犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

軽くなった哀しみと、重くなった悲しみ ~大型犬と生きるということ(2/2)~

大きな子との別れは、大きな体を失うことだった大型犬と生きる

扉の撮影&文|樫村 慧 記事内写真|老犬アルバムより大型犬の皆さん

 少ししか食べなくなったラフ

ラフは7月になってもそれまで同様、腎臓サポート食ドライと缶詰をなんとか少量食べていたが、それまで与えたことのなかったおやつも、色々と買って食べさせた。そんなおやつも、喜んだのは最初だけ。徐々に受け付けなくなっていった。

そして7月7日の七夕を境に、ラフは腎臓サポート食を一切食べなくなった。とにかく食べるものを探して、あれこれと与えていたが、食べる量はほんのわずかだった。

ほんの少ししか食べなくなって1週間経った14日頃には、足元がふらついて歩くのもやっとだったが、補助サポートベルトをつけて、私に支えられながら30メートルほどの距離を歩いて道路脇までオシッコをしに行っていた。

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【まとめ】【免疫抑制剤】ステロイドからの切り替え ~なかなか加減が難しい~【試行錯誤の繰り返し】

免疫抑制剤について思うこと
免疫抑制剤について思う事

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カテゴリー:コラム
作者:高栖 匡躬 

本作は、免疫抑制剤を実際に愛犬に使用した体験談です。

免疫抑制薬は体内で過剰に起こっている免疫反応を抑える薬です。よくTVなどでは生体肝移植などのときに登場します。薬名が仰々しいので、担当の獣医師から『免疫抑制剤を使用します』と言われた時には、ぞっとしたことを覚えています。愛犬が大変な病気に罹ったのだと実感しました。

しかし実際に使用して慣れてくると、自分がその薬名を過剰に怖がっていただけということが分かってきました。その名の通りで、単に免疫を抑制するだけの薬に過ぎず、それ以上でも以下でもなかったわけです。それまで愛犬が使用していたステロイド剤も、消炎作用とともに免疫抑制作用があるので、時には免疫抑制剤に分類されているほどです。

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【まとめ】ステロイド剤とその減薬 ~マイナス面が独り歩き~【無暗に怖がらなくていい】

ステロイド剤とその減薬について
ステロイドの適正な使い方

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カテゴリー:コラム
作者:高栖 匡躬 

このコラムはステロイド剤のメリットとデメリットについて触れた、全3話のシリーズです。

ステロイド剤は【炎症の軽減】【免疫の抑制】などを目的に処方される、一般的な薬です。使っている犬や猫は、多いと思います。
我が家のピーチーもそうでした。
ピーチーの場合は筋金入りで、生後半年でアレルギー性皮膚炎とわかり、それから14年間、月1の病院通いで、ずっと飲みつづけました。

自己免疫不全で劇症肝炎を発症した際は、普通は経験しないであろう、大量投与を行った時期さえありました。

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【まとめ】自分の免疫が自分を攻撃するって? ~それはもう起きていることかも~【自己免疫不全/自己免疫疾患】

自己免疫不全に思うこと
自己免疫不全に思うこと

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カテゴリー:コラム
作者:高栖 匡躬 

自己免疫不全って、ご存知ですか?
免疫不全と混同しがちですね。どちらも免疫機構の障害です。
(免疫不全)
免疫力が極端に落ちて、普通なら罹らないような、色々な病気を発症してしまうこと。
(自己免疫不全)
自分の免疫が、間違って自分を攻撃してしまうこと。

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【まとめ】ラフと歩いた日々/ラフのいない日々 ~いつも君がいてくれたから~【看取り|ペットロス|安楽死】

