つきののお話です。
とは言うものの、つきののエピソードのほとんどはエリーとセットになっているので、相変わらずエリーは登場するのですが。
エリーから、5人兄妹で生まれてきた子犬の一匹がつきの。そのつきのは、エリーの母乳を飲んで、スクスクと成長していきました。実はこの”エリーの母乳”というところが大事です。エリーのお乳は、普通の母乳とは違っているのです。
実はエリーさん、仔犬の頃に良くコケていたので、獣医さんにお願いしてカルシウムの注射をしてもらっていました。回数は僅か2回なのですが、その効果がてきめんで、骨はしっかり太くなり、筋肉もガッシリで、まぁ成長するする!
ほぼ毎日もらっていたおやつのおかげで、脂肪も申し分なし。交配に預けた期間以外は、のびのび生活でストレスフリー。毛艶もよかったです。
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超オーバーサイズのエリーは、妊娠してた時は体重が50kgはありました。
ピンとこない方のために書き添えると、ゴールデンレトリバーのメスの体重は、25~32 kgほどです。50kgというと、小さめの個体の倍もの体重で、小さめのセントバーナードが大体それくらい。つまり体重から言うと大型犬ではなくて、超大型犬に入るわけです。
そんなエリーの母乳を飲んだつきのですから、大きくならない訳がありません。
カルシウム注射などなくても、スクスク育っていきました。
やがてつきのの体が出来て来て、力が強くなってくると、親子2頭を一緒にお散歩させることが、父以外では難しくなっていきました。
そんな中で、1つの事件というか、事故が起きてしまいます。
ある日父が、「エリー散歩行こか!」と言って、エリー1匹を連れて家を出ました。向かった先は、私が前に(前話で)、エリーのリード離してえらい事になった堤防です。
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実はエリーと父は相性の悪さピイチでして、悪く言えばエリーが父の事を舐めくさってることもあり、父が持つリードを力強く引っ張る癖があるのですが――
エリー「あ、わたしこっち行くわ。」
父 「痛い痛い!ゆっくり!エリー!こら!」
エリー「やっぱりまっすぐや!」
父 「もう!エリー!引っ張ったらあかん!」
とまあ、こんな感じなのです。
お散歩コースの堤防は、古い橋が取り壊されてガードレールが設置されてます。
ちょっとした坂道になっている所です。
父によると、エリーはガードレールの手前から急に走り出したそうです。
ずっしり、ガッシリのエリー。
片や細身のハゲおやじ(父です)。
父はそのとき、首がカックンカックンした!とのこと。
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エリーさんはガードレールの向こうへ下りたい。
おやじは力負けしてなすがまま。
ガードレールは目前。
エリーはガードレールくぐる。
おやじはガードレールまたぐ。
ハゲおやじは負けました。
リードがバイーン!!ってなって、おやじはガードレールで手を強打したのでした。
おやじは半泣きになりながら帰ってきて、先ほどの「もうちーたん(つきののあだ名)しか散歩行かへん💢💢」となりました。
後になって聞いたことですが、エリーとハゲおやじは毎日戦っていたようです。
今回はエリーの勝利。エリー最強伝説に花を添える形になってしまいました。
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しかし、エリーが乱暴者になるのは、相手が父のときだけのようです。
私や母とお散歩の時は、グイグイ引っ張る事はなく、優しく先導してくれてまいた。
エリー「大丈夫?ついてきよる?」
そんな顔で、エリーは時々後を確認しながら歩いていました。
こんな最強なおかんであるエリーに、私たちは、つきのの教育を任せっきりでした。
私も母も、家のルールはほとんど、つきのに教えた覚えがないんです。
すべてエリーが、つきのを教育してくれました。
つきのはおかん(エリー)にはいっさい逆らわず、上手いこと甘えてました。
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つきのは生まれてから、ずーっとエリーと一緒でした。
性格は、はっきり言って毛色と一緒で「真っ白」で。何色にでも染まります。
立ち位置は「お嬢様」といった感じでしょう。
私、母、父、エリーに周りを囲んでもらって、守られてる存在でした。
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例えば、誰かが家の前を歩いてると、どこのワンコさんも吠えますよね。
(もちろん外飼いのワンコさんとか、昼間は外に繋いでもらっているワンコさんに限った話ですが)
「おい! お前誰や! こっち来るんか?!」って感じで、警戒して吠えるわけです。
エリーとつきのもそうでした。
しかし、ここからがちょっと違います。
エリーはリードがめいっぱい伸びるくらいまで引っ張って、外に向かってワンワン吠えます。つきのも「私も!」って感じで、エリーの横まで行って「さぁ、鳴くぞ!」って体勢になるのですが、なぜだかそこでエリーに噛まれてしまうのです。
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エリー「来んな! 入っとけ! ガブっ!」
つきの「あわわ! ごめーん。おかぁちゃん」
エリーはつきのを、守っているつもりだったのだと思います。
それでつきのは、お家の中からちょこっと鳴くだけ。
つきのはエリーから、大体右の耳の下あたりを甘噛みされるので、そこがいつもカピカピでした。
エリーとつきのは親子なのですが、性格が違うところも結構ありました。
例えば、猫ちゃんに対する態度です。
エリーもつきのも猫ちゃんが好きなのですが、その”好き”の表現に違いがあったのです。
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お隣のお家にミーちゃんって猫さんがいました。
ミーちゃんはエリーより年上のお姉さんです。
エリーの場合。お散歩デビューしてから、ミーちゃんに出会うと伏せしてほふく前進で近付いていきます。
お鼻とお鼻ちょん!してから、ミーちゃんの爪が出てない猫パンチをもらいます。
猫パンチもらったらお散歩再開です。その他の猫見ても1回私の方見ます。
エリー「あの子(猫)とこ行ってもええ?」
私 「あかんで。あの猫ちゃん用事あるねんて。今度な。」
エリー「ん。ほな行こ」
こんな感じで、エリーは諦めが良いのです。
一方、つきのの場合――
お散歩中に、猫ちゃんを発見!
