犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【貰ってください】あの日見つけた小さな記事 ~カンナがうちにくるまで~【出会いは運命】

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うちの子がうちにくるまで|No.60うちの子がうちにくるまで_カンナ

撮影&文|アン
  
今日のお話は

出会いは19年前、新聞の片隅にあった『貰ってください欄』がきっかけでした。
ペットとの出会いには、運命めいた偶然がよくあるものです。
何故だか小さな一文に目が留まった――
そんな些細なことからでも長年寄り添う命と繋がっていくのですから、動物と暮らすということは奥が深いものです。改めて考えてみると、小さなきっかけから強い絆が育っていく不思議を、我々は運命と呼ぶのかもしれません。

こんな方へ:
動物は好きなんだけど、犬や猫を飼うのは心配|はじめてなので、もう一歩が踏み出せない|同じような経験をした方はいますか?

 それは小さな小さな記事でした

あれは――、2002年の1月明けて間もなくの頃だったと思います。
私は当時住んでいた島根県で、購読していた新聞の片隅にあった『貰ってください欄』に目を留めました。

【貰ってください】
――犬|1ヶ月|雑種
――白、薄茶|3匹|雄雌

「なになに、雑種の子犬?!」
すぐに私は食いつきました。
我が家には、当時2歳になって間もない、ブライスという雄のミニチュアダックスフンドがいたのですが、丁度そのブライスの妹分に、女の子が欲しいと思っていたところだったのです。ダックスは娘の希望で飼った犬で、私自身は元々雑種好きでした。

 

子犬の情報に続けて、飼い主さまの連絡先が――
新聞に個人情報が載るなんて、今から思えば当時はまだのんびりした時代だったのですね。
「仲良くなればよいなー」
そんな願いを込めて、私は電話をしました。

会いに行ったのはその数日後のこと――
「見てくるだけだから、写真撮って家族会議してから決めよな」
そう言って、私一人で、車を飛ばしました^ ^

さて、気軽に出かけた私でしたが、飼い主様の家の辺りに土地勘がないのに加え、山深い場所であったために、道に迷ってしまいました。結局メインのルートまで一旦戻って、飼い主様に迎えに来ていただいて先導してもらうことに……

そしてようやく到着した、飼い主様のお家――

初めて会った子犬は2匹、1匹が男の子で1匹が女の子です。すでに一匹は引き取られていったとのこと。お母さんは真っ白のムクちゃんという名前の美犬でした。そのムクちゃんの側で2匹が遊んでいます。とにかく小さくて、ゲキ可愛でした。

 

ムクちゃんと一緒に
  

2匹とも抱かせて頂きましたが、どちらも白くてムクムクフワフワで、まさにぬいぐるみのようでした。ぺろぺろ顔を舐めてくれて、可愛かったなあ。

家族会議で決めると宣言して出かけてきた私でしたが、この時点でもう心は決まっていました。なにしろ子犬が可愛かったし、今を逃すと私一人でもう一度、ここまで運転して辿り着く自信がありません。

「この子をいただきます」
私は迷いなく、希望していた女の子を抱き上げました。飼い主様は「よろしくお願いします、可愛がってやってください」とおっしゃいました。温和そうな50前後に見えるお父様でした。

なんとなくムクちゃんから子犬を取り上げてしまうようで、後ろめたいような気持ちもあったのですが、ムクちゃんは前の年にも子犬を産んでいて、1匹が同じ敷地で飼われています。レオくんというイケワンのワンチャンです。
だから、ムクちゃんを一人にすることもないと考えて安心しました。

帰り道――
私は来た時と同じように、メインのルートまで誘導していただきました。
子犬は箱に入った状態で、ムクちゃんの匂いのするマットと一緒に助手席にいてもらいました。途中で箱が気になったのですが、私はあまり運転が得意でないので(笑)運転に集中してまっすぐ自宅を目指しました。

 

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我が家に来て間もない頃
  

帰宅してようやく箱を開けると、目覚めた子犬は『ここどこ?』という顔をしていました。私はまずは子犬を箱から出すと、先住犬のブライスが我が家に来たとき過ごした、大きめのケージに移しました。しばらくそこにいてもらって、様子を見ながら少しずつ部屋に出していこうと思いました。

そしていよいよブライスとの初対面。ブライスを連れて来てみると、ブライスはゲージを覗き込みながら、尻尾をブンブン振りました。

そして夕方――、夜――
次々帰る家族は、子犬を見て仰天しました。
いまだに言われているのです。
「家族会議してから、飼うとか言ってたのにさー、ママが勝手に貰ってきたんやんな〜」と――

 

子犬の名前は『カンナ』に決めました。名付け親は当時小学5年生だった娘です。
カンナの花言葉の一つに、快活なという意味があるのだそうです。
「そりゃいい名前やね!」と思いました。

