うちの子がうちにくるまで|No.29
フレブルの思い出――
今から20年も前のこと。出張先の大阪で、目の前を横切った自転車のカゴの中に、見慣れぬ生き物が乗っていた。その風貌は強烈で、一瞬で脳裏に焼き付いた。
吸い寄せられるようにその行方を追うと、僅か50mほど先のコンビニに自転車は止まった。
反射的に筆者は走り出していた。
その生き物は店の外にリードでつながれていた。しゃがみこんで観察すると、それは犬だった。ブルドッグのようだがそうではない。見たことのない犬種だった。ボディーは白い毛で、ブチの有り無しはもう覚えていないが。尻尾の付け根部分だけ、黒いリングのようになっていたことだけは、鮮明に覚えている。
しばらくすると、飼い主さんが店から出てきたので、思い切って声をかけた。
「なんという犬種ですか?」
「フレンチ・ブルドッグと言います」
それが、生まれて初めてのフレブルとの出会いだった。
今日はそんなフレブルの、うちにくるまでです。
フレンチブルドッグってどんな犬?|フレンチブルドッグとブルテリアの多頭飼いは可能か?|経験者の体験談を聞きたい
我が家の太郎は、動物園生まれ
今回は我が家の愛犬、太郎のことを書きましょう。
太郎は私が迎えた6番目の子です。
最初の子、”おいで”は猫でしたが、それからはずっと犬でした。ちょび、ごはん&おかずの兄弟犬、花ちゃんと続いてからの太郎です。
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太郎は、香川県のしろとり動物園で生まれました。
しろとり動物園は、虎の赤ちゃんを育てたフレンチブルドッグ『ナナちゃん』が某テレビ番組で紹介され、有名になったところです。
これは2011年4月26日に
テレビで紹介されたときのナナちゃんです
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太郎は2006年7月4日生まれです。
2歳のナナちゃんが虎の赤ちゃんの育児を始めたのが2007年4月26日。
太郎はナナちゃんと親戚かもしれません。
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これが太郎
似ていませんか?
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太郎は若いときから大きな犬の前でも悠然としていました。
それに歳を重ねて泰然自若の雰囲気もあります。
虎の子を育てたフレンチブルドッグの血筋かな…なんて親バカに考えています。
太郎がうちに子のなった理由
さて、それではどうして太郎がうちの子になったのでしょう。
話は12年前に遡ります。
花ちゃんがトイレの場所をなかなか覚えられず、私が毎日毎日、花ちゃんの躾に格闘している頃のこと。
花ちゃんパパは突然に「インターネットでみつけた、しらとり動物園のフレンチブルドックの子犬が欲しい」と言い出しました。
「嘘でしょう?」
と私。私は花ちゃんパパの冗談だと思い、端から話を聞いていませんでした。
でも、花ちゃんパパは私のことは無視して動きはじめます。しろとり動物園に連絡を取り、仔犬を迎える準備を始めたのです。
それでも私は、どうせ諦めるだろうと思って無視です。
そんな中で、ちょっとした事件が起きました。
花ちゃんパパ欲しいと言っていた仔犬が、水頭症になってしまって、飼うことができなくなったのです。これで諦めるだろう――、諦めるしかない――、と思った私。
しかし、花ちゃんパパにはしらとり動物園のスタッフさんから、「代わりに他の子犬はどうでしょうか?」という連絡が来たのです。
花ちゃんパパから「別の子を迎えようと思う」と、もちかけられた私は驚きました。そして「水頭症の子はどうなったの?」と聞きかえしました。
無視を決め込んだ私の心が動いた瞬間でした。
私の悪い癖というか習性、行動パターンは、治りません。
あとは、花ちゃんパパに押し切られる形で「どうしても欲しいなら自分で買って、自分でお世話をしてください。」と、2頭目の仔を迎えることになりました。
お迎えの日
お迎えの日は、2006年9月17日になりました。
もちろん私も一緒に行きました。9ヶ月になった花ちゃんも連れてです。
花ちゃんと一緒にしろとり動物園に入ると、ホワイトタイガーが子豚のような花ちゃんを狙うように、檻の中をウロウロ歩いていました。
花ちゃんは色々な匂いに興奮して頭の上のホワイトタイガーには気がついていないようでしたが……
そして太郎とのはじめて対面。
私は可愛い可愛いタイガーブリンドルの仔犬に一目惚れです。
家に連れて帰って『太郎』と名前をつけたのも私だったはずです。
「自分でお世話してください」と言ったものの、花ちゃんパパには小犬の世話を任せられませんでした。ご飯をあげて、お下の世話から散歩、躾、ワクチン注射に連れて行くのも全て私でした。太郎も私について回ります。
花ちゃんがパパっ子で、いつもパパの側にいたせいか、太郎は私の側を片時も離れませんでした。
そんな太郎も老犬に
太郎は今でこそ白髪になってしまいましたが、茶色の差し毛のタイガーブリンドルです。とても綺麗な子でした。
でも、写真映えが悪くて、顔は真っ黒で表情はわからず、とくに真っ白の花ちゃんと並ぶと、綺麗な差し毛が鮮明に写りません。
私はデジカメを買い換え、
カメラの性能で携帯を選ぶようになりました。
因みに私が今まで、太郎と離れて夜を過ごしたのはたったの2日間だけです。
――了――
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
パピヨンのメスは、初心者向きで飼いやすいらしい。
だからパピヨンを飼うことにした。当時は犬の飼い方なんて全く知らなくて――
やがて犬との暮しに慣れ、私は大人になった。
そして、犬に寿命があるってことを、すっかり忘れていた。
――うちの子がうちにくるまで・前話(2話構成です)――
先住犬の”ちぃ”は、どうもよその子に受けが悪い。
このまま犬の友達はできないの?
そんなとき、小さな白い犬を見かけたのです。
「ねえ、友達になってくれる?」
子犬の箱を受けとり電車に乗った作者。しかし事故のために大混雑。
優しい老夫婦の助けで、なんとか満員の車中を過ごします。
家へと急ぐ作者。迎える家族。
君は手荷物でうちに来たんだよ。
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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先住犬、花ちゃんのお話
3匹の犬、ちょび、ごはん、おかずを、同じ年に亡くしてしまった作者。
やがて作者は、その年生まれの子犬を見つけます。
「生まれ変わりだったら嬉しいな」
それが、花ちゃんとの出会いでした。
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同じ作者の記事です
毎日、仕事帰りに、ニャーニャー鳴きながらついて来た子猫。
ある雨の日、濡れたその子猫を拾い上げました。
それが、家族が増えた瞬間。
『おいで』と名付けたその子は、賢くて、生きる事を楽しんでいるようでした。
しかし……
愛猫を亡くした作者。
供養をした翌日、ふらりとペットショップに立ち寄ると、そこには[ただであげます]と張り紙された犬がいました。
者が初めての犬を飼い始めてから3カ月後のこと。
散歩から帰ったご主人が言いました。
「へその緒がついた子犬が捨てられていた」
草むらには本当に「生きたい、生きたい」と鳴く2匹の子犬がいたのでした。
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。