ピーチーの闘病記:肺がん・看取り編
この段階になると、ピーチーの状態は刻々と悪くなっていきました。
しかしながら、ピーチーはまだ生きようとしており、その姿に励まされる飼い主。
飼い主にできることは、もはやそう多くはありません。何が起ころうと、現実から目をそむけないで、見守ってやろうという決意のみ。
安楽死の選択は、常に頭の中にありました。
きっとその選択をするときが、来るようにも思っていました。
その日が来なければ良いと願う気持ちが半分。
しかしあと半分は、その日が来たら迷うことなく決断しようと決めていました。
ある時までは死を遠ざけようと、或いは忘れようと、必死にもがきました。
しかしある時を境にして、気持ちが自然に切り替わりました。
良い死を迎えさせてやろう。良い別れをしたい。
積極的にそう思うようになりました。
覚悟が決まったとか、そんな劇的なものではありませんでした。
もっとささやかで、もっと自然な気持ちの変化でした。
死は忌むべきものとは、最早思いませんでした。
絹のように柔らかで、優しいもののように思えました。
その死に、いつかピーチーを引き渡すのだと思っていました。
問題は、それがいつなのかというだけ――