ろくすけの闘病記:
癲癇(てんかん)+腎不全|27話~38話
カテゴリー:闘病記
作者:きづあすか
本話『ろくすけの闘病記』は、突如『癲癇(てんかん)』を発症した、老犬ろくすけと飼い主である母ちゃんの闘病をエッセイとして綴ったものです。
第4章は、かあちゃんとろくすけとの別れまでを描きます。
癲癇に加えて腎不全も見つかっていたろくすけ。かあちゃんは何度もくじけそうになりながらも、しっかりと気持ちを立て直してろくすけに接します。しかしかあちゃんの願いに反して、癲癇の発作は段々と間隔が短くなり、腎不全も悪化していきます。
全話を通じて言えるのは、本作は内容が深刻であるにもかかわらず、悲壮感がないということでしょう。どんなときでも前向きに立ち向かう大切さを教えてくれる作品。特にこの最終章にはそれを感じさせられます。――概要――
犬の癲癇(てんかん)は、およそ100匹に1匹が発症するようです。1%を多いと見るか少ないと見るかは、考え方次第でしょう。
この病気は一度発症すると、多くの場合その発作を繰り返すようになります。
一説では、癲癇の発作は時間的なサイクルがあり、10年以上のサイクルを持つ個体ならば、一生に一度も発症しなかったり、一生に一度だけということもあるのだとか。
わが愛犬のピーチーも癲癇を発症した一人(一匹)なのですが、この病気の特徴は、その発作の激しさにあると言ってよいでしょう。作者の、きづあすかさんも作中でこう語っています。
『あの病態は、飼い主の心を乱します』
そう、癲癇の発作(大発作)は見ているだけつらいのです。
本闘病記は、その癲癇との闘い(もしかしたら、つき合い)を、独自の視点で、ときに可笑しくひょうひょうと書かれていることが最大の美点です。恐らく、同じ病気と対峙する飼い主さんたちに、希望をあたえるように綴られています。
愛犬でこの病気を体験した身で言うならば、「ありがとう」と感謝したくなるような闘病記です。もしかするとエッセイと言った方が相応しいかもすれません。
できれば、うちの子の闘病のときに読みたかった……【目次】
- ろくすけの闘病記:癲癇(てんかん)+腎不全|27話~38話
- 5月9日 ~ 10月31日
- 27話・最終章(1/10)|5月9日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 28話・最終章(2/10)|6月28日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 29話・最終章(3/10)|7月5日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 30話・最終章(4/10)|8月24日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 31話・最終章(5/10)|9月5日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 32話・最終章(6/10)|9月18日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 33話・最終章(7/10)|9月25日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 34話・最終章(8/10)|10月28日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 35話・最終章(9/10)|10月30日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 36話・最終章(10/10)|10月31日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
- 37話・あとがきにかえて|この闘病記を読んで下さった全ての皆様へ
- 38話・一周忌|お空のくらしには慣れたかい?
- ろくすけの闘病記に寄せて|1/2
- ろくすけの闘病記に寄せて|2/2
- ペットの闘病についてのヒント
5月9日 ~ 10月31日
27話・最終章(1/10)|5月9日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
今日から最終章です。
ろくすけの癲癇発作が再発。間隔がだんだん短くなってきた。
予想していたこととはいえ、悲しい……
ろくすけの体の中で、何か変化があるのだろうか?
ご飯に忍ばせて、薬を与える。
あぁ、ろくすけの食い意地に感謝。
●
28話・最終章(2/10)|6月28日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
ふと触れたろくすけのお腹に、丸い膨らみ。
意外に大きい。
明らかに腫瘍。そして嫌な予感――
そう、ろくすけはもう高齢。
何が起きてもおかしくないのだ。
悪性だったら、積極的な治療はしないつもりだけれど――
病院へ走るかあちゃんでした。
●
29話・最終章(3/10)|7月5日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
朝の介護は慌ただしい。
5時にオムツ交換で、6時過ぎには朝ごはん、
体を起こしてやって、歩かせて、満足した頃にまた眠かしつける。
いつも通りのルーティン。
――のはずだった。
うとうとしていてた昼のこと、
母が叫ぶ声に目を覚ました。
●
30話・最終章(4/10)|8月24日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
突然の癲癇発作は、前回からもうすぐ2ヵ月というところ。
慣れてはきたものの、振出しに戻るような虚しい感覚は拭えない。
でも、それが癲癇という病気。
ろくすけに落胆を気付かれないように気を取り直す。
――しんどいね、ろくすけ。
●
31話・最終章(5/10)|9月5日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
食欲を失くしたろくすけ。
急に嗜好が変わったかのように、大好物のヨーグルト寒天も、サツマイモおやつ受け付けない。
飼い主にとって、とてもショックなことだ。
そしてまた痙攣が起きた。
確実に発作の頻度は上がっている。
何が起きてる?
