犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【あの日から3年】不意に送られてきた写真 ~ピィ子 がうちにくるまで~【君は生まれ変わり?】

もう一度、うちの子がうちにくるまで|No.5 - 1
うちの子がうちにくるまで_ピィ子

撮影&文|高栖匡躬 
 
今日のお話は

先代犬のピーチーが去ったのは2016年の3月。
それから3年が過ぎたある日、知り合いの元ブリーダーさんから、ブルテリアの写真が送られてきました。なんとそれは、その日に生まれたばかりの子犬の写真。
まだ犬とは思えないような、まるでネズミのような小さな生き物が写っていました。

その時点では、次の犬を飼いたいという切実な思いはありませんでした、しかし子犬の写真には、一瞬「アレ!」と閃くものがありました。

やがて、その子犬はとても気になる存在になっていくのですが――

こんな方に:
愛犬を亡くした|次の子を迎えるかどうか迷っている|すぐに迎えると、前の子に申し訳ない気がする|皆さんどうやって次の子を飼うのを決めるの?|経験者の話が聞きたい

 

我が家が先代犬のピーチーを亡くしたのは、2016年の3月29日でした。
元気一杯で走り回っていて、「きっと20歳まで生きるぞ」と思っていたピーチーでしたが、14歳の誕生日を目前に劇症肝炎を発症しました。幸いその時には奇跡の生還を果たしたのですが、それから病弱な老犬になっていきました。

ピーチーの最期は14歳と7か月。飼い主の口から言うとおかしいかもしれませんが、とても立派で、自慢したくなるような旅立ちでした。

ピーチーがいなくなっても、幸運なことに我が家はペットロスには陥りませんでした。いや、正確に言うと、よく耳にするような重いペットロスはにはなりませんでした。
毎日のようにピーチーを思い出し、そして毎日のように我が家は笑顔でした。

「次の子は迎えないの?」
そんな風によく言われたものですが、そんな気にもなりませんでした。
何故ならばピーチーはもういなくても、我が家はピーチーの思い出にすっかり満足をしていたからです。いなくなって寂しいのですが、悲しい訳ではなくて、充実感の方がずっと大きかったように思います。

ピーチーとのお別れの話は、ここにまとめてあります。良かったら読んでみてください。

www.withdog.site

ピーチーは我が家にとって、最高の名犬でした。
食いしん坊で注意散漫でオトボケで、もしもドッグショーに出たら、予選で即敗退間違いなしの子でしたが、我が家にとってはかけがえのない存在で、それは永遠に変わらないと思っていました。

だから、もしも次の子を迎えて、ピーチーと比べてしまうようなことになると可哀そうだとも思いました。絶対にピーチーに勝てる子はいないからです。

そんな風にして、ピーチーとの楽しい思い出と共に、時が過ぎていきました。
その間には、保護犬を迎えるチャンスも何度かありました。一度はもう決心する寸前まで考え、我が家で幸せにしてあげたいなと思いました。
――しかし、結局その子は断念しました。

何故かと言うと、ピーチーが去る時に、ピーチーに「またうちにおいで」と声をかけていたからです。ピーチーが生まれ変わってうちに来るのならば、ピーチーの命日よりも後で生まれた子であるはずです。

絶対にピーチーの生まれ変わりでなければならないと、頑なに考えている訳ではありませんでした。しかしピーチーに約束をした以上は、生まれ変わりを待ってやらなければなりません。約束は絶対です。

このときのことは、こちらの記事に書きました。
www.withdog.site

ピーチーが去った後に生まれたブルテリアを、紹介されたこともありました。とても可愛い動画が送られてきたのです。その子はブリーダーさんのお宅で『モモ』と呼ばれていて、その可愛い名前が、ピーチーを思い起こさせました。
「もしもこの子がうちに来たら、モモの名前はそのままでいいな」
そう思いました。実は『ももちゃん』という、ピーチーとうり二つのブルテリアが福岡にいるのですが、その子のことも頭に浮かびました。

以前に『ももちゃん』のイラストを描かせてもらったことがあります。下の画像がその『ももちゃん』です。何も言われずに写真を見たら、何の疑いもなく「あっ、ピーチー」と言ってしまうと思います。それほど若い頃のピーチーと瓜二つなのです。

 

f:id:masami_takasu:20200816010136j:plain

これが福岡に住む『ももちゃん』です
 

しばらく考えた末に「ももちゃんに、会ってみてもいいな」と思いました。ももちゃんだったら、ピーチーの生まれ変わりでなくても、ピーチーのように愛することができるのではないかと思ったからです。