つきの「あ!猫ちゃん!」
――何の前触れもなく、突然の猛ダッシュ!
私は首がカックーン!!
私 「つ、つきちゃん! あかんて! 猫ちゃん行ったらあかん!」
つきの「あ! こっちにも猫ちゃん! あそぼー!!!」
――逆方向にリードがバイーン!
私の首も、またカックーン!!
私 「つきのー!!!💢💢💢💢やめんかい!!!」
つきの「え?え?何で怒るの?わからんけど、ごめん」
いつもこんな風でした。
今思えば、私が叫ぶ「つきのー!!」「つきちゃん!!」の声は、周囲に響き渡っていたのかもしれません。私は声デガイのでwww
これを隣のおっちゃんが聞いてたらしくて、面白いことが起きました。
つきのが成犬になってからのお話しです。
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おっちゃん「お前とこの犬、つきのやったなぁ」
私 「うん。そうやで。どないしたん?」
おっちゃん「お前が犬怒りよるのん聞いとったら、つきのって何か聞き覚えがあると思ったんや」
私 「へ?つきの?」
おっちゃん「そや。うちの孫の名前や。月姫ってかいて『つき』ゆーねん」
私 「なるほどな! うちで ”つきちゃん” って呼んでるから、聞き覚えあるように感じたんやろ」
おっちゃん「実は、わしも孫の事を ”つきちゃん” ゆーとる」
――ですって。
びっくりするでしょうね!
自分の家に孫が来てないのに、隣の家から大声で「つきのー!!!」やら「つきちゃん!何してんの!」とか聞こえてくるわけですから。
おっちゃんと2人で爆笑しました。
さて、こんな風に楽しいことばかりだったエリーとつきのですが、それも永遠ではありませんでした。
エリーは2006年の3月。10歳の誕生日の1日前にお空へ。
つきのは2年後の1月に、11歳と7カ月でエリーの元に旅立ちました。
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エリーもつきのも、自分の命と引き換えみたいにして、私に沢山のことを教えてくれて、一杯思い出を残してくれました。
2匹とのお別れは、私にとって楽しい日々と同じくらいに大切な思い出です。
それはまた、別の記事に書こうと思っています。
今回のお話は、楽しかったところまででおしまい。
またお会いしましょう。
――エリーとつきのがうちにくるまで(3/3)・エリー&つきの編――
こんな効果も:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
『ハナちゃんの動物病院』のハナちゃんのお話。
ハナちゃんママが獣医師を目指したのは何故?
獣医師が犬を飼うって、どういう気持ちなの?
ママの色々な思いを受けて、ハナちゃんは今も病院の看板犬を務めています。
――うちの子がうちにくるまで・前話――
超オーバーサイズに育ったエリー
「エリーの子供が見たいなぁ」
そう思った私と母は、ブリーダーさんに相談に行きました。
紆余曲折のドタバタの結果、エリーは母になります。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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エリーのその後のお話です
エリちゃん、ほんまありがとう
高校生の頃、家に帰ったら金色の綿毛のような子犬がいました。それがエリー。
やがて大きく成長したエリーは、子犬も産んで最強のオカンになりました。
いつも陽気で元気いっぱいだったエリー。
しかし8歳を過ぎて急に病気がちになりました。
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うちの子がうちに来るまで
うちの子がうちに来るまで
一見屈強で男の中の男と言うイメージの作者。
しかし作者は、先代犬のバーディーを亡くし、毎日泣いて暮らしていました。
そんな作者に、新しい出会いの時がやってきます。
さて、新しい子は、どのようにやってきたのでしょう?
片目を失った犬を、保険所から引き取ることにした夫婦。
犬との出会いはいろいろとあって、迎える時の葛藤も様々です。
犬にハンデがある場合は、特にその葛藤は大きいはず。普通ならば――
それをものともしない、優しい心を持った飼い主と犬とのお話です。