犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【はじめて迎える】うちに来るために残っていたの? ~チョンキーがうちにくるまで~【保護犬】

【関連コンテンツ】

うちの子がうちにくるまで|No.55うちの子がうちにくるまで_チョンキー

撮影&文|ちんねんきなこママ
  
今日のお話は

多頭飼いをしていると、いつか必ず先立つ犬と、残される犬が生まれてしまいます。
残された犬はどうなるのか?
犬は群れの動物だけあって、中には人間のペットロスと同じように相棒のロスに陥ってしまう子もいるらしく――
本話は先住犬との別れで元気を失くして、ご飯を食べなくなってしまった子のために、新しい相棒として、保護犬を迎えてあげようとする家族のお話です。
さて、良い子は見つかるでしょうか? 

こんな方へ:
動物は好きなんだけど、犬や猫を飼うのは心配|はじめてなので、もう一歩が踏み出せない|同じような経験をした方はいますか?

きなこを救ってくれた、我が家の3匹目

今回は我が家の3匹目の子『チョンキー』のお話をしたいと思います。

我が家の初代犬はちんねん。そしてちんねんが2歳の時に迎えたのがきなこ。
2匹はとても仲良しだったのですが、残念ながらちんねんは、2020年の5月17日にきなこを置いてお空に旅立ってしまいました。

それからのきなこは、元気がなくなりました。普段からおとなしい子でしたが、それに輪を掛けて、もっとおとなしくなってしまったのです。

ご飯を上げると、ちょっとだけ食べてあらかた残してしまいます。おやつを上げてみるとそっちは食べるので、「我儘になったのかなぁ?」と思いましたが、それが何日も続くと、流石に心配になってきました。

私はきなこが寂しいのだと感じました。
ちんねんがいなくなってしまったのが一番の理由でしょうが、ちょうど私も犬の仕事に就くために学校に通い始めた時期で、きなこは一人でお留守番をすることが多くなっていたのです。

出来るだけ傍にいてあげて、話しかけるようにしましたが、それでもきなこはおとなしいまま。散歩に行っても数十メートルあるいただけで、『もう帰る』とでも言うように、四肢を突っぱねて歩かなくなります。家にいても遊びもせずに寝てばかり。
そんなことが、2週間ほども続きました。

「きなこは誰もいない静かな家で、このまま弱くなってしまうのかなぁ」
そんなことを考え始めて、私は段々不安になってきました。

「もう1匹迎えたらどうだろうか?」
そう考えて夫に相談してみたのですが、夫からは「まだ早い!」「ちんねんの49日も済んでいないのになんなんだ!」と叱られてばかりいました。
――49日の縛りって、そんなに大事なのかなぁ?

しかしながら、私の方もそんな程度ではめげません。それに夫が本気では怒っていないことは始めから分かっています。

そこで私は夫に内緒で、新しい子を迎えるべく、勝手にネットの検索を始めました。
ちんねんから幸せのバトンを渡される子が絶対にいるはずだ、見つけるんだと心に決めたのです。私の性格は、猪突猛進なのです(笑)

 

きなこまでは、ペットショップ以外に犬との出会いの場所があることを知らなかった私ですが、SNSを始めてからは繁殖引退犬という存在を知って、次にもし飼えるならば保護犬を迎えたいと思っていました。それに保護犬だともう一つ良い事があります。きなこの年齢はもう12歳。パピーを迎えると身体的にも体力的にも、相手をすることが負担になるかもしれません。それを考えると、ある程度の年齢になった子の方がきなこにとっては安心できます。

壮年期のシニア犬か、覚悟を決めていっそのこと老犬か?
何れにしても5歳以上の子にしようと私は決めました。

新しい出会いを求めて、色々な譲渡サイトを眺めていく私。しかし折り悪く世の中はコロナ自粛の真っ最中で、譲渡会は一切行われていませんでした。サイトで気になる子が居て「会わせて欲しい」とお願いしても、どの団体からも断られるばかり。トライアルも無くて、写真や通り一遍の情報しかない中での”一発譲渡”しかありません。

そんな中で、私は『オンライン譲渡会』を行っている保護団体を見つけました。サイトの写真を眺めてみると、とても気になる子がいます。問い合わせをしてみたところ、次の土日のオンライン譲渡会に、その子が登場すると返信を頂きました。

 

うちの子がうちにくるまで_チョンキー

さて、その土曜日がやってきました。その日はお互い休みだったので、夫も家にいます。私は「きなこの様子がおかしいよ!」ということは夫に伝えていましたが、新しい子を探していることはまだ話していません。

オンライン譲渡会が始まった途端に、私はかなり強引に夫にスマホの画面を見せました。もちろん、私の気になっている子を見てもらうためです。

いよいよ ”気になるあの子” の順番です。私は夫に「この子が気になる」と伝えて見ていたのですが、夫は「駄目だ!」と言いました。がっかりです。

そうこうしている間に、画面は次の子に……

その子は団体職員さんにお姫様抱っこされて登場しました。聞けば職員さんとは、その日が初対面だったらしいです。しかしその子は、職員さんの両腕の中におとなしく包まれていて「とにかく性格の良い子です」と紹介されていました。

その時です。夫が反応しました。
「あ、こいつ!」
と一言だけ言うと、もう目はスマホの画面にくぎ付けです。

そんな夫の姿を見た私は、すぐに団体に連絡を入れました。善は急げ。夫の気が変わらいうちに行動あるのみです。私が「その子に会えないか?」と訊ねた所、『明日会えます。ただしこの一頭だけの面会です。他の子とは会えません』と、返信が来ました。

