ろくすけの闘病記:癲癇(てんかん)3話
2015年7月25日 午前3時半 3回目の発作
3回目の発作。
2か月周期なのか?
そうならそうと決めてほしい・・心の準備ができるから。
痙攣時間は4分ほど、と少し長く感じた。
今回失禁はなかったが、痙攣後ひとしきり吠えてから動こうとするまでの時間が長かった。つまり、ハアハアいいながら横たわったままということなのだが、こんなちょっとの違いが本当にドキドキする
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大丈夫かと、ろくすけの頭を少し起こそうとしたその瞬間だった。
ガブッ!
――〇✖※△@#%$~~!!!
あんな痛み どれだけぶりだろう?
よく目が見えない状態で体を触られてビックリしたろくすけが
目の前にきた何かわからない物体に噛みついたのだ。
それが私の腕。
しかもくわえたまま離そうとしない・・
本当に肉を引き裂かれるかと思った(涙)
もちろんろくすけは悪くない 不用意な母ちゃんが悪かった。
やはり発作時の扱いには、十分に気をつけなくてはいけないな……
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前回までの教訓から、今回はサークルを準備していた。
発作後の徘徊というか、くるくるくる、への対処である。
転ぶ・倒れるを繰り返しながらの徘徊なので、目が離せない。
でも――
一緒にくるくるしては私たちが参ってしまうので、サークルで回ってもらおうという作戦だった。
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室内サークルというのは、殆どが小型犬用なんだね。
そんな中でも大き目を購入。
普段は折りたたんでおいて発作時だけ出動させるので、パっと一瞬で広げられる軽いタイプをチョイス。
さてっ――
と、ヨロヨロ立とうとするろくすけに、噛まれないようにしてサークルに誘導。
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しかし、やはり小型犬用だ。
弱い上に、華奢だ。
ろくすけがサークル内でくるくる回り始めたのはいいが、壁にもたれるとあっという間にフニャリ。
「あかん!」
仕方ないので、サークルを手で支えながら見守ることに。
あぁ、それでも買っておいて良かった。
これで一緒に動き回らないで済む ありがたい。
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壁が倒れないように、サークルを囲むようにクッションを置いたり、サークルの床がビニールで滑るので滑り止めや毛布・タオルなどを投入。
よし、これで歩けるぞ。
好きなだけ歩くんだ! ろくすけ!
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そのまま1時間――、2時間――
くるっ、パタッ。くるっ、パタッ。
水、ブロッコリー、おやつ、どれもまだ口にしない。
時々庭に出して一緒にくるくる周り、サークルに戻すを繰り返す。
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やっと午前7時ごろ、視線が私に合った!
すかさず水にボウロとブロッコリー入れて口に持っていく。
すると――、飲んだ!食べた!
続いていつもの半分のフードをふやかして持っていくと はい完食。
良かった、これで回復を待つのみかな。
診察を受ける
食後、ダブルハーネス(胴体&後ろ足)で支えながらトイレのため庭に出す。
しかし甘かった。おしっこもうんちもせず。
諦めてサークルに戻すと、少し落ち着いたのは、ウトウトし始めた。
そうだ おむつ!
しておけば安心だ(って私がだけど)
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サイズがわからなかったが、人間の赤ちゃん用おむつを買っていた私
おしっこの方だけでいいのでパンツ型おむつをハサミで切って、取り急ぎろくすけの胴にくるりと巻く。
――いいか?
――いいや!
しかし、いい加減な装着は余計に大変なことに
動くうちに位置がずれてしまって、おむつの外に漏らしていた。
これも勉強なり。
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朝いちで病院へ連絡するも、診察は午後1時を過ぎそうだ。
しばらく家で待機。――ようやく時間になって診察を受ける。
体重からして少な目の処方量だったてんかん薬ゾミサミドが、1/2から3/4に増量。
これでまた様子を見て、回復までの時間が長くなったり、発作の周期が短くなったら、
さらに増量もしくは他の薬との併用を考えましょうということに。
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ついでに爪切りと、肛門絞りをしてもらう。
ろくすけは、体を触られるのが大嫌いだ。
もともとろくすけは、シェルターからやってきた子だ。
引き取るときに保護主さんから「爪切り、本当に大変です」と聞いていたので、もっぱら病院で切ってもらっていたのだが、それでも大騒ぎだった。
先生もそれがストレスになって発作の引き金になったら可愛そうなので
無理しないでいきましょう、と言ってくれている
ただ、今回は発作後で騒ぐ元気もなく、拍子抜けするほど簡単に済んだ。
今日はとっても暑い日だ。
車でのろくすけは息が荒い。早く帰ろうね。
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帰宅してからろくすけは、しばらくベッドで横になる。
でも、私がご飯を用意し始めたら、急に雰囲気が変わって来たぞ。
顔の表情で食べる気満々なのが見てわかる。
案の定、いつものメニューでペロリと平らげた。
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もしや、この調子だとトイレのタイミングかも!
そう思いついて、すぐ外に出してみる。
何周も一緒に、くるくるくる。
やっと、やっとおしっこをした!
しかもその後また数周回った後、うんちも。
――うれしい!
今日初めての排泄だったせいか、ろくすけもすっきりしたようでベッドですぐ眠りについた
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次の発作がまた来るのかなぁ? 怖いなぁ……
来ないことを祈りつつ、母ちゃんが不安に思ったらろくすけに伝染するので、
どんとこい! でいかなきゃね。
ろくすけは心細いのか、優しく頭をなでると安心した顔をする。
そういえば、今日車に乗せるときも大人しく抱っこもさせてくれた。
余程しんどかったんだね。
――突然の発作に驚いた(3/6)つづく――
作:きづあすか
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――次話――
初めて昼に発作がきた。
しかし、幸い軽症だった。
頭を高くしてやり、徘徊しても良いようにサークルをセット。
何度か経験をすると、いちいち驚かなくなるし、手際も良くなる。
――ショックではあるけれど。
気付け薬は、ごはん。
食いしん坊に感謝!
――前話――
前回発作から約2か月。2度目の発作が起きてしまった。
症状は初回とほぼ同じ。
癲癇の診断は1度では難しい。
だからこの2度目で確定診断となり、薬を処方された。
その名は、ぞ・に・さ・み・ど
――なんか、おどろおどろしいね。
さあ、薬を飲もう。
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てんかんについて、もっと知るには
医学的な知識を交えて解説をしています。こちらもご覧ください。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この章の1話目です――
深夜、突然の癲癇初発作
痙攣が止まると、吠えた。
「ワオーン ワオーン ワオーン」
1分以上も。
本人は何が起きたのかわからず、パニック状態なのだ。
そして、よたよたと起き上がると、
歩く、歩く、歩く
これが、ろくすけの闘病の始まりでした。
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――この連載の第1話です――
今日から、きずあすかさんの愛犬、ろくすけ君の闘病記を連載します。
病名は癲癇。ある日突然に発症しました。
「あの病態は、飼い主の心を乱します」
その言葉に、経験者の方は皆うなずくことでしょう。
初回は、闘病記を残す理由です。
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闘病を考える
愛犬の闘病で悩む飼い主さんは多い。
それは見えない不安が、心にのしかかるから。
これからどうなる? いつまで続く? 医療費は?
見えないものは仕方ない。しかし、見えているものはある。
不安に怯えるのではく、どうか前向きに。
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闘病記のヒント
闘病の奇跡は呼び込むもの
闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。
医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。
セカンドオピニオンと二次診療
街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。
セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。