2001年のブルテリア事情
とぼけた顔だが元は闘犬、軍用犬
ブルテリアがうちにやって来た
筆者の愛犬ピーチ―が、うちにきたのは2001年のことです。
今から数えると、もう20年近くたつわけです。
犬は2、3歳で子供を産むので、下手をすると今ではもう、ピーチーよりも10世代も進んでいるわけです。その世代の進みを品種改良という意味でとらえると、随分と犬種としての特徴は変化をしているように思います。
今振り返ってみると、当時のブルテリア事情は今とは随分と違っていました。
今日はその頃のブルテリア事情を書こうと思います。
※因みにピーチーは、ミニチュア・ブルテリアなのです。
【目次】
- 2001年のブルテリア事情 とぼけた顔だが元は闘犬、軍用犬
- ブルテリアがうちにやって来た
- ミニチュア・ブルテリアの性格(気性)
- ブルテリアにまつわる悪い噂、悪評
- オフ会で出会ったブルテリアたち
- 飼いにくい犬の2トップ ブルテリアとジャック・ラッセル・テリア
- 最近は体形(顔と体)も変わってきている
- まだまだ大きな、ミニチュアもいますが
- 二匹目のブルテリアを迎えるお話
- ブルテリアたちのエッセイ
- 他にもいる飼いにくい犬
ミニチュア・ブルテリアの性格(気性)
最近のミニチュア・ブルテリアを見て気付くのが、性格(気性)が安定してきているという事です。
2001年頃の印象では、ブルテリア(スタンダードもミニチュアも含めて)は『飼いにくい』『素人が手を出すものではない』という考えがまだ一般的だったと思います。
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何度も犬を飼ってきて、普通の犬では飽き足らなくなったセミプロのような愛犬家が、最後にいきつく犬種の一つで、バイクで言えば『ドゥガティ』、シングルモルト・ウイスキーで言えば『アードベック』のような存在。癖があるからこそ面白いのです。
中には自分の調教技術を、他人に誇示するために飼っている人もいました。
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このような状況でしたので、当時は飼ってみたは良いけれど、手におえなくなって手放す人たちも随分いたようです。
このような話をすると、きっと無責任飼い主の飼育放棄を想像される方が多いと思いますが、ブルテリアに於いては、少し事情が違ったようです。
ブルテリアにまつわる悪い噂、悪評
当時取引をされているブルテリアの中には、遺伝的期に(脳の異常による)凶暴な気質を持った個体が、一定の割合で潜んでいたそうです。
というのも、ブルテリアはかつて闘犬として名をはせた犬です。あごの強さは全犬種でもチャンピオン級。倒す相手も自分よりはるかに体の大きい牛です。強い相手を牛を倒すために、人為的にわざわざ凶暴性を強化された犬がブルテリだったのです。
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後に愛玩用に改良されて現在に至りますが、元々凶暴な血筋の母数が違うので、普通の犬種よりもずっと高い確率で、脳異常の凶暴性を持つ個体が生まれたのです。
当然ながら、凶暴なブルテリアには人はかないません。飼い主にとっては命の危険を抱えることになるわけです。つまり、最終的には殺処分しか対応方法が無かったわけです。
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上記のような話は、単なる噂や聞きかじりではありません。ブルテリアを家に迎えてからトレーニングに出そうと、トレーナーを探している我が家に、躾のプロたちから沢山聞かされた言葉でした。ブルテリアと聞くだけで、ほとんどのトレーナーからは断られてしまったのです。
もしかすると、こんな話が流布するのは、闘犬由来の犬種だけに躾を誤ると大変なことになる。しっかりトレーニングをしなさいと、飼い主に覚悟を求められていたのかもしれません。
しかしそれはある意味では当っていました。それを我が家は後に知ります。
オフ会で出会ったブルテリアたち
こんな話をさんざん聞かされると、やはりブルテリアは絶対に、プロのトレーニングを受けさせないとまずいと、我が家では思いました。万が一にも散歩の途中で子供を噛んで、大けがをさせると、行政による殺処分が待っています。
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我が家のピーチーは、たった二人だけ『ブルテリアを預かっても良い』というトレーナーさんのうち、過去にとんでもなく酷い子をトレーニングして、CM犬にもしたことがあるとう方に託すことにしました。
それからピーチーは3か月間、我が家を離れて警察犬学校に行ったのです。
(『警察犬学校』というのは、正式名称としてあるのですよ)
このときのことは、今も覚えているとても思い出深い話です。
ついでながら、この警察犬学校でピーチーと飼い主はとても良い経験を積みました。
18年も前のことですが、今にも通用する話なので、ご興味があればこちらも。
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さて、ピーチ―が6歳になった2007年の事。我が家がブルテリアが集まるオフ会に出掛けて行った時のことです(上の写真)。大抵の子は訓練が行き届いた従順な子でした。しかし中には数頭、ガウガウと吠える、見るからに危なそうな子もいました。その危ない一頭が、集まった来た子の中でもとりわけ体が大きくて、性格のやさしい子に、いきなり噛みついてしまったのです。
