うちの子がうちにくるまで|No.36 & 37 - 2
今回はエリーの出産と、つきの誕生のお話
突然もらわれてきたエリーは、スクスクと育って、超オーバーサイズに。
「エリーの子供が見たいなぁ」
そう思った私と母は、ブリーダーさんに相談に行きました。
紆余曲折の結果、エリーは母になります。
こうやって生まれたのが、エリーと共に忘れられない子となる ”つきの” でした。
今回は、ドタバタだったエリーの出産のお話です。
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前話でエリーを迎えた我が家ですが、その後立て続けに家族に変化が起こります。
父が単身赴任をし、祖父と祖母が共に入院したんです。
ほんまはこんなこと、思ったらあかんのですが、面倒くさい3人が家にいなくなると、
私とエリーと母の天下です。
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エリーはそれまで、リードで繋いで、家の中と外を行き来出来るようにしてあげていたので、ほぼ室内犬と言える状態だったのですが、家の中を自由に歩き回ることはできませんでした。しかし3人がいなくなってからは、畳の部屋で鬼ごっこ。祖父、祖母の介護用ベッドの上でゴロスリと――、めちゃくちゃしてました。
寝る時もリード離して、一緒のお部屋で寝てました。母、エリー、私と川の字です。
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父は赴任先が近かったので、たまーに家に帰ってきましたが、そんな時に限って、エリーさんが何かやらかしました。2つほどご披露しましょう。
家に帰った父は、エリーと一緒に寝るようになりました。私たちの仲間に入りたかったようです。父の寝る定位置は、母、エリー、私の川の字での手前でした。
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ある日、父は同じ部屋で昼寝をしていました。
ちょうどその時、たまたまガムもらってテンションの高いエリーさん。急に駆け出しました。きっと自分の寝る場所で、じっくりガム味わいたかったんでしょうね。
ダッシュで部屋に入ってたエリーさんは、見事に父の内腿の柔らかい所踏んで行きました。
父 「イタタタ!エリー!」
エリー「は?ガムしよんねん。邪魔すな!」
――父負ける。家におる時間が短いので、どうやら格下にされた模様です。
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あともう1つ。
夜中にオシッコに行ったエリーさん。その日も父が帰ってきた日でした。
寝てる父の顔の上に、オシッコしたてで座りました。
父 「エリー!こら!冷たい!」
エリー「は?座っただけや」
――エリーは座ったまんま、私と母の顔見ながらドヤ顔です。
あの顔は今でも忘れられません。
それからのこと――
母と二人の時でした。どちらが先に言い出したのか忘れましたが、「エリーの子供が見たいなぁ」って話しになりました。都合の良いことに、反対する3人もいません。
私と母は、エリーのお里でもあるブリーダーさんの所へ行きました。
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ブリーダーさんに「エリーの子供が見たい」言うと、「いいですよ!」とお返事頂きました。そこでエリーが2歳になってから1回目のヒートが来るのを待って、ブリーダーさんの元に預けました。「1週間経ったら迎えに来てください」との事でした。
ところがここで事件が起きます。
エリーさん。捨てられたと思ったらしく、旦那犬(イギリス系の真っ白な男の子)に牙出してブチ切れたそうなのです。幸いにも旦那犬には、怪我負わす事はありませんでした。
知らせを聞いてお迎え行った時、ブリーダーさんからエリーが牙出した顛末を聞いて、あやまり倒して帰ってきました。
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今思えば、エリーにとっては極度のストレスだったのでしょう。お部屋で川の字で寝てる子がいきなり違う場所、しかも外で土の上で寝ることになるのですから。
帰り道にエリーに仕返しされました。
エリーはお外におったからまぁ汚い。臭い。
そこでついつい、こう言ってしまったのです。
私 「エリちゃん、あんた汚いし臭いで」
エリー「おのれら!置いて行きやがって!臭いのん分けたらぁぁ!!!」
エリーはとっても臭い尻尾を首に巻きつけてきました。運転してる母にもです。
エリー最強伝説です。
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再度ブリーダーさんと相談した所、「預かったら交配どころじゃないので、交配日決めて連れてきてください」と言われました。そこで半年後ヒートが来た時にブリーダーさんの所へエリーを連れて行って交配しました。念のために2回交配しました。
もちろん、エリーが牙をださないように、私と母同伴です。
この交配でめでたくエリーはお母さんになりました。
前回の失敗がなかったら、エリーは出産することはなかったでしょうし、当然ながら子供の”つきの”はも産まれてなかったですね。
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エリーの妊娠期間中は、特に何の問題もなく過ごしてました。先住犬のジョンとぽんたとも何のあらそいも無く平和です。モリモリ食べてお散歩行って、イタズラも普通にしてました。
そうそう!不思議なことがあったんです。
エリーは自分で、ぬいぐるみに名前付けていました。
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どういうことかって?
うちにはライオンキングのナラ(ライオン)のぬいぐるみがあったんですが、なぜか呼び名が「ともちゃん」なんです。「ともちゃん持ってきて」って言ったら、エリーはライオンキングのぬいぐるみ持って来るようになりました。
元々はそれはライオンさんです。たぬきさんはたぬきさん。アヒルちゃんもアヒルちゃん。ライオンだけが妊娠中は「ともちゃん」に変わったのです。今思えば華原朋美が流行っていたころで、私も「ともちゃん」を連呼してたので、影響されてしまったかも。
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で、出産後はまたライオンさんに戻ったのかというと――
エリーは出産する前に、「ともちゃん」の中身を出してしまい、修理不可能にしてしまいました。だからライオンさんに戻るかどうかは、確認できずでした。
あれは何だったのだろう?
