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【非再生性免疫介在性貧血】2021年6月 寛解しました ~最終話~【闘病記】

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チョコラッの闘病記 最終話
チョコラッの闘病記_非再生性免疫介在性貧血

撮影&文:らぶプー
 
この闘病記は

本話は長期連載を続けてきた『チョコラッの闘病記』の最終回です。
『非再生性免疫介在性貧血』は難病でしかも致死率が高く、1年生存率が約5割。
先の見えない中闘病を始めるチョコラッと、悩みながらもそれを支える飼い主の記録です。
目標であった1年が過ぎ、2年が過ぎ、やがて当初は奇跡だと思っていた3年が過ぎていきます。

そして迎えた5年目――
そこで、本当の奇跡が起きます。

免疫系の病気を抱えるペットは多いと言います。
本記事は困難な闘病を支える飼い主さんにとって、希望になるお話です。
初回記事はこちらです。チョコラッの闘病記 1話

こんな方へ:
ペットに貧血の症状が現れ改善しない|非再生性免疫介在性貧血と診断された|治る見込みは?|治療法は?|どんな闘病になるのか心配|免疫系疾患の難しさを実感している|経験者の体験談が聞きたい

ここまでのお話は……

『チョコラッの闘病記』は、2016年10月25日の日付から始まり、2019年3月21日まで続いたところで、一旦のお休みをいただいていました。

理由は、幸いにも主人公のチョコラッが、『非再生性免疫介在性貧血』の小康状態を得ていたからです。不思議なことにチョコラッは、病気が寛解や治癒には至っていないものの症状は現れず、血液検査の数値も悪化しないという状態でした。

1年生存率が5割という難病で小康状態を得ること自体が奇跡と言えるものです。しかしながらその状態を闘病記として文章に残そうとすると、”特に何も変化はありません” という状態が続くことになってしまいます。つまり、特筆すべきことが無かったために、闘病記をお休みしていた訳です。

ですが、ここに来てチョコラッに大きな変化がありました。
悪い方にではなく、良い方にです。
何と、チョコラッは5年弱の年月を経て、ついに寛解を勝ち取ったのです。

今回は、長く続いた『チョコラッの闘病記』の最終話です。

 

チョコラッが診てもらっていた病院は?

『非再生性免疫介在性貧血』は免疫系の難病で、症例が少なく、また国内に血液系の専門医がほとんどいないことから、治療は大学病院や先端医療センターのような大病院でないとなかなか手に負えません。しかし我が家は、そのような病院は遠くて日常的に通院することはできませんでした。

幸いチョコラッの罹りつけの動物病院は獣医さんが熱心で、海外の論文などを読んで、治療を工夫して下さる方でした。そこで私はその罹りつけの病院での治療に賭けることにしました。遠くの大病院に無理して通うよりも、万が一の時に駆けつけることができる病院で、獣医師にきめ細かく診てもらった方が良いと言う判断でした。

 

 2021年5月1日 免疫抑制剤やめました!

チョコラッの病院は中規模で、複数の医師が在籍しており、担当医が長期休暇を取られたりお辞めになると、次の担当医に引き継がれるような体制になっています。このところ立て続けに担当医が変わり、現在は3番目の医者です。

実はこの担当医の交代が、チョコラッの寛解に大きく影響しています。

それはしばらく前のことでした。いつものように病院に行って、家に帰って来て帰ってきて粉薬を見てみたら――
「多い!」

何故そうなったのかというと、どういうわけか2番目の医者のとき、いつの間にか薬(免疫抑制剤と精神安定剤、両方粉薬)の量が減っていたようなのです。理由は分かりません。今回はそれに気付いた3番目の医者が、薬を元の量(1番目の医師の処方量)に戻したというわけです。

医師の指示通りに薬を飲ませてみたところ、急に量が増えたからなのでしょう、案の定チョコラッは吐いて、下痢して、食欲不振になって――、ソッコー病院です!

担当医曰く「1番目の医者がカルテに残した量はコレで合ってるんですよね?……」

ここでまた不思議なことが――
1番目の医者からは「チョコラッの体重の最低限の量」と聞かされていたし、実際貰っていた量はごくごく僅かの薬だったのに、何故かカルテには多い量の記載しか無かったのです。

・・・記載ミス?

経緯はよく分からないけど、薬の量を見直しました。

①免疫抑制剤セルセプト→やめる!ゼロに。
②精神安定剤、現在の量の半分に。
③オーグメンチン抗生剤は継続。

①免疫抑制剤セルセプトは2番目の医者のミス?で最低限を、下回る量を半年以上続けてしまったけど、貧血(非再生性免疫介在性貧血)は起こらなかった。
――なら、もうやめても良いのでは?と。

②精神安定剤は確かに薬が増えたここ数日は、夜中に騒ぎ出す行動が減った。けど、それはただ単に具合いが悪かったからかも?
――具合いが悪いんじゃ元も子もないから半量に。

③オーグメンチン抗生剤は、免疫抑制剤を辞めたから要らないのでは?とも思うけど、チョコラッは椎間板ヘルニアの後遺症で自力排尿が出来ない。自力排尿出来ない子は尿道炎になりやすい。
――よって、オーグメンチンは残す。

ということに。

薬を大幅に見直して数日、チョコラッはまぁ元気。
まぁと言うのは加齢で寝てばかりだから、すっごい元気なのか判断が難しいから。

とりあえずゴハンはゆっくり完食するし、口内もピンクで貧血の兆しなし。

次回は1ヶ月後で、その際に採血ということになりました。

 

 2021年6月12日 薬を全てやめました!