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オフ会の参加メンバーは、幸いにも腕に覚えのある、セミプロが何人もいらっしゃったので、すぐにその場に駆けつけて、3人がかりでペットボトルの水を一気に噛みついたガウガウ犬の 口に流し込み、辛くも引き離しました。
噛まれた子はしょげてしまって、それはそれは、可哀そうでしたね。
飼いにくい犬の2トップ
ブルテリアとジャック・ラッセル・テリア
上の写真は、オフ会での集合写真です。
画面中央やや右で、抱かれているのがピーチー。(飼い主さんたちの顔は、ぼかしてあります)
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誤解を恐れずに言うと、当時のブルテリア(ミニチュア・ブルテリア)たちは、今のジャック・ラッセル・テリアのように、やんちゃでハイパーでした。しかも顎の力は犬の中でも最強と言って良い。うっかりすると、じゃれているつもりで、簡単に大人の指の1本や2本は持っていきかねません。
『飼いにくい』と言われても当然。そんな犬種だったのです。
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念のためジャックの飼い主さんに申しておくと、筆者はジャックを決して悪く言っているわけではありません。筆者はブルテリアの次に、ジャックが大好きです。
きっとジャックの飼い主さんも、ブルテリアが好きだと思います。
我々は、似たもの同士なのです。
最近は体形(顔と体)も変わってきている
ここまでは、ブルテリアの性格の変化についてかきましたが、もう一つ当時と比べて、大きく変わったのが体形(顔と体)です。
当時はまだフットボール型の顔が良しとされていて、今のようにほっそりした(ダルメシアンの影響の強い)顔の子は亜流とされていました。しかし筆者は、ほっそりした顔のピーチ―は、ブルテリアの中でも相当なベッピンさんだと思っていました。
今ではほっそりした顔の子の方が多いですよね。ピーチ―はその過渡期の子なのです。
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身体の大きさも随分と変わり、小さくなりました。もちろんそれは、ミニチュアブルテリアの場合です。
当時ピーチ―は、ミニチュアブルテリアの中では随分と小さな子で、標準の子より1回りから2回りは小型だったと思います。その頃は、スタンダードとあまり変わらないような、ちょっと小型のラブラドールほどもある、ミニチュア・ブルテリアもいたのです。
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扉の写真は、オフ会の時に撮影したもの。
――仲良くなった、大人しい子と2ショットです(左がピーチー)
――サイズはピーチーが若干小さめです。
上の写真もオフ会のときのもの。
――フレンチブルとピーチーは、ほぼ同じ大きさでした。
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最近出会ったミニチュアブルテリアたちは、ピーチーよりももっと小さい印象でした。数匹しか会っていないので、全体を把握しているわけではありませんけれど。
筆者が「子犬ですか?」と飼い主さんに訊ねると、どの子も皆、立派な成犬でした。中にはピーチ―よりも、2回りも小さな子もいました。
まだまだ大きな、ミニチュアもいますが
ミニチュア・ブルテリアが小さくなったと感じたのは、実際に会ったことのある子達から受けた印象ですが、筆者のブログ仲間さんたちの愛犬の中には、まだまだ大きなミニチュアもいます。
以前に『うちの子がうちにくるまで』に登場していただいた、あんこちゃん は、下の写真からもわかるようにどっしりとした体形で、体重は20kg(時にオーバー)。
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これが、あんこちゃん
堂々たる風格
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分類方法によっては20㎏は、大型犬の体重ですね。ブルテリアは筋肉質+体毛が短いので、体重の割には小さく見えるのですが、もしも柴犬程度に毛が生えていたら、あんこちゃんなどは、もう見た目も大型犬でしょう。
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もう一匹、『ハナちゃんの動物病院』に登場するハナちゃんは、一見するとピーチーのように小さく見えますが、実は体重はあんこちゃん同様に20Kgだそうです。
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左がハナちゃん
患者さんのナナちゃん(右)と
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もしもピーチーがまだ生きていて、今ブルテリアのオフ会に行ったとしたら、皆さんはどう感じるでしょうかね?
