ピーチーの闘病記:癲癇(てんかん)編
この闘病記は2015年6月21日に書き始めました。
それはピーチーに4回目の発作が来た翌日のことです。
闘病の記録を付けていくうえで、前の3回の発作についても備忘録として残す必要があると考えました。そこで時系列を遡って書いたのが、本記事以降の7話(3/27~9/27)です。この中には、発作の状況を記録するだけでなく、発作後の対処法などについてもまとめた回があります。
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本話では、初めての発作についてまとめています。
特に、それに直面した飼い主の心境について――
癲癇という病気は、症状があまりにも劇的なために、飼い主の心を激しく動揺させるのものです。筆者の体験が、これから同じ経験なさる飼い主さんの参考や、気持ちの支えになると嬉しく思います。
当時のブログより
※文体は執筆当時のままです。
ここから少し、これまでの経過を書いていこうと思う。
――具体的には、4回の発作を順番に。
1度目の発作(はじめての発作)は、4月9日の朝6時前のことだった。
ドタン、ドタンと大きな音がして目が覚めた。
布団の傍らでピーチーが暴れている。
まずはピーチーのいつもの寝姿のご紹介。
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いつもピーチーはよくこんな恰好で寝ている
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あるいはこんな恰好
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こんなのも
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無防備この上ない恰好。もしもここがアフリカならば、ライオンが『ラッキー、ごちそうさま』と言うだろう。
こんな恰好だから、寝ぼけていると、自分が仰向けに寝ていてる事を忘れて、立てなくなっていることに気付いて、暴れることがよくある。
この日もきっとそれだと思った。
「馬鹿だなー、ピーチー」
そう思いいながらそのまま放置していたのだが、いつまでたってもドタン、ドタンの音が鳴りやまない。
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「うるさいなー」
目をこすりながら起きてみたら、ビックリだ!
ピーチーが上向きで宙を掻きながら暴れている。目はうつろで、口から泡を吹いた状態。しかも失禁までしている。
「どうしたー!、ピーチー!」
声をかけるが、目はうつろなままで意識が無い模様。
『ピーチーが、死んじゃう!』
何をするべきなのか、頭がフル回転するのだけれど、フルに空回りするだけで何も思いつかない。とにかく夜間診療の救急病院に電話――。かかりつけの主治医から、連絡先のカードをもらっていた。
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我が家のあたりには、DVMs動物医療センター横浜という、救急と二次診療専門の病院がある。電話の先で当直の獣医さんが、「おそらく癲癇(てんかん)の発作ですね。今はどうですか?」という。
気が付くとピーチーは、意識を取り戻して起き上がっている。自分でも何が起きたのかもわからないのだろう。家の中をくまなくパトロールを始める。
きっと、訳のわからない怖いものが来たと思っているのに違いない。可愛そうに。
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獣医さんは、「癲癇は症状が治まってしまったら、医者は何もすることがありません。もしも心配なら来ていただければ診察はしますが……」との事。
あまりにも症状が劇的だったので、心配で仕方がなく、「今すぐ行きます」と言って電話を切る。
そしてすぐにタクシーを呼ぶ。
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DVMsでは一応の血液検査はするが、それ以外では、先ほど電話で聞いていたとおりに、何もする手だてがないようだ。
その日に言われたことは、「今度発作が起きたら、携帯で動画を撮ってください」との事だった。口頭でいくら言われても、獣医には発作の状況が分からないし、発作の時間だって飼い主には長く感じられる。客観的な判断を下すには、動画を見るのが一番ということだそうだ。
「動画なんて撮っていて大丈夫なのですか?」
と訊くと、「発作で死ぬことはないので、まずは客観的な情報を集めるのが先決」との事で、「動画を撮ることで、飼い主さんも落ち着くんですよ」とも言われた。
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9時には主治医の『大倉山動物病院』が開くので、DVMsで8時30分まで経過を観察してもらい、再びタクシーを呼んで、主治医のもとへ。
主治医から言われたのも、DVMsと同じようなこと。
「癲癇は原因が分からないことが多いんですよ。問題は発作の頻度。何年かに1回しかこないならば、様子をみるだけで構わないでしょう。でも、1週間に1回発作があるならば、薬の処方が必要になります。この子は初めての発作なので、頻度が分からないし、いますぐ薬を出すのも早計でしょう。しばらく様子を見ましょう」
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僕は主治医の言葉に従って、そのまま家に帰った。家に帰ると、ピーチーはケロッとしていた。
一応、、朝みたいに家の中をパトロールしたものの、初めてのことに自分でも疲れたのだろう。すぐにぐっすりと寝込んでしまった。
その後は、いつものピーチーにもどった。ほっとした。
翌日からは、元気に散歩にもいった。
元のピーチーだった。
良かったな、ピーチー。慌てたぞ。
そして、そのドタバタも忘れかけていた頃だった。
2回目の発作が来たのは……
――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(3/31)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
発作は嫌いよ|4/31
2度目の発作は5月――、それは酷いものでした。
午後に1回目が起きて、その日は合計3回。
日付が変わって朝までに4回。
――そしてなんと、動物病院で鎮静剤の点滴中に更に1回。
重積発作は命に関わると言います。
深刻な状態の中にいるのだと悟りました。
――前話――
発作は嫌いよ|2/31
早朝の発作は、前夜に続く2度目で重積発作。
しかも過去見たことが無い、極度の興奮状態。
――確実に悪化している。
救急病院で処置後に主治医へ移動。
MRI検査を予約しました。
それは治療のためではなく、余命を知るため。
残りの犬生を豊かにするため。
――この連載記事の初回です――
発作は嫌いよ|1/31
我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。
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