犬を飼うということ

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【猛烈アピール】出会ったのが運命なんだから ~わさびがうちにくるまで~【必死に鳴く子犬】

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うちの子がうちにくるまで|No.61うちの子がうちにくるまで_わさび

撮影&文|marowasa
  
今日のお話は

ペットショップで偶然に見かけた子犬――
既に家には1年前に迎えた先住犬がいました。しかし私はその子犬のことが気になって仕方がありません。その子犬は大勢の子犬が集められた大きなショーウィンドウの中で、他の犬たちからいじめられて、時折『キャイン!』と鳴いていました。
私はその子を迎えるために、反対する家族の説得をはじめました。

――だってその子は、私にとって運命の子のように思えたのです。

こんな方へ:
多頭飼いをしてみたい|動物は好きなんだけど、犬や猫を飼うのは心配|はじめてなので、もう一歩が踏み出せない|同じような経験をした方はいますか?

 それは偶然の出会いでした

今回は我が家の2匹目のワンコ、わさびのお話をしようと思います。

私は子供の頃からずっと、自分が犬嫌いだとばかり思いこんでいました。そんな私が、縁あってはじめて迎えた犬が麿呂といいます。
(麿呂のお話はこちらに『麿呂がうちにくるまで』

麿呂のお陰で私は犬嫌いどころか、大の犬好きであることに気づかされました。

そして――、それは麿呂がうちに来てから、1年半ちょっと過ぎた頃のことでした。
私には新しい出会いがありました。

 

私の勤務先はSCなのですが、その施設内にはペットショップ入っており、私は目的もなくそこを覗くことがあります。犬を飼っているから何気に見てしまうのです。
「柴犬がいるなー」
その日私は一匹の子犬に目を止めて、そんな風に思いました。麿呂が柴犬なので、やはり柴犬がいちばん目につきます。でも、それだけのことです。

それからしばらくして――
私はまたブラリと、あのペットショップに立ち寄りました。この日も特に目的があるわけではありません。本当にただブラリと――、かわいらしい子犬を見るために――

お店に入ると、まず探してしまうのはやはり柴犬です。
「いた!」
7匹ほど入る大きなショーウィンドウの中に、1匹だけ柴犬が――
よく見ると、その子はいつか見たあの柴犬のようです。月齢で3か月くらい。過ぎた日にち分。体つきは大きくなっていました。

どうやらこのお店ではある程度の月齢、日齢になると、複数匹で過ごす大部屋に移動をさせるようです。成長すると一匹ずつの小部屋だと狭くなってくるからでしょうか? それとも犬同士で触れ合わせて社会性を養うためでしょうか?

イチ、ニ、サン……
数えてみると中にいるのは合計7匹の子犬たち。その中でその柴犬の子犬は、何故だか6対1で他の子犬たちから攻撃されているように見えました。じゃれ合っているとはとても思えないような激しさで噛まれていて、ときおり『キャイン!』と鳴いているのです。

思わず私は店員さんを呼んで、その柴犬の子犬を抱っこさせてもらいました。可哀そうで見ていられませんでした。

 

私の手の中に身をゆだねた子犬は、ず~っと大人しく抱っこされていて、顔を近づけると私の鼻を舐めました。麿呂を初めて抱いた時に、麿呂が私の口を舐めたようにです。
その様子を見ていた店員さんは、「ワンちゃんと飼い主さんは運命があるけど、そうかもしれない」と言いました。

しかしこの日はここまで。いくら運命だと言われても、それだけで犬を飼う人はいませんよね。ただこの時、私の心の中には、この子犬がとても気になる存在として棲みついてしまったようでした。

その後も私は、その子のことが気になって、仕事の合間に顔を見に行くようになりました。私が来たことに気づくと、子犬はケージの中で必死に私に向かって、ジャンプしたり鳴いたりします。私はその姿を見ているうちに、『飼いたいな』という気持ちが次第に心に湧いてくるのを感じました。同時にあの店員さんが言っていた『運命』という言葉が、私の脳裏で大きくなっていきました。

私は思い切って母に「気になる犬がいる」と言ってみました。「必死に私に鳴いてくるワンちゃんがいるんだよ」と――
すると何と母も、その子犬のことを知っていました。偶然にも買い物ついでにその子を見かけていたと言うのです。「カップルが抱っこしてたんだよ」という目撃談まで語ってくれました。

『運命のあの子が、よその家にいってしまうかも』
それが私の正直な気持ちでした。そして次にペットショップに行った時には、「購入するから他の人に触らせないで」とお願いをしていました。

さて、私の心は決まったものの、両親はまだそうではありません。「犬欲しい…」という私の言葉は通じず、「2匹なんてなんで飼うんだ!」というつれない返事が――

必死で説得をする私――
あまりに必死過ぎて、あの時は両親になんと言ったのかよく覚えていないのですが、最後には「運命だ!」という変な話を押し通したように思います。
両親も犬好きなので、それ以上の反対もされませんでした。多頭飼いになることにも不安は感じませんでした。なんとかなると考えていました。