そう考えてから、すぐにブリーダーさんに問い合わせをしました。
――しかし時すでに遅し……
もうその子はよその家に行くことが決まっていました。
「ご縁が無かったね」
と家族で話をしました。

こんな風に時は過ぎて、昨年2019年を迎えました。

6月27日の夜のことです。以前から交流のあったSさんから、Facebookで連絡がありました。その時の文面は下記です。
『こんばんは、速報です❗️ 先ほど帝王切開でたんじょうしました姉妹の画像をお送りします。よろしくお願いいたします』

送られてきた写真が下の2枚です。

f:id:masami_takasu:20200823155426j:plain

f:id:masami_takasu:20200823155429j:plain

これが送られてきた写真。母犬のお腹から出て来てすぐ。
 

2匹ともアイパンチはありますが、ピーチーに似ているとは思いませんでした。

ただ、ほんの一瞬「アレ!」っと思いました。”運命の出会い” とか、”この子を迎えたい” というような大げさなものではなく、ほんのちょっとだけ心に引っかかった程度です。ただ、そんな気持ちになったのは初めてでした。

(もしも迎えるとしたら上の方の子です。ピーチーと同じ左目にアイパンチがありますからね)

実はこの写真を受け取るちょっと前に、うちの奥さんが夢をみたそうです。
ピーチーが楽しそうにうちにいるのだそうです。

我が家ではそれまで、ピーチーが夢にでてくることはありませんでした。少なくとも筆者の夢には、3年間1度も登場していません。奥さんの夢の方には2回くらい現れたようでしたが、たったそれだけです。きっと天国が楽しくて、こっちに遊びに来るどころではないのでしょう。それはそれで、ピーチーらしくて良い事だと思っていました。

思えば、ピーチーが天国に行った時は、たまたま我が家に時間があったときでした。
全力で介護に立ち向かえる時に病気になって、24時間のシフトを組んで、必ず夫婦のどちらかがピーチーといられる状態でした。

奥さんがピーチーの夢を見たのは、忙しかった仕事が落ち着いて、我が家にまた余裕の時間が訪れたタイミングでした。子犬の育児にも手が掛けられそうになった時、ピーチーが夢に現れたというわけです。
「そろそろ帰ってこようと思っているんじゃない?」
そんな風に奥さんがいいました。

――確かに、そうかもしれない。
そう思って、また気持ちが動きました。

「とにかく、会ってみようか」
そう考えて、Sさんに連絡をとりました。
もしも写真の子が我が家にとって運命の子なら、会ってみたらピンと来るかもしれないと思ったのです。

しかし、事はそう簡単ではありませんでした。

実は我が家は、ブリーダーさんから犬を迎えた経験がありません。
ピーチーとは、ペットショップでの出会いでした。
だから、ブリーダーさんの流儀と言うものを知りませんでした。

聞けば、新生児は感染症に罹りやすいらしく、生後1ヶ月までは誰にも面会をさせないのだそうです。外から菌が持ち込まれる恐れがあるので、犬舎の見学すらもできないとのこと。

では1ヶ月経つまでは、何もできないのか?
――というと、そうでもなさそうです。実はここで、もう一つ問題がありました。

最近はあらゆるものが、(実物を見ないで)ネットで販売される時代。
どうやら犬もそのようで、ブリーダーさんのUPする写真を見て、お迎えを決める方が多いのだそうです。中には生まれる前から予約をする方もいるのだとか。
つまり、会う前に決めてしまわないと、気になったあの左目アイパンチの子が、余所の子になってしまうかもしれないという訳です。

そしてもしも決めたならば、この時点で半金を支払わなければなりません。

 

ブリーダーさんの犬舎の周辺です。
 

思い切ってこの子にしようか? いやいや会ってもいないのに?
色々と悩んでみたのですが、ピーチーの生まれ変わりを3年も待った我が家ですから、ここで急かされたからといって、簡単に決めるのも嫌です。そこで、次のように決めました。

生後一カ月を待って会いにいってみる。そしてその場でピンと来たら、その子を迎えることにする。もしも1カ月の間に、どこか余所の家とご縁があったのならば、それはそれで運命なので諦めよう。

うちの奥さんもそれが良いと言ったので、その旨をSさんに伝えました。

しかし、何かを待ちながらの1ヶ月と言うのは長いものです。10日ほどが過ぎたところで、あの子の写真が妙に頭にちらつき始めました。1カ月後だと自分で決めたくせに、気になって仕方がないのです。

そこで、無理を承知で、Sさんに次のお願いをしてみました。
「子犬には会えなくていいので、せめてブリーダーさんと話したい」と。
ブリーダーさんと会って納得がいけば、そこで予約金として半分を支払い、1か月後に実際にあの子会ってみて、「違うな」と感じたら、その予約金は捨てることになってもやむを得ない。――そう思いました。