「明日会えるって!」
私は強引に、夫の約束を取り付けました。
夫は「きなこと合わなかったら断るから……」とか、「ちんねんの49日もまだだし……」とかグズグズ言っていたくせに、当日はそそくさと家を出て、約束の時間1時間前には目的地に到着してしまいました。

なんだかんだ言っても、夫は犬が大好きだなぁと思いましたね。

 

その子との対面は、団体の事務所のプレハブ小屋でした。

実はそこで、ちょっと驚いたことがありました。その団体は、とあるブリーダーさんの土地の隣を間借りして、そこにプレハブ小屋を建てて活動を行っているのですが、その小屋に行く時に、ブリーダーさんの施設(犬舎)が見えてしまうのです。

そこではコンクリートの敷地に沢山の小型犬が居て、こちらに向かって吠えているのです。どの子も毛玉が酷く異臭を放っていて、あまりの劣悪さに、私たちはその子犬たちがみんな保護犬だと勘違いしたほどです。

主人は見てはいけないものを見てしまったという様子で、とにかく無言で悲しそうな顔をしていました。

話を元に戻しましょう。
私たちがそのプレハブ小屋で待っていると、職員さんが気になるあの子を、ひょいっと抱っこして連れてきてくれました。その子は私たちを見ると、キョトンとした顔をしていました。

「可愛い!」
私は心の中ではもう《うちにおいで》って声をかけていました。私たちはもう、出会った瞬間から家族だったのだと思います。

私はその子を抱き上げました。

「軽い!」
それが第一印象です。体長、体高からは想像出来ないほどに軽いのです。本来なら3キロ近くあっていい体重が、僅かに2.2キロしかないのです。

サイトの紹介文には、体重2.2キロと記されていましたが、何かの間違いだと思って信じていませんでした。それが本当だったとは――、呆然とする私たちでした……

肝心のきなことの相性ですが――
どちらも素っ気なくて、近づこうとはしませんでした。かといって怒るでもありませんし、尻尾を丸めるでもありません。お互いが好き勝手に部屋の臭いを嗅いでいました。

まあ、相性が悪いわけでもなし、最初はこんなものかもね。

夫はというと――
私が「どう?」と訊ねると、「早く契約しろ!」と答えました。
よく見ると、夫は泣いています。

理由を聞いたら、先ほど見た繁殖犬の状況に、いたたまれなくなったのだそうです。
《この人からOK出たならどんな子でも大丈夫》
そう思ったら、私も泣いていました。

《まだ早いんじゃないの?》
《ちんねんの49日はまだ済んでいないよ》
そう思っている私に、夫は「お前は言い出すと聞かないから、スマホの画面を見せられてから飼うことになる事は、もう分かっていたよ」と言いました。

その場で譲渡手続きを行い、1時間ほどで契約完了。
その子を連れて、家路についた私たち。何だかんだと言いながら、ちゃんとキャリーケースも持参していたのです。

 

これは、うちの子になった日のチョンキー
  

こんな風にしてうちの子になったその子。名前は『チョンキー』になりました。
名付けたのは夫です。もううちに来る前から決めていたようで、譲りません。

楳図かずおの『まことちゃん』と言う漫画にに出てくる、シェパード犬に付いていた名前なのだそうです。

チョンキーは夫が組み立てた大きめのサークルの中で、しっぽをブンブン振りながら、ピョンピョン跳ね回りました。うちでは先代犬のちんねんも、先住犬のきなこも、しっぽは殆ど振らなかったので、それがとても新鮮でした。

その後、動物病院の先生の診察もしてもらいました。先生からは「良い所に貰われたねー君は絶対幸せになるぞー」と言われて、また泣く私……

そしてきなこはというと――
最初は警戒していましたが、「これからずっと一緒」と理解したようで、それからはご飯をしっかり食べてくれるようになり、お散歩もチョンキーと先を争うように歩き始めました。

最初は「遊ぼう!」シグナルもチョンキーが出していましたが、今はきなこからも「遊ぶぞ!」と、チョンキーに襲いかかるようになりました。

こうして、ちんねんが去った後の、新しい我が家が始まりました。

 

――チョンキーへ――

貴方と家族になりたい!
いいえ、出会った時から「うちの子」だったよ。
君はちんねんから「幸せのバトン」を渡された子。
これからたくさん思い出作ろう!

――ちんねんへ――

ちんねん、貴方を思い出さない日は無いけど、チョンキーは貴方からの「バトン」を渡されたと思っています。
私は前を向いて頑張っています。
たまには夢にも出てきて下さい(笑)

――ママより――

(追記)
私たちが保護犬施設と勘違いをした、あのあまり良くないブリーダーさんですが、団体さんの方から、そちらの環境も改善していくと約束をしてくれました。

 

――チョンキーがうちに来るまで|おしまい――

うちの子がうちにくるまで|No.55
犬の名前:チョンキー
犬種:チワワ
飼主:ちんねんきなこママ
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

ミルティがうちにくるまで

17年前、我が家はコンビニを始めた。
家族総出で忙しい毎日。
そこに三女が「犬飼いたい」と言い始めた。
子供の頃、実家にはいつも犬がいた。
だから願いを叶えてやりたい。
しかし我が家には――
『犬を飼ってはいけない』という義父の掟があった。

www.withdog.site

――うちの子がうちにくるまで・前話――

きなこがうちにくるまで

それは友人と出かけた、ペットショップ&カフェでの出来事でした。
世の中はチワワブーム。驚くほど高額なチワワもいるその店には、売れ残った貧相な姿の子がいました。
私の手をよじ登って来るその子。
私は夫にメールしました。
「もう1頭飼いたい」

www.withdog.site

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 

© 2017 Peachy All rights reserved.