エリーの出産ですが、自宅でしました。
獣医さんのアドバイスを受けながら、私と母がお世話をしました。
一般的な犬の妊娠期間で産まれた安産です。
先代ワンコのなちちゃんも安産でしたし、「エリーも安産に違いない」と思ってました。母もそうだったそうです。まあ、人間のことは参考にはなりませんが、我が家は安産ばかりなので、そう信じていたのです。
何年後かに別のワンコでも出産を経験しまして、その時には個体差があって難産もあるのだなあと、身を持って知りました。
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出産の準備は、上の写真のように毛布とダンボールを使ってエリーが寝転べるようにしてあげたように思います。実を言うと正確な記憶が無いのです。覚えていないことも、エリーの安産の証拠ですね。
実は早く用意し過ぎてしまって失敗もしました。エリーがダンボールで遊んで、ブッチブチに破ってしまうので、何回か父の職場から新しいダンボールを持って帰ってきてもらいました。
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で、注目の出産です。
あれは1月11日でワンワンワンの日のこと。普通にお仕事に行って、5時頃仕事を終えて家へ帰ってきたときです。珍しく母が玄関まで出て来て「あんた宛にエリちゃんから年賀状来てるわ」ったのです。
私はその意味が分からず、「ん??は??(おかん何あほな事言うとんねん)」って感じでした。
母から手渡された、エリーからの年賀状は下の写真です。
これはレプリカ。当時のものは残っていません。
体重が5匹分書いてありました。
そうです、エリーが出産したのです。
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私はすぐにエリーの所へ走って行って「えらいなぁ、がんばったなぁ」って、エリーの頭ナデナデしてあげました。
母「台所におったらエリーがピーピー鳴くねん」
私「うん」
母「何もなかったからまた台所戻ったら、やっぱり鳴くねん」
私「ほんで?」
母「次見に行ったら、もう産まれかけてたからなー」
私「それでどうしたん?」
母「側におって見ててん。不安やったんやろな」
母は特に仔犬をバスタオルで拭いたりしなかったそうです。
母「エリーに任せといたら、分からへんなりに、自分でへその緒を切って、仔犬を舐めよった」
犬って偉いですねえ。
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そのエリーですが、私と母だけは仔犬を触っても怒りませんでした。
不安な顔もせずに、通常運転な感じでした。
父、祖父、祖母は産まれたての仔犬の扱いが分からず遠巻きに見ていましたけれど。
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エリーの子供は5匹。1匹を残して、皆もらわれていきました。
他の子と比べてひとまわり小さくて、一番心配だった男の子は、強い子に育つように「秀吉」って呼んでいましたが、この秀吉くんは2つ向こうの市で、海に近いお家の家族になり、「レオ」くんという勇ましい名前をもらいました。
あと3匹は同じ市内に。
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残る1匹がうちに残ったこで、次のお話の主人公になる「つきの」です。
つきのを残した理由は――
エリーが出産した日の夜のことです。私はエリーと仔犬たちをずっと見ていたのですが、ふと窓から空を見上げた時に、お月さんが白い仔犬とおなじ色やったんです。
つきのだけ父親に似て、エリーより毛の色が白い子でした。
兄妹の中で1匹だけよく目立ちました。
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それで月の色にちなんで「つきの」と名付けて、家の子にすることに決めたんです。
それからはエリーの母っぷりがすごくて、つきのの躾はエリーに任せてました。
つきのが成犬になる頃には、人にも犬にも優しい子になっていくのですが、それはまた次のお話で。
――エリーとつきのがうちにくるまで(2/3)・エリーの出産編――
――エリー&つきの編につづく――
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
エリーが産んだ5匹の中の1匹が”つきの”。
エリーの子だけに、つきのもスクスクと育ちました。
仲が良い2匹ですが、犬にはそれぞれに個性があります。
さて、陽気なエリーとつきのは、我が家にどんな事件を巻き起こすのか――
――うちの子がうちにくるまで・前話――
学校から帰ると、金色の綿毛みたいな子犬がいました。
親戚のおっちゃんが「はい、あげる」と置いていったのがエリー。
作者にとって、全ての「初めて」がエリーでした。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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エリーのその後のお話です
エリちゃん、ほんまありがとう
高校生の頃、家に帰ったら金色の綿毛のような子犬がいました。それがエリー。
やがて大きく成長したエリーは、子犬も産んで最強のオカンになりました。
いつも陽気で元気いっぱいだったエリー。
しかし8歳を過ぎて急に病気がちになりました。
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うちの子がうちに来るまで
うちの子がうちに来るまで
一見屈強で男の中の男と言うイメージの作者。
しかし作者は、先代犬のバーディーを亡くし、毎日泣いて暮らしていました。
そんな作者に、新しい出会いの時がやってきます。
さて、新しい子は、どのようにやってきたのでしょう?
「またピレをわが家に迎えるよ」
妻の言葉で作者は、変わり始めます。
新しい犬を迎えるための準備を始めたのです。
先代犬のバーディーはそのことを知っていたかのように、新しく迎える子犬のために、あるプレゼントを残していました。