 

子犬をお迎えに行く日は、姉にお店まで同行してもらいました。姉は結婚してもう家を出ているのですが、以前には子猫を2匹保護したほどの動物好きで、喜んで付き合ってくれました。

ケージから出してもらった子犬は、最初は大人しく抱っこされてましたが、なぜか契約書類を記入し始めたらウロウロし始めました。この日がいつもと違うことに気が付いたのでしょうか。

「よい人が飼い主さんになってくれてよかったねー」
そう店員さんが、子犬に声を掛けてくれました。

手続きが済むと、子犬は一旦店員さんが連れて行って、白いロゴが入った取っ手付きの段ボールに入って私たちに手渡されました。駐車場に向かう途中で、幾つも空いている小さな空気穴から、時折子犬の鼻が覗いたり隠れたりしたことを覚えています。

そうそう、車に乗ってからのこと――
姉が段ボールじゃかわいそうだからと、車内で封印を解いてしまったのですが、子犬が飛び出してきて、大変なことになってしまいました。

家に着いて一旦ケージに入れると、その中をウロウロ。
そしてそこで初めて、先住犬の麿呂とのご対面です。
麿呂はケージ越しに子犬のおしりの匂いを嗅ぎ、子犬はされるがままでした。

そしていよいよ命名です。
私は豆助がいいと言ったのですが、姉が「和風なのはいいけれど、あんまりない名前にしよう」と言いました。そこで「せっかく静岡に来てくれたんだから……」とお互いに候補を挙げていくと、『うなぎ』『山椒』『からし』となぜか食べ物やスパイスが効いた名前ばかり……
結局、『わさび』という名で決着しました。

こうしてうちの子になったわさびですが、子犬のコロコロ感はなくて、痩せ細ったスマートな体格をしていました。ペットショップでは仲間外れになっていたので、きっと強いストレスでなかなかご飯が食べれなかったのでしょう。

そのわさびに対して、父と母の反応は真逆でした。
父は「なんだこの犬?」あまり気に入っていない様子。それに対して母は「可愛い子だねー」と目を細めました。

その後、わさびをケージから出そうとしたところ、麿呂が体を震わせて武者震いをし、怒り始めました。どうやら自分のテリトリーに、別の犬が入って来たことが気にくわなかったようです。仕方なく初日は引き離すことに。 

その夜のことでした――
わさびが夜泣きをしてしまったのですが、他の部屋にいた麿呂がそれを聞きつけ、起きて来ると「わんっ!」と一喝。普段鳴かな子なのに――
麿呂は一言吠えただけで寝床に戻って行ったのですが、その直後からわさびの夜泣きはなくなりました。犬には犬の決まり事があるようです。

それからのわさびは、麿呂を頼れる兄さんと思ったようで、ズーッとひっつくようになりました。

 

左がわさび、右が麿呂
 

今のわさびと麿呂はとても仲が良くて、お互いになくてはならない存在のようです。少しでも姿が見えなくなると、もう片方が探しに行って、夜は一緒に寝たりしてます。
わさびは麿呂に対して、絶大な信頼を寄せているみたいです。

さて、私の「運命だ!」の一言でうちの子になったわさび。
本当に運命の子だったのかどうかですが、やはり私は運命だったと思っています。

ペットショップで初めて会う子で、あれほど私に飛びついてアピールしてくるワンちゃんは、わさび以降一匹もいませんからね。

そうそう、わさびがうちに来た初日に「なんだこの犬?」と言っていた父は、今ではわさびがかわいくて仕方がないようです。朝の散歩は絶対行くし、よく一緒に遊んでます。

――わさびへ――

わさびくん、毎日かわいい笑顔を見せてくれてありがとう。
辛い時は励ましてくれてありがとう。
病気や怪我も多くて頭を悩ませる事も多かったけど、我が家を選んで来てくれたことは誇りです。

これからも、麿呂と飼い主、マイペースな2人をぜひ引っ張って下さい☆
大好きだよ( ・∀・)

  

――わさびがうちにくるまで|おしまい――

うちの子がうちにくるまで|No.61
犬の名前:わさび
犬種:柴犬
飼主:marowasa
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

りゅうがうちにくるまで

あれはもう17年も前のこと。
一人っ子だった息子が『犬を飼いたい』と言い出しました。
しかし主人は犬を飼うことには慎重です。
家族で出かけたペットショップの帰り道、息子は
「僕も兄弟が欲しい! 僕に兄弟をください! 」
と訴えて泣きました。

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――うちの子がうちにくるまで・前話――

カンナがうちにくるまで

もう19年も前のこと――
2匹目の子が欲しいと思っていた矢先、新聞の『貰ってください欄』が目に留まりました。
「なになに、雑種の子犬?!」
元々雑種が好きだった私は、すぐに電話をかけました。
そして数日後にはもう、一人で車を飛ばしていました。

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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

あんこがうちにくるまで

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 

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