ピーチーの闘病記:癲癇(てんかん)編
癲癇(てんかん)の大発作は、おさまればケロッとしていることが多いのですが、後遺症を伴う場合があります。
ピーチーの場合は発作直後、全速力で走り回る、不安そうに壁を向いている、部屋中をパトロールするなどの行動の異常が見られましたが、それらは1時間ほどで解消しました。もっと長く続く異常としては、視界の下半分が欠けてしまう現象も起きましたが、こちらは2週間ほどかけて、回復していきました。
しかし、困った後遺症がありました。
しつけが取れてしまったのです。これは2回目の発作以降、毎回そうでした。
お座りやお手が出来なくなるくらいならばそれほど困らないのですが、トイレを忘れてしまうと、人間と一緒に生活する上で大きな支障となります。
このような事例は、ネット上の癲癇の記事には、詳しくは書かれていません。
さて、ピーチーはどうしたのか?
当時のブログより 発作後にしつけが取れる
※文体は執筆当時のままです。
ピーチーの癲癇(てんかん)の経過を書く合間だけど、思いついたことがあるので、それを先に書いておこう。
てんかんの発作の後で、困ったことがある
それは、しつけが取れてしまったことだ。
お座りや、伏せはもちろんだけれど、一番困ったのがトイレのしつけがとれたこと。
1回目の発作の時は大丈夫だったが、2回目の発作で病院から帰ってきたとき、いきなりリビングでオシッコをしてしまった。そしてそれを皮切りに、それからというもの、家の中のあらゆるところがトイレと化した。
床にオシッコを発見すると、急いで片づけるためにトイレシートをその上にかぶせる。毎回シートを消費するので、1袋があっという間になくなるし、ごみ箱もすぐに一杯になってしまう。
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ピーチーも可愛そうだ。
いつも寝ている家族の布団には、失敗されると困る。だから寝室には入れてあげられないのだ。夜はお風呂の脱衣所で寝てもらうしかない。
これって記憶のリセット?
少し話がそれるのだけれど、発作の後で不思議なことが起きた。
ピーチーはまるで仔犬の頃のように、目にするあらゆるものを、まるで初めて見たかのように興味を持って目を輝かせるのだ。
それと、大嫌いだったお風呂が、それほどでもなくなった。
嫌がってなかなかさせてくれなかった耳のクリーニングも、今は気持ちよさそうにしている。
なんだか、記憶にリセットがかかったみたいだ。
でも、飼い主の事だけは忘れていないみたいだ。
で、トイレの話
トイレの話に戻ろう。
忘れてしまったトイレをどうするか?
我が家ではピーチーが仔犬に戻ったのだと思って、もう一度根気強くしつけをしなおした。仔犬の頃、どうやって教えたかなと思いだしながら。
ピーチーはオシッコもウンチも、したくなる時が大体決まっている。
目が覚めた直後とごはんの後が、ピーチーのトイレタイムなのだ。
そろそろだと当たりをつけて、トイレのあるお風呂の脱衣所の引き戸を閉めて、中に一緒にこもる。ピーチーは頑固者なので、こっちがトイレを待っているなと思うと、意地になって用を足さなくなる。
だから我慢比べだ。
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したくないのかなと思って、脱衣所の引き戸を開けると、すぐに飛び出して行って廊下でジョジョジョーって感じでやってくれる。
ピーチーは高齢なので、もう耳が聞こえていない。だからこちらは出せる指示は、表情とジェスチャーだけだ。
たまにトイレが上手くいって、ほめてやると嬉しそうにしている。
そんなときには、ご褒美ですぐに大好きなおやつだ。
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最初ピーチーは、脱衣所に行くとおやつがもらえると勘違いしていた。
脱衣所に行ったのに、なぜおやつをくれないのと訴える時の顔がかわいい。
そして、我慢の甲斐あって、まずはオシッコのしつけが元に戻った。
3週間目で、ウンチも覚えてくれた。
あー、良かった。これでまた一緒に寝られるし、お留守番のときも大好きな布団で寝させてやれるよ。
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そう思っていた時でした――、3回目の発作は――。
で……、またしつけがとれちゃった。
あーあ、元の木阿弥と、一瞬の虚無感。
でもなー、ピーチーが悪いわけじゃないよなー。と思い直す。
こっちがあきらめずに、何度でも頑張って、可愛い子にもどしてやるしかない。
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でも、今度は気が楽だった。前回の経験で、ピーチーは教えたらまた覚えるという事が分かったから。
失敗と成功を繰り返しながら、またトイレを覚えるピーチー。
前よりも覚えは早かった。
さあ、一緒に寝ようなピーチー。
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でも、それも長くは続かなかった。4回目の発作がきちゃったんだよね。
病院から戻ってきたピーチーに、3度目のトイレトレーニング。
こっちも3度目となると、慣れたものだ。
オシッコもウンチも、しそうな仕草、タイミングはすべてお見通しだぞ、ピーチー。
で、今度は一度も失敗させずに、最短の2日でトイレをマスター。
したくなると、トイレに走って行って、トーレシートのど真ん中でジョジョジョー
ウンチをすると、見てくれと言って呼びに来る。
すごいぞピーチー。ご褒美のおやつだ。
(実は今日、一回失敗したけど、それはご愛嬌だ)
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おまけ 1
若いころのピーチーはフリスビーが大好き。
この写真を撮った日には、遊びすぎて骨折しちゃった
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おまけ 2
これは骨折してギブス姿
左前足は骨折。右前足は肉球を怪我した状態
どんだけ夢中で遊ぶんだ?
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おまけ 3
1年前は元気一杯で
自転車を引っ張ってくれたんだよね
――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(5/31)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
発作は嫌いよ|6/31
大発作の後で困ったことがもう一つ。
食いしん坊だったピーチーが、フードを食べなくなったこと。食欲はあるのに――
食事はバイタルに直結するので大問題。
しかし、何故それが起きたのか?
それは癲癇以外の病気でも容易に起きうる、負のスパイラルです。
――前話――
発作は嫌いよ|4/31
2度目の発作は5月――、それは酷いものでした。
午後に1回目が起きて、その日は合計3回。
日付が変わって朝までに4回。
――そしてなんと、動物病院で鎮静剤の点滴中に更に1回。
重積発作は命に関わると言います。
深刻な状態の中にいるのだと悟りました。
――この記事の初回です――
発作は嫌いよ|1/31
我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。
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結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。
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