前回、免疫抑制剤をやめてから1ヶ月後――
チョコラッの血液検査に行きました。

結果は――

全く貧血の兆候はなく、全て正常値。

医師の見解は、
「免疫抑制剤なしでも大丈夫ですね。でも、念のため定期的に血液検査には来て下さい」
とのこと。

精神安定剤は半量で続けていくはずだったのですが、
「暫くあげてなかったけど、夜も騒がず静かに寝るようになりました」
と告げると、医師は「精神安定剤も辞めましょう」と――

ついでに「抗生剤のオーグメンチンは?」と相談したら、
「抗生剤も辞めて、尿道炎の症状が出たら飲ませましょう」という回答。

そんなわけで、チョコラッ、非再生性免疫介在性貧血を患ってから、4年半ぶりに薬なしの生活になりました。つまり寛解ということです。

 

 薬をやめてからのチョコラッは――

その後のチョコラッは、前より元気になった気がします。
相変わらず寝てばっかりだけど、笑うことも増えました(チョコラッは元々よく笑う子)。

朝は苦手なのか調子悪いのか、朝ごはん要らないって言うこともたまにあるけど、「要らないの?捨てちゃうよ?」って言って下げようとすると、慌てて食べ出します。

夕飯の方は、はいつも美味しそうに食べてます。

 

 寛解して思う事 ― 応援して下さった皆様へ

今までチョコラッの長い闘病記にお付き合い頂き、ありがとうございました。
チョコラッは5年弱の年月、非再生性免疫介在性貧血と言う難しい病気と闘い、今やっと寛解までもちこめました。

これからは、チョコラッが今まで辛い思いをした分、薬のない、元気な毎日を家族皆んなでサポートして、1日1日大切に過ごしていきたいと思います。

この記事に辿り着く方は、おそらく大切なパートナー、ワンちゃんが非再生性免疫介在性貧血と診断され、情報収集をしたくてお見えになる方が大半かと思います。

ただ、寛解した今だからこそ思うことは、当たり前ながら、どの病気もその子それぞれであって、コレをしたら必ず治る等ということは決してないということ。

チョコラッが病気になって、しかも生存率が決して高くない病気と知って、自分はネットの情報に振り回されてしまった様に思います。

飼い主さんが、疲れてしまうのが一番良くないですよね?
この病気は、頻繁に血液検査で病院に通うことになります。
チョコラッは大学病院に行けと言われましたが、遠くて行けず、中規模病院にお世話になりました。
私は、通える範囲で信頼出来る医師に出会えることが何よりも大切だと思います。

思い返すと、もうダメかと何度も目の前が真っ暗になりそうなこともありました。
しかし医師の協力を得ながら、乗り越える事が出来ました。

勿論、今は寛解であって決して完治ではないので、そんなに偉そうなことは言えません。しかし一つだけお伝えするとしたら、生存率は低いと言っても、決してゼロではないということです。

奇跡は必ず起きる――
それは、神様が何もしないで与えてくれるものではなく、愛犬ちゃんの 、飼い主様の、獣医師様の頑張りで起きることで起きることなのだと思います。
生きたいという願いがそれを起こすのです。

奇跡を信じて、愛犬ちゃんを信じて、そして飼い主様ご自身を信じて、病気を乗り越えられるよう、心から願ってやみません。
皆様の愛犬ちゃんが、寛解までもちこめる日が遠くない未来に来ること心よりお祈りしています。

今まで拙い文章をご拝読頂きまして本当に感謝しております。ありがとうございました。

―― らぶプー ――

 

 チョコラッについて - 14歳になりました

この記事から読まれた方のために、最後にチョコラッについて触れておきます。

チョコラッは2007年7月7日生まれ。

14年前、カニンヘンダックスの赤ちゃんを探していた私。
色んな子を抱っこしてきたのに、何故かチョコラッだけは離せなくなった。

この子だ!って言うビビビ感を感じて、急いでペットOKの物件に引越しをして、お迎えしようとしたら、「ケンネルコフ(仔犬がよくかかる風邪みたいな病気)で治るまでお渡しできません」って言われて、

待ちに待って我が家に来た時はチョコラッが3ヶ月になる手前。初めて会った時より既に大きく成長してて、成長の早さにびっくり。

なんでも食べる子だった(苦笑)。
食べちゃいけないものを手の届くところに置いちゃいけないのは分かるんだけど、ビーズクッション破って中身食べちゃったり、酔いつぶれて床で寝た主人の髪の毛食べちゃったり(抜いたんじゃなくて、噛み切って食べたみたい)、それも食べちゃうの?!みたいなのを色々食べたね(苦笑)

小さい時はモデルもしたね。ちょこっとね。
カメラ向けられると嬉しくて笑顔になっちゃうのは今も同じ。

お外が怖いのか、お散歩はなかなか歩けなかったから、よく抱っこで歩いたね。

ワンワン運動会の紙リード競走は、ぶっちぎりで首位だったのに、ゴール間近で何故かUターン。紙ちぎれてちぎれてコースアウトで失格 笑。あれは、ママがゴールに見えなくて探しに行ったのかな?

