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【肺がん|告知】3月19日 病院で告げられた病名は…… ~うちの子が旅立つまでのこと(2/18)~

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ピーチーの闘病記:肺がん・看取り編  f:id:masami_takasu:20180311165246j:plain

撮影&文|高栖 匡躬
 
当時を振り返り

時々息が粗い――   
そんな程度の変調でした。  
ちょっと気分が悪そう――、ちょっとダルそう――、ちょっと熱があるかも―― 
これまでに何度もあった変調と較べて、取り立てて悪いわけではありません。
もっと具合が悪いことは、何度もありました。

ただ――   
それは今までとは、ちょっと違う変調でした。 
なんとなく、嫌な予感を伴うような――

 当時のブログより - 病院へ

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昨日、ピーチーを病院につれていきました。
体の震えが継続的に続くことと、3日ほど前からの呼吸の荒さ、どことなく苦しそうな様子。そして、食欲が無いなどの理由です。

夕方に病院に行ったのですが、ものすごく混んでいました。
座る椅子がないくらい。

受付で、「外で待っています」と伝えて待合室を一旦出ました。
主治医の病院は、しばらく前から敷地の一角にウッドチップが敷き詰めてあって、ナックリングをするピーチーを歩かせるのに、丁度いいんです。

ちょっと歩きにくいけど、痛くないよ!
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こんな感じの足元です

しばらく歩かせて、それからちょっと遊んでやろうかなと思い、バッグからボールを取り出しました。
――ピーチーの目が急に輝きます。

あっ、ボール!
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飛びついてガブリ!

このピーチーの姿を、主治医の院長先生に見られてしまいました。

「おお、元気だな、その歳でまだボール遊びするのか、凄いな」
「ああ、先生、実は今日は元気が無いから来たんですけどね……」

ピーチーはアドレナリンの女王なので、興味の湧くものを見ると瞬時にアドレナリンがMAXになって、元気になります。

30分ほど、そうして遊んだでしょうか。
ようやく、ピーチーの順番が来ました。

ピーチーはずっとボールを咥えたままで、離しません。仕方がないので、そのまま診察室に入りました。診察の間も、ずっとボールを咥えたままです。

ボール命!
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これ、診察台の上にいるピーチーです

聴診器を当てる時だけは、さすがに引き離しましたけが、ブルテリアは顎の力が強いので、もう3人がかりでやっとでした。

その後は、ピーチーだけレントゲン室に入り、飼い主は待合室で待機します。
そして、しばらく待っていると、診察室から声が掛かりました。

この日は院長先生が忙しかったので、別の先生が診てくれていたのですが、レントゲンの結果を話す役割は、院長先生に変わっています。そしていつもは飄々《ひょうひょう》とした院長先生の顔が、なんとなく曇っています。

――嫌な予感がしました。

 

 まさかの診断結果

診断結果は、その予感通りのものでした――

『肺がんが強く疑われる』

レントゲンの写真には、肺には大きな影が一つと、周囲に小さな影が映っていました。実はたまたまピーチーは2週間前に、別件でレントゲンを撮っており、その時から肺の異変は指摘されていていました。だから、それから経過を観察していたのです。

肺の影は、明らかに2週間前よりもひどくなっていました。

因みに、約半年前に持病のてんかんの原因を知るために撮ったMRIでは、肺には何も映っておらず、綺麗なものでした。もしもガンが発症したとすると、それ以降という事になります。

もちろん現状では、肺がんが特定されたわけではありません。
特定にはCTスキャンと生検を行いますが、それには全身麻酔を要します。

うちではずっと前から、ピーチーがもしもガンに罹ったら、積極的な治療はしないと決めていました。その方針に従うならば、今すぐにガンを特定する必要はありません。

これから様子を見ながら対処的な治療だけを行い、やがて疑いようの無いまでに腫瘍が大きくなるのを待っても結果は同じだからです。むしろ、麻酔のリスクを避けた方が賢明でしょう。

もちろん、がんで無い可能性も僅かですが残っています。
例えば、肺炎は、がんと同じように影が映る場合があるそうです。
ピーチーは発熱していないので、その可能性は低いのですが、人間でも劇的な症状の現れない隠れた肺炎はありますからね。
それに、肺がんの典型的な症状と言われる咳を、ピーチーは全くしていません。

この日は、炎症を抑えるための抗生剤をもらいました。
これは、がんであろうと肺炎であろうと、まずは採るべき選択肢です。

うちに帰ったら、すぐに薬を飲ませました。

薬を飲んでしばらくすると、ピーチーは元気を取り戻しました。
薬が効いたように思えます。

やっぱり家は、落ち着くね
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お前は、家が大好きだからな

今朝がたのピーチーは、トイレに小走りしていって、自分できちんと用を足しました。最近はトイレを外したり、間違えて別の場所にしてしまう失敗が増えていたのですが、立派立派!