ラフと歩いた日々、ラフのいない日々
ラフと歩いた日々

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カテゴリー:エッセイ
作者:樫村 慧

本作『ラフと歩いた日々』と『ラフのいない日々』は、『ラフと歩く日々』の続編となるもので、3部作の構成になっています。

『ラフと歩く日々』は、ホームセンターで売れ残っていたゴールデン・レトリーバーと、その子を飼うことになった家族の絆を描いたものでした。
ラフとの生活を縦軸にして、家族に起きる様々な出来事を描いた秀作です。

本作の中盤で、ラフは腎不全を患います。
そしてそのラフの介護と、看取りを縦軸にして家族を描いた作品が『ラフと歩いた日々』、ラフを看取ったのちの事を描いた作品が『ラフのいない日々』です。

3部作の全てが犬と暮らす喜びに満ちているのですが、それと同時に犬と暮らす上で、どうしても外すことのできない心構えや覚悟を語ってくれます。

楽しいだけではない犬との暮らし。
だからこそ意義のある犬との暮らし。
そんなことを感じ取っていただけると幸いです。

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【まとめ】ラフと歩く日々 ~いつも私の側には、ラフがいました~【腎不全になった愛犬】

ラフと歩く日々
ラフと歩く日々_腎不全になった愛犬

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カテゴリー:エッセイ
作者:樫村 慧
ホームセンターのペット売り場の端っこで、売れ残っていた雄のゴールデン・レトリーバー。このお話は、ラフと名付けられたその子と、それを飼う事になった一家の、絆を描いた実話です。
犬を飼う喜び、そして犬好きな家族に満ち溢れる笑い。
しかし、その先に有ったものは……
それでも私は、ラフと歩く。
飼い主の心の声に、あなたは何を想うでしょう?
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【心臓腫瘍/看取り】楽しい事を見つける旅に ~ちぃの闘病記(5/5)~

虹の橋の向こうへ
ちぃの闘病記:心臓腫瘍(5/5)

ちぃの闘病記:心臓の腫

文|かっぱ太郎 撮影|F.zin

 別れの日

ちぃが泣いているように見えた日――
その日の夜に、ちぃは亡くなりました。

ちょうど夜の12時に、家族が見守る中で、ちぃは静かに倒れて、そのまま息を引き取ったのです。

ちぃのがんが見つかってから、一か月と20日間の命でした。

 

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大きな子との暮らしは、楽しいものだった ~大型犬と生きるということ(1/2)~

大きなカラダの闘病、看護、そして介護大型犬とともに生きる

扉の撮影&文|樫村 慧 記事内写真|老犬アルバムより大型犬の皆さん

 はじめに - 大型犬の闘病、看護、介護について

今は季節の変わり目。そのせいもあってか、病状が急変する老犬さんがとても多い。
ツイッターやブログで、そんな老犬さんを目にする度に、3年前のラフの闘病を思い出す。

大型犬の闘病や看護、介護は想像以上に大変だった。大きなカラダを支えたり、抱いて移動したり、寝返りをさせたり。そのひとつひとつが体力勝負。私の場合は、腰痛持ちだったので、腰痛ベルトが欠かせなかった。それはラフの闘病をしていく上で、自分の身を守る鎧のようなものだった。

当事者になってみて実感したことだが、大型犬の飼い主が我が身を守ることは、想像以上に重大なことだと思う。万が一にも自分が倒れてしまうと、愛犬の命を守ってやれなくなるからだ。無理をしながらも、無理をしすぎないようにしなければならない。

今日は自分の体験から、そんな大型犬介護の話をしようと思う。

 

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【まとめ】愛犬の食事は、一生をトータルで考えたい ~老犬になったとき、何を食べさせる?~

ペットの食べ物は、今の選択が将来につながっているのです
愛犬の食事を考える

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カテゴリー:コラム
作者:高栖匡躬 

愛犬愛猫の食事に悩む方は多いと思います。それは、この種の記事やブログがネット上に数えきれないほどあることからも明らかです。
しかしそれらの記事は、信用できるものなのでしょうか?