2歳半のとき妹、ティアラが来て、ワンちゃんが大好きなチョコラッは大喜び!
でも、1日、2日と、何日経ってもどこにも帰っていかないティアラを見て、あれ?ってなってたね。

なんでチョコラッのオモチャ触るの?なんでチョコラッのオヤツ食べるの?って。

 

チョコラッは3才で腸閉塞を起こし、医師に「あと一歩遅かったら危なかった」と言われました。

6才でグレード5のヘルニアになり、手術したけど――
「残念ながら骨髄軟化症でした。1週間以内に100%死んでしまう病気です」
と言われました。

毎日面会に行き、7日のタイムリミットが近付くにつれ、何故かチョコラッは元気に回復していき、7日後には退院。でも後脚はピクリとも動かない状態。

ネットで検索し、辿り着いた再生医療をしてくれる病院へ。

そこで「この子は骨髄軟化症ではありません。ヘルニアの手術も上手く出来ていません。再手術と同時に再生医療を行いましょう」と言われました。

それからリハビリの日々。

ようやくヨタヨタ歩けるようになった9才の秋、新たな病気、非再生性免疫介在性貧血が判明。

(鼠径ヘルニアと会陰ヘルニアもこのとき同時に判明し。非再生性免疫介在性貧血の薬、プレドニンと手術の相性が悪いとかで、薬をなんとか調節して後日手術しました)

この病気の1年後の生存率は50%。

病院に通いつめる毎日。時には入院し、薬を何度も調整。
それでもどんどん貧血が進んだ時は、本当に辛い毎日でした。
しかし、5年弱かけてようやく今――、寛解。

病気の多い犬生でしたか、元気に14才のお誕生日を迎えることが出来ました。

 

もう老犬なので、寝てる時間も長いし、ヘルニアの後遺症で上手く歩けないのでお散歩もバギーですが、今やっと病気ではない、薬と無縁の生活です。

チョコラッの生命力、生きたいと思う底力には本当に驚かされます。
これからまた何があるか分かりませんが、沢山病気しても幸せな毎日だったと思って貰えるように、家族皆んなで楽しく過ごしていきたいと思います。


左 チョコラッ14才

右 ティアラ11才

 

この闘病記の経過

非再生性免疫介在性貧血 闘病記 

病気の発覚から病名が分かるまで
2016年10月25日~11月2日

本当の確定診断まで
2016年11月5日~11月24日

先の見えない、はじめの半年
2016年12月14日~2017年4月23日

1年生存率5割って
2016年5月6日~2017年10月14日

1年は過ぎたけれど
2017年10月20日~2018年4月20日

2年生存を目指して
2018年4月22日~2018年10月31日

ついに3年目に突入
2018年11月16日~2019年3月21日

 

――チョコラッの闘病記・おわり――

文:らぶプー
  ▶らぶプー:他の作品一覧

本サイトは、Twitterで毎日情報配信をしています。
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――前話です――

チョコラッは元気なので、PCVが改善したと思っていたのですが、
検査の結果は前回から横這い。
でも、全項目が基準値内でした。
病気を発症して2年半。頑張っています。
目指せ3年生存!

www.withdog.site

――この連載の最初の記事です――

この病気は、自己免疫不全で起きるもの。
自分の免疫が、自分の体を攻撃し始めるのです。
病原菌やウィルスが見つかるわけでもなく、CTやMRIにも病変が映りません。
だから、最初はそうだと分かりません。

なんとなく調子が悪い……
病院に行っても原因不明。
しかし、状況は悪化していく。
何故――、それが始まりです。
まずは病名が確定するまでのお話から。闘病記を書く理由についても語られます。

 この病気を更に知るために

一般的な貧血の症状と見分け方は、こちらの診察記に書かれています。
まずは貧血かどうかを、飼い主さん自身が見分けましょう。

 当事者の苦労について語られた記事です。
『免疫介在性溶血性貧血』と『非再生性免疫介在性貧血』の違い。
悪化した場合の、献血犬の探し方などに触れています。

『非再生性免疫介在性貧血』の原因となる、『自己免疫不全』について語られた記事です。『自己免疫不全』は確定診断されていないだけで、多くの犬で起きている可能性があります。

 
この記事を含むまとめ読みです

 ペットの闘病を考える記事です。 

闘病の奇跡は呼び込むもの

闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。

医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。

セカンドオピニオンと二次診療

街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。

セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。

高度医療という選択肢

動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。

医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。

 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

ameblo.jp

 

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