「体の大きなおばあちゃんが来ていたね」と言われるのでしょうか?
それとも「小柄のかわいいおばあちゃん」と言われるのかな?
――2001年のブルテリア事情――
文:高栖匡躬
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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二匹目のブルテリアを迎えるお話
いつだって新米飼い主
先代犬のプルテリア、ピーチーを看取って3年半。
二匹目のブルテリアを迎えることにした作者。
つくづく思うのは、自分が新米飼い主だということ。
食事のこと、医療のこと、先代犬のときとは、犬に対する考え方が違います。
先代犬での経験は、先代犬だけのもの。
奢らず、謙虚に――、そう心に刻みつつ
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ブルテリアたちのエッセイ
うちの子がうちにくるまで(ブルテリア編)――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
ペットショップで心を奪われて……
それは犬を飼う時の動機の中では、かなり上位に位置します。
本話の飼い主もその一人でした。
しかしその犬はよりにもよって、先住犬ジャックラッセルテリアと最も相性が悪いとされるブルテリアでした。
引っ越してからわかったのですが、なんとそのマンションは、当時にしては珍しい、ペット可の物件でした。
ある日、私はソファーでいびきをかいている豚を目撃しました。
――豚??
イエイエ、それは豚ではなく犬。
作者ががブルテリアに心を奪われた瞬間でした。
『ハナちゃんの動物病院』のハナちゃんのお話。
ハナちゃんママが獣医師を目指したのは何故?
獣医師が犬を飼うって、どういう気持ちなの?
ママの色々な思いを受けて、ハナちゃんは今も病院の看板犬を務めています。
ブルテリアは怖い犬だと思っていました。
しかし友人の愛犬ボブを見て、すっかりに虜に
そのボブに子供が生まれ、すぐに会いに行きました。
思い思いに歩き回る仔犬たち
気付くと、足元にずっとついて来る子がいました。
3匹の犬、ちょび、ごはん、おかずを、同じ年に亡くしてしまった作者。
やがて作者は、その年生まれの子犬を見つけます。
「生まれ変わりだったら嬉しいな」
それが、花ちゃんとの出会いでした。
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他にもいる飼いにくい犬
飼いにくい犬の2トップ、ジャック・ラッセル・テリア――
ジャックラッセルテリアは、飼いにくい犬の代表選手。
しかし、チャーミングで、好きな人にはたまらない魅力がある。
飼いにくい、飼いにくい、大変だ、大変だ……
でも、それを乗り越えた時には、強い絆が生まれているんだよ。
犬を家に迎える理由は、星の数ほどあると言って良い。
しかし、この作者は異色。
飼いにくくて、飼うのに苦労をすることを理由に犬を選んだ。
それが今や犬の最高の理解者であり、最高の犬好きというのだから、世の中は不思議だ。