犬は賢くて慈悲深い生き物だと思う
犬を飼うことの奇跡と、老犬アルバム
WithdogもWithcatも、ペットの命に関わる記事が多いですよね。
可愛い子犬や子猫の画像とか、動物たちのおもしろ動画を集めた楽しいサイトとはちょっと趣が違い、闘病記とか、看取りやペットロスの手記とかが多いのです。私自身も愛犬の介護も看取りも経験しているので、そういう時に、誰かからのちょっとした励ましが嬉しいことはとても良く分かります。しかしながら、そんなささやかなことをやってくれるサイトなど無いことも知っています。
だから私たちがそれを出来たらいいなと思ってやっていて、その行動の一つが老犬アルバム、老猫アルバムということなのです。
老犬さんや老猫さんの命に寄り添うようなことをしようとしているから、もしかしたら自然に記念日の方が私たちに近づいて来てくれているのかもしれませんね。
そうだったら嬉しいな。なんて。
老犬(シニア犬)と暮らしている|老犬が可愛くて仕方がない|愛犬が闘病中、または介護中|愛犬が亡くなってしまった|他の飼い主さんが老犬にどう接していたか知りたい|皆さんの頑張りをみて、元気をもらいたい
No.82は、花さん 歳をとったらまた可愛い
老犬アルバムNo.82の花さんに、参加のお誘いをしたのは10月の初旬のことでした。しかし、いつもながら私の間の悪さのせいなのか、その日は花さんが麻酔をして検査をする前日。
それにもかかわらず、ママさんからは「ありがとうございます。明日花が麻酔をかけての検査で、なんだか心配で落ち着きません。でも元気に戻ってきたら、老犬アルバムのお仲間に入れてください。お声をかけてくださりありがとうございます」と恐縮してしまうお返事が届きました。
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そして、それから2週間後、カードに必要なものをあらためて送ってくださったのです。“花”という名前がしっくりとくる可憐な花さんの写真に入った言葉「笑った日も泣いた日もいつも一緒。これからもずっとね」花さんを迎えてから、どれほどママさんが、花さんを慈しみながら歩んできたのかがわかるメッセージでした。
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その年の夏、花ママさんがこんなツイートをしているのを見ました。久しぶりに届け物をしに来たママさんの従姉妹から「花ちゃん、なんでこんなに表情がなくなったの?なんか悲しくなってきちゃうよ」と言われて、やっぱりそうなんだと少し納得したと。
「でも花が喜んでいるか、悲しいか、それは飼い主の私がわかればそれでいい」
という言葉で締められていました。まさに、これが、何年もの間ひたすらに向き合って信頼関係を築いてきた飼い主と愛犬なんです。
歳を重ねて、動きが緩慢になって、表情が乏しくなっても、飼い主の愛情は変わることはありません。むしろ、老犬となった子がいとおしくてたまらないのです。
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そんな花さんは、今月15歳のお誕生日を迎えました。通院しながら、点滴や吐き止めの注射などをしている花さんですが、のんびりと花さんのペースで生活しています。“花”という名前のとおり可憐でキュートな姿を見るたび、幸せな老犬さんがここにもいるなぁと嬉しくなるのです。
No.83は、さくらさん リハビリを頑張るよ
No.83のさくらさんは、セラピードッグの仕事をしたことがある老犬さんです。さくらさんのママさんからいただいた老犬アルバムへの参加の連絡には、さくらさんはセラピードッグをする為にもらってきた子であると書かれていました。セラピードッグについては、記事にしてくださったので是非そちらをどうぞ。
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さくらさんはヘルニアを2度経験しています。1度目のヘルニアになった際、手術を勧められたそうですが年齢的なことを考慮し内科的治療で克服したこと。先生からは、介護が必要になったり、回復しても車椅子になるかもしれないと言われたそうですが、奇跡の復活をして驚かれたということでした。
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2回目のヘルニアの時は、同じ治療をしても残念ながら反応が鈍かったそうです。そのためリハビリのある病院を探し、やっとのことでたどり着くことが出来たとのこと。
その時、排泄は全く出来ない状態で、オムツをしていたそうですが、リビングにお布団を敷いて、2時間おきにトイレに誘導し、出来たらオヤツをあげるということを繰り返した結果、2週間で自力排泄が出来るようになったと。
「車椅子を嫌がる飼い主さんもいるそうだけれど、私はそんなことは気にしません。残されている身体能力を生かせる事の方が重要だと先生に伝えて、リハビリに挑戦することになりました」