●
32話・最終章(6/10)|9月18日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
病院嫌いのろくすけ。
3カ月弱ぶりに定期健診に行ってみたのですが、とうとう恐れていたことが――
腎不全が予想以上に悪化していました。
こんなに突然に、スピード上げて階段を下りるなんて――
なんで? なんで?
混乱するかあちゃんでした。
●
33話・最終章(7/10)|9月25日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
深夜になると吠える、ろくすけ。
食べていないのに、どこにそんな体力があるんだ?
そして心配なのが、ろくすけの食欲のムラ。
一体君は、なにが食べたいんだ?
いよいよアレを登場させる時か?
#秘密結社老犬倶楽部 で教えてもらったアレ――
●
34話・最終章(8/10)|10月28日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
ろくすけのゴハン拒否が、とうとう頑なに――
こんなときの選択肢は、点滴しかないだろう。
――ということで、
いつものように、ろくすけを車に乗せて病院へ。
点滴後のろくすけは、閉じていた眼も開いて、少し元気を取り戻したように見えた。
●
35話・最終章(9/10)|10月30日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
点滴で元気を取り戻した、ろくすけ。
しかしその元気は、思わぬ方向に発揮されてしまった。
吠える、吠える!
点滴後から丸2日、24時間凄い形相で吠え続けるろくすけ。
「ろくすけが死んじゃう!」
どうしよう――
どうしよう――
●
36話・最終章(10/10)|10月31日|発作ふたたび、2ヵ月ぶり
愛おしいろくすけが、お空へ飛び立ちました。
そして気持ちの良い秋晴れの中、火葬場で小さくなったろくすけが戻って来ました。
ろくすけ――
君は私たちの、最高の息子だったけど、
君にとって私たちは、良い親だったかな?
ねえ、ろくすけ――
●
37話・あとがきにかえて|この闘病記を読んで下さった全ての皆様へ
保護犬だったろくすけ。
やってきた当初は、母ちゃんをなぎ倒してゴハンに突進するパワー全開の子でした。
しかしそのろくすけにも、老犬の時がやってきました。
暗中模索の中で勇気づけられたのが、ブログやSNS。
それは、心強いお守りでした。
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38話・一周忌|お空のくらしには慣れたかい?
今日は一周忌
ろくすけが、お空暮らしになって1年
ろくすけの、いない暮らしになって1年
私たちはちゃんとやっているよ!
お前はどうだい?
『かあちゃん、お空はたのしいよ。みんなにそうつたえてください!』
ろくすけ、そんな声が聞こえてきそうだよ。
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ろくすけの闘病記に寄せて|1/2
その闘病記をネット見たのは2年前。
ピーチーと同じ時期、同じ病気と闘った記録でした。
既にろくすけ君もピーチーも、お空組でした。
それでも作者のあすかさんに、声を掛けずにいられませんでした。
「お空の暮らしには慣れたかい?」
優しい言葉が、心に染みました。
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ろくすけの闘病記に寄せて|2/2
愛犬を失って1年が過ぎ、飼い主は何を思うのか?
過ぎた日の楽しい思い出、闘病時の苦労、介護でやり残した何かへの後悔。
そんな全てのことが、
「お空の暮らしには慣れたかい?」
の一言に集約されていました。
この言葉を、ぜひ皆さんに知って欲しいなと思いました。
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――ろくすけの闘病記・まとめ|おしまい――
作:きづあすか
コメント:高栖匡躬
▶きづあすか:作品一覧
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――前回のまとめよみ――
癲癇は小康状態を得たと思えばまた再発。
間隔は開いたり縮まったりで、そのつど飼い主の心を惑わせます。
そして、新たに発症してしまった腎不全も心配――
落胆を胸に収め、明るく闘病に寄り添うかあちゃんでした。
――最初のまとめよみ――
犬の癲癇(てんかん)は、100匹に1匹が発症するのだとか。
発作が激しいので、初めてそれをみた飼い主は例外なく慌てます。
この闘病記は、病気になったろくすけと、どんと来いとふんばるかあちゃんのお話です。
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ペットの闘病についてのヒント
闘病の奇跡は呼び込むもの
闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。
医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。
セカンドオピニオンと二次診療
街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。
セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。
高度医療という選択肢
動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。
医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。