うちの子がうちにくるまで|No.32 - 2
迎えた柴犬の子犬は、はなと名付けられました。
神経質なはなは、トレーニングがなかなかうまくいきません。
やがて家族とはなの間には絆が生まれ、ローカルルールも生まれていきます。
さて、はなを飼いたいと言った息子さんはどうなったのか?
犬嫌いだったご主人は、どうかわっていったのか?
柴犬ってどんな犬?|今まで犬を飼ったことがない|初めて飼うのが不安|皆さんどうやって飼うのを決めるの?|経験者の話が聞きたい
前話からのつづきです。
初日から車酔いの災難だったはなですが、ケージでしばらく横になると、元気を取り戻しました。しかし落ち着き無く、ケージの中でウロウロするばかりです。
きっと新しい環境が不安だったのでしょう。
ひとしきりそうしていたのですが、やがて疲れて眠ってしまいました。
これが1日目のはな。とにかくはなは、神経質な子でした。
うちの子になったはなには、トレーニングが待っていました。
家族の一員として、守ってもらわないといけないことは沢山あります。
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第一の難関は、トイレトレーニングでした。
柴犬はとても用心深い犬種で、自分のテリトリーの中で排泄する事を嫌がるのだそうです。根気強くトレーニングを続け、トイレを覚えてくれるまでに、気が付けば2か月近くかかっていました。
しかしその努力は、やがて泡と消えます。
成長して散歩の距離が長くなってくると、はなは「私は外でする!」と決定したようで、いつも外で用を足すようになり、そのまま現在に至っています(笑)
それからは、雨が降ろうが槍が降ろうが、毎日散歩は欠かせません。
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第二の関門は食事でした。これはトレーニングとはちょっと違いますが。
はなはとにかく神経質で胃腸が元々弱く、ちょとした原因で下痢、嘔吐を繰り返して
いました。
またご飯の1回の摂取量も少ない為、1日4〜5回に分けて少しずつ与えました。それでもなかなか食べてくれない日もあり、とにかく食べさせる事に必死でした。
胃腸が弱いのと小食は今現在も続いています。
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最初のお散歩のことも、良く覚えています。
おっかなびっくりで、はなを道に降ろした途端に、はなは歩きたくないと私にすがりついてきて、初日の散歩はたった1分程で終わってしまいました(笑)
本格的にお散歩できるようになるまでには、2週間位かかりましたね。
はなには他にも色々と、家のルールを教えていきました。
家のルールというよりも、犬と飼い主のルールと言った方が良いかもしれません。
飼育本を読みながら、新米飼い主もはなと一緒に勉強をしていきました。
はなの居場所は、基本的にケージの中でした。これも飼育本で学んだことです。
犬の寝る場所は、飼い主の寝床と分けることも、主従関係を明確にするために必要なことだと書いてありました。
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しばらく一緒にいると、はながとにかく神経質で、警戒心が強い子だということが分かってきました。私たち家族を信用して良いのかどうか、疑心暗鬼になっていたのだと思います。
だから、家族にはなが家族に慣れるのには、随分と時間がかかりました。
信頼関係が出来てきたことを実感したのは、散歩で一緒に歩いているときに、私を見上げた瞬間でした。
「あ〜やっと懐いてくれた」
私ははなのそんな姿を見て、ほっと一息つきました。
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はなが来てからの息子は――
帰宅すると、真っ先にはなの所へ行って、二人で遊んでいました
家に遊びに来るお友達にも自慢げに、はなをお披露目していましたね。
そして冒頭に書いた、息子の抱えている問題――
これはそう簡単な事ではなくて、はなが来たからと言って、すべてが上手くいったわけではありません。しかし、少なくとも家の中で過ごしている間は、息子に笑顔が増えていきました。
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初めてはなを連れて、ドッグランに行ったときのことです。
息子とはなが遊んでいる姿は本当に楽しそうで、何だか二匹の子犬がじゃれ合っているみたいに見えました。
それからのはなですが、生後七ヶ月頃から夜鳴きが酷くなりました。
ある程度知恵がついてきて、自我が芽生えたのでしょうね。
寂しかったのか、自分の存在を主張したかったのか?
それからは、本当はいけないのですが、はなは私の布団で寝るようになりました。
そうすることで、主従関係が崩れることもありませんでした。だからそのままで今にいたるのです。
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犬と飼い主の関係は、犬と飼い主の数だけあると思います。
一番の根本が揺るがなければ、あとはローカルルールでも良いと私は思います。
他にも、飼育本のルールに従わなかったことがあります。
それは、はなの大好きな居場所が、ソファーの上だということです。飼い主がくつろぐ場所で、自分もくつろぎたいのです、――きっと。
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上の写真が、ソファで寝ているはな。日中はいつもここにいます。
気持ちよく寝ているはなの顔をみるたびに、私ははながうちに来てくれて、本当に良かったと思いっています。
はながうちに来て、もう13年が過ぎました。
お蔭様で息子は大学を卒業し、今では社会人三年生。
毎日忙しい日々を過ごしています。
はなを迎えた日のあの約束は、息子はちゃんと守ってくれました。
大学卒業の時まで、お散歩は欠したことがありません。
今は忙しくてそれもできなくなりましたが、休みの日にはかならずはなを連れて散歩に出ます。
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そして犬嫌いの主人――
最初は外飼いを強く主張して犬小屋の購入も考えていました。
しかしいざ我が家にはなが来ると、その考えも段々と薄れて、外飼いのワードは出なくなっていきました。
今は「外飼いなんてとんでもない!可哀想だ!」と力説するほど。
変われば変わるものですね。
今、家族の中で、はなに一番メロメロなのは主人です。
ですから主人は、はなが私に一番懐いていることが不満のようです
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今、はなは息子のお守り役を終えて、今度は私達夫婦の無くてはならない存在になりました。
はなは、息子が独り立ちした後の、私の心の穴を埋めてくれています。
夫婦の会話も、はながいてくれるだけで事欠かないです
熟年離婚を防いでくれているのも、はな(笑)
みんなみんな、はなのおかげです。
これからは私達が、はなに恩返しをする番ですね。
はなが余生を、出来るだけのんびり過ごしてくれたら本当に幸せです
――はながうちにくるまで(後編)おしまい――
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
――うちの子がうちにくるまで・前話――
犬を迎えたのは、当時学校に疲弊していた一人息子のためです。
息子が突然「犬を飼いたい」と言い出したのです。
一度も犬を飼ったことはありませんでした。
それでも飼おうと思いました。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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愛すべき柴犬たち
初めはウサギが欲しかった。そんな娘さんとの約束事。
しかしその約束は、いつの間にか犬を飼うという話に――
動物を飼うことに消極的だったお父さんは、約束を守れるのか?
結婚7年目の夫婦。
犬が大好きなのに、妻は自分の病気のために、飼うことは諦めていました。
ある日、夫が「犬を飼おう」と提案します。
夫婦は、犬を飼うことができるのか?
犬は必ずしも。家族全員に歓迎されて家に迎えられるわけではありません。
保護犬の場合は、特にそうでしょう。
“飼いたい!”から始まる愛情もあれば、飼ってから芽生える愛情もあります。
先代犬を亡くし、ペットロスだった飼い主。
しかし――、ある日のこと――
「家に帰ったら、子犬がいた」
さて、その犬とは?
夫婦共に柴犬が好きでした。先住犬もとても可愛いかったのですが、もしも2匹目を飼うことがあれば、柴犬にしたいと思っていました。未来の夢として――
ある日のこと、2人は偶然に、柴犬専門店をみつけました。
中に入ってみると――