というのが、さくらママさんの言葉。
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病院では、さくらさんと一緒にリハビリをしたいと言ってくれる、仲間のワンちゃんもいるそうです。リハビリの様子のツイートも見かけることがあります。ヘルニアになったことを決してネガティブには受け止めず、今さくらさんにとって何が最善なのかを考えて、努力を惜しまないさくらママさんの姿勢には、学ぶことがとても多いですね。
犬とは、今を全力で生きる動物です。飼い主である私たちも、目の前の問題に臆することなく進んでいきたいものです。
No.84は、りくさん 味わい深い穏やかなお顔
『老犬アルバムに参加させてください』こんな連絡を下さったのは、No.84のりくさんの飼い主であるリクたんママさんです。
私がツイッターを始めてから出会った最初の闘病する老犬さんは、おそらくリクさんとNo.23のナルトさんだったような気がします。
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ビーグルのリクさんは、13歳の時に脂肪腫のため右前脚を断脚。その後クッシング症候群、そして甲状腺腫瘍と闘っていました。私がツイッターで見かけるようになったのは、甲状腺腫瘍で余命を宣告された頃。大好きなパパに抱かれて歩いている様子や、歩行ハーネスをつけて歩いているもの、夕方カートに乗ってお散歩しているものなどでした。
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どれも、介護をされているママさんがどんなにリクさんを愛しく想い、一緒の時間を大切にしているかが伝わってくるツイートでした。そんなリクさんをいつも祈るような気持ちで応援していましたが、昨年5月、病気と闘い抜いて天国へと旅立ったのです。
その訃報を知った時、まだ老犬アルバムをスタートしていない頃でしたが、大好きな老犬さんとのお別れに呆然としたことを憶えています。しかし、壮絶な痛みから解放されて、りくさんが自由に走り回っているだろうと思えることだけが救いでした。
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飼い主のリクたんママさんは、リクさんが旅立った後も、生前のリクさんの写真をツイートされていました。老犬アルバムがスタートして数ヶ月後、ママさんに老犬アルバムにご参加いただけないかと、お誘いしました。
お空組さんも参加出来ることをご存知なかったようで、驚かれていましたが、快く受け入れてくださり、ご連絡を下さったのでした。
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リクさんのカードの写真は、ちょっと眠そうな目をしたなんとも味わい深い穏やかなお顔のものです。トライカラーのビークルであるリクさんが、歳を重ねて白くなったことで、柔らかさが加わり、老犬さんならではの魅力が溢れています。
リクさんが旅立ってから半年ほどして、老犬アルバムにご参加いただけたことは、とても感慨深く、ママさんがとても喜んでくださったことも担当するものとして、これ以上嬉しいことはないなぁとしみじみ感じることが出来ました。
No.85は、マロンさん いつも優しいマロ爺
No.85のマロンさんの飼い主、マロンのかあちゃんさんからご参加の連絡が届いたのは10月の終わり頃でした。
「小さな子にいつも優しくしてくれるマロ爺、いつもありがとう。元気に長生きしようね」そんなメッセージと共にいただいたマロンさんは、とても若々しいお顔のミニチュアダックスフント。
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マロンのかあちゃんさんの娘さんはまだ幼いのですが、そのお嬢さんがマロンさんのご飯に手を出してもマロンさんは怒ったりしないとても優しい老犬さんです。大概、自分のご飯に手を出されたら怒るワンコが多いはずです。
おそらく、マロンさんは、かあちゃんのお腹に赤ちゃんが宿って、お腹が大きくなり、産まれてきたこと全てを一緒に過ごしてきた中で、小さなお嬢さんのことは守らなくてはならないと本能で理解してきたのでしょう。犬とはとても賢く慈悲深い生き物ですから。
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そんなマロンさん、老犬アルバムに参加してくれた数ヶ月後に15歳になりました。少し遅れてしまいましたが、今年5月には1つ歳を重ねてカードを更新。あと3カ月ほどで16歳になります。そんなマロンさんは、年齢を聞かれて「15歳」と答えるととても驚かれるそうです。マロンのかあちゃんが6,7年前の写真と比べてみると
ほとんど顔が変わってなかった、とツイートしていました。若々しいままのマロンさん、お嬢さんの成長を見守りながら、16歳を迎えて欲しいと願わずにはいられません。