Sさんからは『子犬には会えませんよ』と念をおされましたが、「それで結構です」と返事をしました。

Sさんの手配で、ブリーダーさん宅に伺うことになったのは数日後です。
場所は埼玉で、我が家からは新幹線+在来線+タクシーで2時間半くらいでした。

家を出る時に、不思議なことが起きました。
玄関に続く廊下のど真ん中に、ピーチーの立派な毛が1本落ちていたのです。
お空に行って3年。もう毛を見つけることなどほとんどなくなっていたのにです。
「何か言いたいのか、ピーチー?」
そう思いながら、玄関の扉を開きました。

ブリーダーさん宅に行ってみると、驚いたことがありました。
なんと「会えない」と言われていたあの子を、連れて来て下さったのです。
「わざわざ来てくれたのに、会わせないわけにはいかないものね」
と言われました。下がその時の写真です。

 

f:id:masami_takasu:20190801014814j:plain

これが初めて会った日の写真。目も耳も開いていません。
 

まだ目も耳も開いていなくて、感染症の恐れがあるので、ブリーダーさんに抱かれているのを見るだけで、触ることもできませんでした。

 「この子はピーチーの生まれ変わりなのかな?」
本当はここで、その子犬がピーチーだと確信できるような出会いならば感動的なのですが、現実はそうではありません。ただ眠っているだけの子犬には、ピーチーの面影を見つけることは出来ませんでした。

しかしこの時、我が家の決心はもうついていたようなものでした。
ブリーダーさんに会えて、子犬が見られただけで、なんとなく納得が出来て、ストンと腑に落ちたような感覚がありました。しかしその場では即決しませんでした。

家に帰ってもう一度落ち着いて考えました。
「本当にあの子でいいのかな?」
「ピーチーの生まれ変わりでなかったとしても、愛してあげられるかな?」
それでもやはり、あの子にしようという気持ちには変わりがありませんでした。

夜になってSさんに『決めました』というメールを書きました。
そのメールを書いている最中に、また不思議なことが起きました。

ふと気が付いたらPCのキーボードの上に、またピーチーの白い毛がくっ付いていたのです。家を出る時と言い、この時と言い、何かピーチーの意志のようなものを感じました。

「いいんだね、ピーチー?」
そう思いました。
そして――、送信ボタンを押しました。
それは、我が家に新しい犬がくることが決まった瞬間でした。

 この時のことは、以下の記事に書きました。

www.withdog.site

さて、もう一度犬を飼うと決めた我が家ですが、実際に家に来るのはあと1ヶ月先です。ピーチーが子犬の頃の、子育ての記憶はもう残っていません。ピーチーの飼育環境も、クレートが1つと、首輪とリードが残っているだけです。

あの子がうちに来る前に、色々な準備を整えなければなりません。14年と7か月もピーチーと暮らしたのに、また何もしらない新米飼い主に戻った気分でした。

そしてとうとうお迎えの日がやってきます。
それは次の記事にて――

 

――ピィ子がうちにくるまで|つづく――

もう一度、うちの子がうちにくるまで|No.5 - 1
犬の名前:ピィ子
犬種:ミニチュア・ブルテリア
飼主:高栖匡躬 ・ピーチーパパ
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介
 
もう一度、うちの子がうちにくるまで、とは
愛猫を失った飼い主が、さまざまな葛藤を乗り越えて、もう一度猫を迎えようとするまでを、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――もう一度、うちの子がうちにくるまで・次話――

子犬は生後1ヶ月――
面会にいくと、元気に尻尾を振ってくれました。
命名:ピィ子
ここまで名前をつけなかったのには、ある理由がありました。
そして更に1ヶ月――、お迎えの日。
ピィ子は家に着くと家中を探検し、それからぐっすり眠りました。

――もう一度、うちの子がうちにくるまで・前話――

最愛の先代犬、”はな” を失った私。
悲しみと自責の気持ちを胸の底に沈めながらも、はなのいない日常は流れていきました。そんなある日、私は一匹の子犬と出会いました。
「はななの?」
なんとその子の顔は、思い出の はな の写真と瓜二つでした。

――もう一度、うちの子がうちにくるまで、第1話です――

一見屈強で男の中の男と言うイメージの作者。
しかし作者は、先代犬のバーディーを亡くし、毎日泣いて暮らしていました。
そんな作者に、新しい出会いの時がやってきます。
さて、新しい子は、どのようにやってきたのでしょう?

 

 

© 2017 Peachy All rights reserved.