【食べムラ】【食欲不振】【拒食】【偏食】【小食】【老犬(シニア犬)の食欲減退】は、本来ならば、分けて語られてしかるべきなのに、多くの記事では、意味が曖昧な【食べムラ】に一括りにされていて、解釈に誤解を生じやすくなってしまっていあます。更にそれらの記事は、愛犬猫の食べ物を選ぶ視点が、あまりにも近視眼的であるように思います。

毎日食べる大切なものなのだから、『食いつきが良い』とか、『毛艶がようなる』というような目先の効果ばかりを見ないで、もっと広い視野で、愛犬・愛猫の一生をプランするように選んであげるべきものだはないかと思うのです。

また「食べる」ばかりが注目されますが、「食べない」ことにも意味があります。

本記事は、これまでとは少し違う視点で食べものを語った8連載を、まとめ読みにしたものです。
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【心臓腫瘍】 ちぃ、泣いているの? ~ちぃの闘病記(4/5)~

虹の橋の向こうへ
ちぃの闘病記:心臓腫瘍(4/5)

ちぃの闘病記:心臓の腫瘍

文|かっぱ太郎 撮影|F.zin 扉イラスト|はまのゆり

 苦しい選択

手術のできないがんを抱えてしまったちぃ。

私はちぃが最期をむかえるまでの間、痛みや苦しみを、少しでも軽くすることはできないものかと、毎日考えました。特に、週に一度の大学病院での検査の日には、いつも苦しい選択をせまらせることになりました。

抗がん剤を使って、奇跡が起こることに望みをかけるのかどうかの選択です。
もしもその治療を選んで奇跡が起こらなければ、ちぃの体に負担がかかり、死期を早めるにちがいありません。

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チッチ先生が教えてくれたこと ~警察犬訓練学校で学んだこと~【犬と人間が暮らすための基本姿勢 】

今は自信を持って言えることばかりです
チッチ先生が教えてくれたこと

撮影&文|高栖匡躬
 
こんな方に
警察犬訓練学校・訓練所はどんな所?|訓練の成果は?|どんなことを教えてくれるの?|行かせて良かった?|経験者の話を聞きたい

 

『警察犬の学校に行くこと』(全4話)では、愛犬を警察犬学校にやる飼い主の立場を中心に書いてきましたが、今回はこれまでに触れられなかった、チッチ先生からの教えについてまとめておこうと思います。

チッチ先生から教えてもらったことは、とてもシンプルでした。しかしそれは、飼い主が愛犬と仲良く付き合っていくための、根本姿勢のようなものだと筆者は思いました。 

しかしながら、うちのピーチーに良かったことが、どのワンコにも良いわけではないでしょう。また根本姿勢であるとはいいながら、18年も前の話なので、いまとは状況が異なる点もあると思います。

なるべく注釈を添えながら書きますが、どうかそれを鵜呑みにしないで、使えるところだけつまみ食いをしていただければありがたいです。

それではまとめていきます。

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【まとめ】ピーチーの闘病記:急性膵炎・胆管閉塞編 ~突然の発症。命を賭けた闘病~

ピーチーの闘病記:急性膵炎・胆管閉塞編 (1話~4話)
急性膵炎・胆管閉塞_扉

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カテゴリー:闘病記
作者:高栖 匡躬 

その日愛犬のピーチーは元気が無く、食欲がありませんでした。
喜ぶだろうと思って、大好きなアイスクリームを上げてみたのに、それも食べないのです。おかしいぞと思いました。

このときピーチーの体の中では、急性膵炎が起きていました。
そしてその急性膵炎は、胆管閉塞を併発し、ピーチーは絶体絶命のピンチとなります。掛かりつけの主治医は、暗に安楽死をすすめました。

しかし飼い主は、闘うことにしました。
いや、そんな積極的なものではなかったかもしれません。
諦めきれなかった。
諦めないためには、闘うしかなかったのです。

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