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――以下は更新したカード。その後もう一度更新させていただきました――
次は、老犬アルバムを始めるきっかけになったワンコ
次の老犬さんは、私が担当するこの老犬アルバムの大きなモトになった老犬さんです。「大きくて優しい子」この言葉は、私の心を揺さぶり、ずっと頭から離れることはありませんでした。その老犬さんについては、また今度ーー
――つづく――
文:樫村 慧
▶ 作者の一言
▶ 樫村 慧:犬の記事 ご紹介
▶ 樫村 慧:猫の記事 ご紹介
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――次話――
次話は、No.86の、タフィさんの思い出から始まる4ワンです。
――前話――
前話は、No.77のまあささんの思い出から始まる5ワンです。
カードの配信日が、老犬さんの記念日と重なる偶然――
実は配信直後に、老犬さんが亡くなることもありました。
『縁起でもない』と思わないで下さい。
お別れ前の思い出になったと、お言葉をいただくんです。
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――この連載の1話目です――
第1話は老犬アルバムがスタートした経緯をお知らせします。
老犬アルバムのスタートは、一匹の大型犬、タフィさんが旅立った時の飼い主さんの言葉がきっかけです。「大きくて優しい子、ありがとう、大好き」その一言が忘れられませんでした。どうしてもそれを、何かの形に残そうとカードを作りました。
大きくて優しい子が、老犬アルバムを作ったんです。
老犬アルバムのご応募方法はこちらです
老犬アルバムに必要なのは、下記の6つの情報だけです。
①愛犬の名前
②愛犬の年齢(~カ月まで分かると尚良し)
③飼い主の名前(~ママとか、ハンドルネーム)
④小型犬、中型犬、大型犬の区別
※人間年齢を換算するために必要です。
※超大型犬は大型犬、超小型犬は小型犬で換算します。
⑤愛犬への一言、または、愛犬からの一言
⑥お気に入りの写真1枚
下記(担当:樫村慧)にDMをお送りください。
Follow @kei_kashimura
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老犬アルバムのご応募方法はこちらです
老犬アルバムに必要なのは、下記の6つの情報だけです。
①愛犬の名前
②愛犬の年齢(~カ月まで分かると尚良し)
③飼い主の名前(~ママとか、ハンドルネーム)
④小型犬、中型犬、大型犬の区別
※人間年齢を換算するために必要です。
※超大型犬は大型犬、超小型犬は小型犬で換算します。
⑤愛犬への一言、または、愛犬からの一言
⑥お気に入りの写真1枚
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老犬アルバムと老猫アルバム
老犬アルバムVol.1
老犬アルバムはここからスタートしました。
長老のハリー君は2019年6月20日に17歳の誕生日を迎えて、人間年齢124歳です。
でも、犬は何歳になっても子犬のようです。
老犬アルバムVol.2
老犬アルバムは51匹目からVol.2に突入しました。
開始当初は51匹は遠い未来でしたが、沢山のご応募のお陰です。
犬は子犬や、成犬の頃には見せなかった姿を、老犬になってみせたりしますね。
毎日が新しい発見です。
老犬アルバムVol.3
老犬アルバムは101匹目からVol.3です。
飼い主が家に帰っても、ずっと寝たまま。若い頃はお迎えにきたのにね。
しかし、その寝姿がまた愛おしく感じます。
時々頑固者になるのは、人間と同じですね。
老犬アルバムVol.4
老犬アルバムは151匹目からVol.4です。
人間と犬。言葉は交わせないのに、なんとなく心が通いますね。
こうして欲しいと、飼い主が思ったことをしてくれることが時々あって、不思議だなあと感じるようになる。
飼い主も、愛犬が何を言いたいのか心で感じ取れるようになる。
老猫アルバムVol.1
老犬アルバムの猫版。老猫アルバムです。
犬と猫の違い-――、猫歳をとっても見た目が変わらないので、絵にかいたような老猫というのがいないんですね。飼い主さんの心の中で、この子も歳をとったなあと思ったときが老猫。老犬よりもカードの数は少ないのですが、どの子も飼い主さんの愛情いっぱいです。
樫村慧|他の作品
近しい方のペットが病気になったとき、一声かけてあげたくなりますね。
励ましてあげたいんです。でも、どんな言葉を掛ければいいのか?
経験した人なら分かりますね。悪気なく、心からの思いで掛けた言葉が、時に相手を傷つけてしますのです。
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