カンナはオテンバさんに育ちました。門扉を飛び越え脱走してしまい、追っかけたことも何度かあります。とにかく元気で、家族と一緒にいるのが好きで、家族が仕事から帰ると、いつも雄叫びをあげて迎えてくれました。たいした病気もせず、何でもよく食べる子でした。ヨーグルトやプリンが好きでしたね(滅多にあげてないです)

 

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私たち家族はカンナとブライスを連れて、色んなところへ旅行をしました。特に山や高原など出かける時は大体一緒です。九州旅行も犬も泊まれる宿を探して、2匹連れていきましたね。鳥取の名峰大山にも、家族で一緒に山頂まで登ったこともあります。懐かしい思い出です。

カンナを頂いて4年後には転勤が決まり、私たちは動物も含め総勢4人と2匹で、元いた大阪に帰ってくることになりました。今度の家は犬も住めるマンションですが、カンナが走り回っていたあの庭はなくなりました。

その翌年のこと、こちらからお送りした年賀状をご覧になった、元飼い主様の奥様の方から、少したってからお電話を頂いたことを覚えてます。
『大事にしてくれてありがとうございます。転勤でマンション住まいになられたのですね。大変ではないですか?良ければカンナちゃん、引き取りますよ』とのこと。
私たちが広い一軒家から、狭いマンションに移った事を心配して下さったのです。

もちろん、すっかり家族になったカンナを手放せるわけがありません。しかし、元飼い主様がずっとカンナのことを気にかけて下さってるのが、とても嬉しかったです。

元気いっぱいだったカンナも、いつの間にか19歳のオバアワン。
ゆるり〜の毎日を過ごしています。
車椅子、たまにリードで少し運動。
また寝る→おきてトイレ→ごはん→家をウロウロ→寝るのが大体のルーティンです。

もうあまり耳も聴こえてないようで、目も悪くなってきました。つい先日も病院にいったばかりです。

――でも、相変わらず可愛いです。

 

カンナをいただいた飼い主様とも、いまだに年賀状だけですが付き合いがあります。
毎年犬猫の写真を載せ、カンナの様子を知らせてるので、喜んで下さいます(*´꒳`*)
母親のムクちゃんはだいぶ前ですが、なくなりましたと連絡を貰いました。

カンナがうちに来たころは、生後1ヶ月と10日も経っていなかった頃でしょうか。
今思うと、カンナはもう少しお母さんの元にいさせてあげて、躾をして貰えばよかったかなとも思います。カンナに悪いことをしました。

カンナの相棒のブライスは、今から4年前の2016.12.26にカンナを置いて、一足先に虹の橋へ旅立ちました。17歳1ヶ月でした。膵臓があまりよくなかったのですが、具合が悪くなり3週間で旅立ちました。まあまあ長生きしてくれたとは思いますが、やはり今でも悲しいです。
ブライスもとても可愛かったんですよ。すごく食いしん坊の甘えん坊で――

 

今の私の気持ちは――
色々なことがありましたが、犬との楽しい年月を過ごして来れて、ブライスにもカンナにも感謝です。そして包容力がある動物好きの夫にも……

私はカンナが19歳まで一緒に過ごしてくれたことに、すこしホッとしています。
思えばカンナが来たころには私達夫婦も若かったから、庭を走り回るカンナとブライスを見ながら、「この子達が歳とっても、私たちもお世話できるトシだよね」と話し合っていたものです。もしこの先カンナを見送ったら、もうトシの関係上、犬は飼えません。でもそれも仕方のないことです。

今我が家には、縁あって出会った猫が4匹いますので、まだまだ頑張らなくては〜と思ってます。

そうそう、カンナを貰うきっかけになったあの小さな新聞記事ですが、切り抜いて長く持っていたんのですが、いまは行方がわからずです。
――ただ、家の絶対どこかにあるはずです(笑)

あんな小さな新聞広告が目にとまり、見に行きたい!と思ったのですから、本当にカンナと出会ったのは運命だったのでしょうね(*´꒳`*)

私とカンナのお話が、これから犬を迎えようと思ってる方に、少しでも参考になれば幸いです。

  

――カンナがうちにくるまで|おしまい――

うちの子がうちにくるまで|No.60
犬の名前:カンナ
犬種:雑種
飼主:アン
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

わさびがうちにくるまで

ペットショップで偶然見かけた子犬――
その子はショーウィンドウの中で、他の犬たちからいじめられ、『キャイン!』と鳴いていました。
わたしはその子犬が、気になってしかたがありませんでした。
そしてその子を迎えようと、家族を説得し始めました。

www.withdog.site

――うちの子がうちにくるまで・前話――

麿呂がうちにくるまで

実を言うと私も母も、犬を飼う事には反対でした。
しかし父が、自分の退職祝いに「柴犬を飼いたい」と言い出したのです。
ペットショップに着いた私たち家族。
その子犬は、抱っこした瞬間から私の口を舐めてきました。
犬が嫌いなはずの私は、その時――

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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

あんこがうちにくるまで

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 

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