でも、その後は戻ってきて、大きく肩で息をして苦しそうでした。
昨日まではそんなことはなかったのに……

今日は、大好物のウニを買って来てやろうかな。
ピーチーの月誕生日は、まだ1週間先ですが、もしもガンで進行が早い場合、後で「あのとき食べさせてやればよかった」って思うのは嫌ですからね。

※このころ、ピーチーの月誕生日には、大好物のウニを食べさせてあげていました。
※劇症肝炎から九死に一生を得たご褒美です。

因みに、飼い主の方は、事実を淡々と受け止めています。
昨年のピーチーの一連の大病で、相当に鍛えられていることもあるのですが、それよりもガンについてはずっと前から、うちの奥さんと話し合っていて、もしもの時の選択がすでにしてあるので、あれこれ迷ったりする事はありません。

それと、まだ諦めているわけではありません。
ピーチーはこれまで、急性膵炎からの胆管閉塞 と、劇症肝炎 で、針の穴に糸を通すような幸運を次々に射止めて、ここまで生き延びてきた子ですからね。前回なんて、針穴が無い針に糸を通したようなもんでした。

今回もいつもながらの、ピーチーの強運に期待。
そんな感じです。

 

 ペットの肺がんをもっと知るには

こちらの記事に、肺がんの概要を解説しています。
はじめて読むのに最適です。

この病気は激しい咳や、血痰を想像しがちですが、実はそれほど顕著な症状がでないことが多いようです。
ほんのちょっと息が粗い程度の場合もあります。
気になったら動物病院へ。

 

強運を発揮したそれまでの闘病
■ 急性膵炎からの胆管閉塞での闘病  

この時は、二次診療高度医療 で命を拾いました。
外科的な処置(胆嚢と腸を噴口手術でバイパスする)を決断するギリギリの時点で、点滴した薬が閉塞していた胆管を開いてくれたのです。

■ 劇症肝炎での闘病

この時は打つ手がない中で、外科手術で肝臓から細胞を接取して、炎症の原因を探るという、無理を承知の選択をする直前に、自己免疫不全 という原因に気づいたのでした。

上記のいづれも、手術に踏み切っていたら、助かってはいなかったはずです。

 

――うちの子が旅立つまでのこと(2/18)つづく――

文:高栖匡躬
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――次話|確定診断はしませんでした――

レントゲンの影はピンポン玉大。人ならばこぶし大。
がんでないとしても、普通とは思えません。
食欲はあまりなく、歩きくのは短時間。
ピーチーが2度大病をしたときの、別れの覚悟が蘇ります。
ただ――、まだ諦めてはいませんでした。

――前話|はじまりは小さな変調でした――

いつも元気一杯だったピーチー。
大病をしてから、体調に浮き沈み。
この数日も「ちょっと変」と思い、「”多分”、いつものこと」とも思っていた。
”多分”は段々と弱々しくなり、少しだけ嫌な予感も。
「今日は病院だな」と思ったのがこの日。

まとめ読み|ピーチーの闘病記:肺がん・看取り編①
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。

 

――この連載のはじまりです――

はじまりは、ほんの小さな予兆でした。
体の震え。ときどき息が粗い。食欲不振。
ピーチーは大病を大きくは2度経験してから、体調が悪いときがたまにありました。既往症もありました。
またかな? と思ったのが始まりでした。

肺がんの医療記事です 

 闘病の意識を変えてみる

それは限られた時間を刻むこと

愛犬の闘病で悩む飼い主さんは多い。
それは見えない不安が、心にのしかかるから。
これからどうなる? いつまで続く? 医療費は?
見えないものは仕方ない。しかし、見えているものはある。
不安に怯えるのではく、どうか前向きに。

 

 

 

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